広告代理店の仕事内容と志望動機を内定者から聞く就活生

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広告代理店の仕事

「広告代理店ってブラックって言われているけど、何故ブラックなの?」

「広告代理店の仕事ってどんなモノ?」

「志望先が広告代理店は良いのか?」

 など就職先の1つとして広告代理店を選ぶ人がいると思います。ただ広告に限らず、代理店の業務は大手からの下請け業務である為、逆らえない上、低賃金だと言われています。それ故、広告代理店は自分が出来る業務なのか?それとも避けるべき業界なのか?気になると思います。

 ここでは広告代理店を志望する就活生と広告代理店で働く先輩社員の2人の会話を通して広告代理店の大変さについて説明したいと思います。

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広告代理店の仕事内容について

 先輩、お久しぶりです。現在私、広告代理店を志望しています。ただ正直なところ、偶々志望出来る状態だったので特に広告代理店の業務について心得ていません。その為、広告代理店の業務はどんな仕事なのか?教えてください。

 俺が扱っている広告は主に求人広告のフリーペーパーだ。お前、アルバイトの経験はあるだろうけど、お前が利用したネットでの求人内容やコンビニなどで売っているフリーペーパーなどの制作、または掲載先を探す営業を行っている。

 俺の場合、入社した当初、先ず扱っている求人広告をどうやって作るのか教わったけど、求人広告の場合、求人広告を作る為のWEB入稿システムというのがあって、給料、募集人数、勤務地などを入力していくスタイルになっている。まぁ、システム的な扱いは直ぐ覚えられると思うけど、問題なのは求人を出してほしいという企業を探す営業の仕事だ。

 広告に出す以上、人が欲しいから求人広告を出したいという店を見つけだし、そこに自分達のフリーペーパーに載せるようにしないといけない。だから広告代理店の営業マンは飲食店や工場などを中心に電話をかけて「求人広告をお求めになりませんか?」とそんなテレアポを毎日行っている。そして求人を出したいという返事を貰ったら、その企業に訪れ、募集人数や給料、職種など広告を作る上で必要な情報を担当者から聞いてくる。そしてその情報を元に求人広告を完成させ、俺は掲載費をその企業から頂くという形でビジネスを行っている。

 先輩、聞いた話によりますと、求人広告の広告代理店の仕事は、広告を出したい店を探しだしてそれを自分達の広告雑誌に載せるという方法を取っていてその掲載費で収益を出していると言うのが分かりましたが、雑誌の売上というのはないのですか?

 俺の会社が扱っているのはフリーペーパーだからな。だから雑誌の値段が無料である以上、俺の会社は広告を載せる掲載費から金を稼いでいる。これがもしファッション誌や経済誌だったら有料雑誌の売上で収益を立てているはずだから、ファッションの場合、アパレル業界から新作の服を作ったから宣伝してほしいと依頼されて、そんな内容にするか考え、そして撮影場所のスタジオの予約、モデルとなる人の手配、そして実際に撮影中に指示を出して服の見栄えを良くする方法を考えたりする業務を行うはずだ。となると俺達とは違うが、アパレル業界からの紹介料と雑誌の売上で利益を得ている仕組みになっているはずだ。

広告代理店の仕事がブラックだと言われる理由

 先輩、話を聞いてても分からなかったのですが、広告代理店の仕事はブラックだとよく聞くのですが、具体的にどの部分が大変なのでしょうか?

 先ず第一にテレアポ。俺はさっきの説明で軽く流したけど、実際は1日にかける電話は100件を超えている。その中で1つでも会う約束が取れれば良い方だと思っている。広告代理店は内だけではないから、受ける側からすれば毎日のように営業電話がかかっているから煙たがられているんだ。だから電話に出ても「営業の電話ですか?ウチは間に合っています。」と話の内容を聞かずに切られるのがほとんどで中には「どんな話か聞いてやろうじゃんか?てめぇのサービスは全然だめだ。なっていない」とダメだし、説教、または人格否定などをして罵倒されるから誹謗中傷でも最後まで聞かないといけないから精神的にこたえる。

 また会う約束、つまりアポが取れても安心は出来ない。今度、その企業に伺って、ウチらのサービスについて訊くんだが、大抵は段取りが細かくて時間がないと言われたり、更に広告掲載費が高い部分にもある。俺達の大手はリクナビなんだけど、その掲載費というのは非常に高い。例えばフリーペーパーの1ページの32分の1、まぁ、スマホの半分の大きさくらいのスペースで広告を出すだけでも1週間で5万円出さないといけない。更に1ページの3分の1の大きさの場合、1週間で20万。1ページ全体分だと100万円にまでなってしまう。更にこのサービスは掲載費だから、例え広告を出して誰も募集してこなくても払わなくてはいけない。もしこれが採用された場合に費用が発生する成果型のスタイルであれば良いのだけど、そうでは無い為、採用しなかった場合のリスクがネックになって断られる場合もあるんだ。それ故、アポを50件して1件取れれば良い方と言われているから、テレアポ5000回で契約が1つ取れるという人海戦術みたいな営業スタイルである為、非常に辛い業務と言える。

 つまりこの業務でやって行く為には精神的なタフさが求められるという事ですか?

