理系が文系就職するとこうなる

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「理系の人が文系就職する事は可能なのか?」

 自分の研究内容に魅力を感じず、文系の仕事に興味を持ち始めた場合、理系の人が文系の就職を成功させる事は可能なのか?と疑問に感じるかもしれません。

 本来、理系の就職というのは皆、大学院に進学し、そしてその卒業後、大手の研究職について働くというパターンが王道だと思われます。それ故に理系から文系就職する人は少なく、アドバイスを貰える人が少ない中で文系就職に挑まないといけません。

 その上で、理系が文系就職を成功させる為にはどんな事をしないといけないのか?ここでは実際に理系の就活生が文系就職をする視点で、理系が文系就職に成功させる方法について説明しております。

理系なのに文系就職する人の例

「文系就職をする!!」

 と俺は就活をする前から、理系の技術職ではなく、営業職のような文系の職業で働こうと決めていた。もともと理系を志望したのは、手に職をつけた方が将来の為になると思っていた。しかし大学生活を送るにつれ、研究に向き合い続けるよりも、お客さんの声を生で聞いて自分でニーズを探りながら答えていく仕事をしていきたい。と思うようになっていた。技術職の分野では一概に顧客の声に応える仕事をする。しかし実際は現場で働く営業の言伝で期待に応える場合が多く、実際に自分で客のニーズを見つけ出していく働き方は出来ない。

 今の時代、確かに商品開発や技術力向上は必要だ。しかし個人として生きるのであれば、自分で考えて生き抜くスキルというモノを身に着けていきたい。研究員の立場からすればそれは出来ず、その手のスキルを身に着ける為には現場に出て実際にお客さんの声を生で訊ける立場に立つしかない。だから文系就職を目指そうと考えた。

 これに対し、周囲の人達は『せっかく理系になったのに文系就職するなんておかしいだろ?』と言ってくる。研究職も世の中から必要とされる職業だ。だから文系では出来ないやり方で世の中を良くしていけば良いのに。今までの理系の勉強をを無駄にするつもりか?というのが主な言い分だ。

 ただ本音を言わせてもらえば理系という立場に飽き飽きしていたのである。俺の大学で出来る奴と言えば、世の中に役立つ研究を作り出すというより、今までなかった考えを作り出す事だ。確かに未知の開拓と言えば理系出身者の本分だろう。しかし大抵の人達はその技術が何の役に立つのか答える事が出来ない。

 この研究を発表し、そして外部から来た人達が協力を求めてくる。常に研究者の活躍は後出しだ。そして企業や国からの要請で『こんな事が出来ないか?』と要望通りに作れるかどうか没頭する。それを特定の人達からすれば『自分の研究が世の中から求められている』と喜びを感じるだろう。しかし俺の場合、常に他人からの要望に振り回されているような印象で自分がもしその研究をもっと活かせるアイデアがあった場合、どうするのだ?と考えてしまう。要は、俺は自分で自分の知識を活かせるようになりたいと思っているのだ。

 よって研究室にこもって研究するよりも、自分で考えて世の中に役立つ商品やら、サービスを作り上げる。そんな人間になってみたいと思っている。なら俺に必要なのは現場で客が求めるニーズを把握し、そしてそれを具現化する力だ。となれば実際に営業などで現場に行き、ノウハウを身に着けていく事が近道だ。俺は文系就職を成功させ、自分で始めから最後までやり遂げる事が出来る人になると決めたのだ。

理系のスケジュールが文系就職の弊害になる

 ・・・と意気込んだ事は良いものの、いきなり座礁しかけている。というのも文系就職というのは会社説明会やら、筆記試験、そして面接など様々な段取りが必要になっている。無論、これは理系と一緒なのだが、一番の違いはその手のスケジュールが企業からの一方的な宣告によって決められてしまい、学業との両立が出来ないのがネックになっている。

 例えば俺がある1社の文系企業を志望したとしよう。するとある日、いきなり会社説明会の案内が来て『今月に開催される説明会に参加して下さい』と書かれている。しかもその時間は5時間で、自分が望んだ時間帯に予約する事も出来ないというおまけつきだ。理系学生の立場上、いきなり予定を開けるのは難しい。しかも自分が希望した時間帯ではない場合もあるから、当然研究途中で抜け出すなどの事をしないといけない。

 そしてそれは説明会だけでなく、筆記試験や面接なども一緒だ。筆記試験は企業によっては自宅やテストセンターという所で受ける場合もあるが、メールでいきなり『この時間帯に実施いたしますので、着て下さい』とまたここでも企業が決めた時間帯で何時間もの時間を空けておかないといけない。そしてそれはその後の面接でも同じで、筆記試験に合格すると、メールなどで『次の木曜の13時からはいかかでしょうか?』と向こうが時間を決めてくる。無論、都合が悪い場合、変える事は可能だが、大抵は平日の大学にいる時の時間帯を指定してくる。しかもそれを3、4回は当たり前で、しかもそれは1社だけの話だ。

 面接回数が多いせいで、その分、不採用になる確率が高い。だから文系就職の場合、10社以上も企業に応募するのは当たり前のようで理系のように短期間で少ない面接回数で終わらせるのとではワケが違う。

 何で企業は学生が大学に通っている時間帯にわざわざ面接の予約を入れてくるんだ?と思うかもしれないが、知り合いのダチに慶應の経済に通っている奴がいたから事情を訊いてみると、なんと文系の学生は平日の時間帯はほとんどフリーの状態なのだ。

 理系の場合、講義を欠席すれば点数が減らされる減点方式であるのに対し、文系の場合、欠席しても、その日に出席を取らなければマイナスにはならないらしい。いや、どちらかと言えば出席を取る日に出席し、点数が貰える加点式だ。理系とは全く逆の方式を取っている事に驚く。しかも慶應の経済の場合、卒業する為には大学4年間のうち128単位取らないといけないのだが、大抵は大学1年から3年の間にほとんど取って、大学4年次には講義をあまり受けないようにするのが通例らしい。

 その結果、大抵の文系就活生は平日の週5日のうち3日程度しか講義に出ない。だからいつ説明会や面接の連絡が来ても、空いている時間帯に誘導する事が出来るし、理系とは違い、スケジュール管理に苦労しないという事らしい。

 って文系の就職スケジュールが分かったところで、週5日ほとんど講義の理系は一体どうやって就活に参加すれば良いのだ?

 結果的に、理系の場合、数少ないフリーの時間を最大限活用し、文系就活に参加するしかない。しかし文系就職の面接回数が理系の倍こなすという事で、受けられる企業数が半減してしまうのが文系就職の痛い所だ。だから文系就職で成功する為には、短期決戦で、かつ少ない応募数が少ない中で結果を出すしかない

理系の知識が文系就職の妨げになる

 文系就職する前は『理系は専門知識が高いから、営業やコンサルタントなどの提案系業務が有利』なんて言われていたけど、実際、面接を受けてみると”それは違う”と思えてきた。何故そう思ったのか?という、ただ単に俺がコミュニケーション不足というわけではなく、理系による専門的知識が弊害になって就活で不利になっていくケースがあるからだ。

 確かに理系は専門的な知識が豊富で、それが武器だ。俺は食品における栄養素などの研究を専攻してきたわけだから、ある程度の成分と効用については述べられる。しかし実際に面接で話していると面接官自身がその成分について知らなくて、理系の強みである専門的知識が理解されないのである。

 例えば日本の和食の特徴と1つとなった『うま味成分』。有名なモノとしてはグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸だが、それらの成分が舌の表面にある味蕾に接触し、うま味成分が受容体に触れる事でうま味成分が脳に伝わる。おいしさのメカニズムに関しては脳幹に送り込まれてきた味の情報をもとに五感情報と内臓感覚の情報を元に過去のデータと照らし合わせて・・・など、成分や体の構造、そして特定栄養種を取得する事で体にどんな変化を与えるかも説明出来る。

 だから志望先の商品提案において、スーパーや飲食店に『この良さを伝える事が出来ます』とアピールしたのだが、面接官からは『それって一体何なの?』と言われてしまう。自分が扱っている商品なのに専門的知識を心得ていないのか?と腹が立ったが、次の質問で考えが一変する。

『その知識を売り先のスーパーのアルバイトや飲食店の人に分かりやすく説明出来る?』

 目からウロコだった。俺は『理系なのだから専門性の高さをアピールするべきだ!』と思っていたのだが、営業系業務に就く場合、売り先である素人の人に分かりやすく説明する必要がある。専門性の高さで有利に立つはずが、逆に専門的過ぎて、実際に現場で、この手の知識を持ち合わせていない人に商品を売る為にはどうするべきか?と考えていなかった。

 更にその後も『君は専門知識は豊富だけど、ではその成分を最大限生かす為の調理方法って何か思いつく?』『それに見合う料理は?そして君は作ったことある?』『我々営業部隊は確かに商品の知識は必要だけど、知識だけでは、相手が商品の良さを理解しても、それで取引が決まるほど現実は甘くない。例えばウチより安い商品があったり、既に別の営業と取引あるところから自分に変えてもらう為には具体的にどうするの?』など、商品知識よりも実用性の高さばかり求められる。

 プレゼンと同じだ。自分の専門性の高さをアピールしても眠くなるだけ。高い評価は得られない。だからプレゼンではその知識がどのように役立つのか?という有益度を盛り込んだ内容がウケる。この就活でも”知識を披露する人材”ではなく”相手の心を掴む人材”が欲しいというわけだ。

 戦略の練り直しだ。その後、自分の知っている栄養素がどのよう形で料理で使われているのか?そしてその料理を作る上で欠かせない食品は何で、そのシェア度が高い企業は何処か調べる。そして顧客の心を掴む為、子供の健康に良いモノ。生活習慣病の改善。安価かつ味の良い料理の作り方など色々探り、それを面接でアピールする材料にした。

理系なのに文系就職に成功する人のアピールとは?

 「・・・何とか、内定を取る事が出来た」

 俺は大手食品メーカーから内定を取る事が出来た。もともと理系の立場から受けられる志望数は少なく、だからこそ、食品メーカーが欲しいと思える人材だと思わせるアピールと入念にした。俺の場合は食品メーカーだったが、さっき話した子供の健康に良いモノ。生活習慣病の改善。安価かつ味の良い料理の作り方の知識も勿論だが、就活では

 『なぜこの業界で働きたいのか?』

 『今後、どのようにキャリアを積んでいきたいのか?』

 その辺について応えられないといけない。

 今まで研究員として生きていこうとしていた俺からすれば文系のキャリアプランなど考えてるわけがなかった。てっきり技術営業としてずっと生きていくのかな?と思っていたため、最初の1社目はその辺が露見し、不採用。文系就職を成功させる為には自分が定年までどのように働いていくのか?それを正しく把握しておかないといけない。

 食品業界の場合、営業職だと先ず地元のスーパーや取引先の担当者になって商品の卸す仕事をする。その後、新しい取引先を見つけたり、またはエリアごとに担当を任される事をする。要は地元の祭りのイベントで使われる食品を持ってきて、イベントの企画に参加するというのが食品のベテラン社員がやるであろう業務だ。

 だからこそ理系の場合、技術営業として頑張らないといけないわけだが、例えば子供向けの食品ビジネスの場合、育児やアレルギー、そして成長を促進させる成分はどんなモノで、そしてそれに見合う食品や家庭料理などを調べる。そしてその手の食品やビジネスを行っている会社に応募。そして具体的な例として共働き世代が増えている為、子供の弁当作りに冷凍食品を使っている人が急増している。その為、子供向けの冷凍食品に需要があると見て、その手の企業に応募。そして面接では冷凍状態でも美味しさを保てる構造をスーパーの店員や主婦層に分かりやすく説明できる事をアピール。そして将来はその手の食品をイベントなどで広げていく。または店員や主婦層から営業の立場で求めるニーズを収集。そしてそれを開発部門の方々と共有して、次世代商品の開発に貢献し続ける営業マンになりたいとアピール。

 こんな風に自分の知識がどのように市場から受け入れられ、そしてそれをどのようにキャリアとして活かすのか?それが言えるようになれば面接が通るようになる。

 理系の文系就職でネックになる事は、自分の知識がどのように現場に求められるのか?その辺の流れの情報を如何に入手出来たかでアピールの質が変わる。俺の場合、食品関連だったが、理系で言うのなら他にも電子系であれば自動車、電機、機械メーカー。建築、土木系であればゼネコンが1つの志望業界となる。

 電子系であれば例えば車の構造とか熟知して『どのように整備すれば快適な運転が実現出来るのか?』などを考え、お客さんにメンテナンスの仕方燃費の抑え方などを提案し、売上につなげていくという形になるだろう。だから自分の専門知識を如何に現場で活用できるのか?それを把握しないと文系就職で成功する事は難しい。

 と、今まで理系が文系就職で成功する方法について説明してきたけれど、やっぱり面接回数が多いし、理系の就活と比べ長期間だ。学業に支障が出る可能性が高い。それに面接の結果というのは大抵スマホで直接電話してくるのが一般的。何が言いたいかと言うと、研究中に自分のスマホのアラームが鳴る場合があるのだ。俺の場合、アラームは切っておいて、そしてその後、連絡をしているのだが、やはりスケジュールが埋まっているせいで良い時間帯に当たらない場合があるから、この手のやり取りは最早運要素。

 文系就職を成功させる為にはやっぱコミュニケーション能力や相手の視点で考える思考というのが求められる。ただその手の業界分析をどのようにするのか?文系就職の場合、長期間の上、更に説明会の拘束時間も長い。となれば比較的夜しか時間が空いていないせいで、エントリーシートを書きつつ、かつ面接でアピールする内容を練るなど、少ない時間の中で結果を出す段取りを取らないといけない。だからそんな時間はないから、俺の場合、研究中の内容をアピールするモノに変えて、そして手間を極力減らしていく事をした。

 以上にように文系就職を成功させる為には時間の調整、アピール内容の捻出、そして専門的知識が分からない人でも分かるようなプレゼン能力を身に着けておく必要があり、その辺を鍛えておく事が文系就職を成功させるカギになるだろう。