 いや、精神的な面をクリアしても上手くいくわけではない。このビジネスのもう1つのデメリットとして同じサービスが既に日本中に広がっていて、もう新規の客を見つける事が出来ない程、需要を満たしているのが背景にある。リクナビって最早日本中が知らないと言われる程の企業で、求人広告においては、リブセンスを除いて大手求人広告会社はないと言われている。それ故、電話をかけても他のライバル広告代理店と既に提携を結んでいる状態であり、同類から客を奪いあう形で働かないといけないんだ。

 しかし先輩、調べた事があるのですが、飲食店って毎年約500店以上、新規出店するようなんですよ。正直新規の店舗に絞って電話をかけていけば成約率も上がるんじゃないんですか?

 そう簡単な話ではない。何故なら通常新規出店する店は開店前にアルバイトや社員などを募集していて、開店してからかけても「間に合ってます」と言われるのがオチ。更に新規出店の場合、知名度も低くて売り上げもあまりない状態だから、多額の出費を抑えたいのが心情だ。だから新規の店から広告契約を結ぶためには開店する情報を事前につかんでおく必要があるわけだから、そんな情報なんて簡単に入手出来ない。だからお前の新規店舗というのは着眼点としては良いのだが、広告代理店の立場では開店前に情報を得る事は難しい為、事実上無理な営業方法と言えるだろう。

 ただ先輩。そんな同類から客を奪う形になっているとしても、それは奪われた広告代理店の問題であって、ビジネスというのは結果が全てだと思います。だから良いサービスを生むためにも他店と差別化の為、値段を安くしたり、またはサービス内容を変えたりして差をつけていく事に努めないといけないと思うのですが?

 ・・・お前の言うとおり、稼がないとこちらの生活が出来なくなるから他店から客を奪う事には躊躇いはない。ただお前はさっき値段を変えたり、サービス内容を変えたりと言っているけど、広告代理店が勝手に価格やサービス内容を変える事は独占禁止法に違反し、値段もサービス内容も変える事なんて出来ないんだ。広告代理店は公正な競争をする為に、他の代理店と価格やサービス内容に違いを出してはいけないルールになっている。だからお前は5万の費用なら、4万にしちゃえば良いとお前は考えているみたいだけど、そうすると親会社から契約が切られるだけでなく、5年以下の懲役刑、または500万円以下の罰金だ課せられてしまう。それ故何処も同じサービスを提供しているから、電話で「ウチに変えませんか?」と言っても「他の所と何が違うの?」なんて聞かれたら何も言いかえせない。それ故、閉塞感のある仕事をせざるえないのがウチの業界の特徴でもあるんだよ。

 ただ先輩、支給されているサービスについて制限がかかっているのであれば、広告の文言について差別化するよう努めてみてはどうですか?流石に表現の自由まで制限されるとは思わないので、私、求人広告を見てみましたけど、どれも「アットホームな社員」「コミュニケーションのある方」などありきたりな表現が目立つので、もっとインパクトのある書き方に変えて、表現などを工夫して説得してみてはいかがでしょうか?

 お前の求人広告の概要に載っている表現を工夫しろという言い分は理解出来る。しかし実はなあの内容についても制限がかかっているんだ。例えば、

① 山手線利用の方には便利な職場。

② 英語が堪能な方

③ 健康な方

④ 募集人数:男性3名、女性2名

⑤ 募集職種:カメラマン

など、上記の内容を書いた場合、どうなると思う?

 普通に掲載されるのではないのですか?

 いや、全部掲載が差し止められる。何故かと言うと①の場合、山手線利用の方というのは、山手線付近の住民を優遇する表現だから場所による差別表現とされ掲載出来ない事になっている。②については英語が堪能という表現は外国人をイメージしやすいから、日本人を差別するという事でこれも掲載不可。そして健康な方という表現は障害者差別とされ、④については男性の採用人数の方が多いから男女差別となってしまう。そして最後の⑤については○○マンという言い方は男を連想させる書き方である為、男女差別に該当し、掲載不可になっている。

 先輩、何か滅茶苦茶ややこしいですね。

 他にも掲載する写真に他社の商品名が出ていない事を確認したり、店員が来ている服にアニメキャラクターが載っているのも掲載してはいけないルールにもなっていたり、カジノ関連のビジネスだと掲載してはいけないのに、株の投資はOKだったり、占い師は掲載不可だったり、掲載先の業務内容によって掲載の有無を判断しないといけない。広告にはそんなきめ細かいルールが多くあって、リクナビではリクナビ主催の独自テストまで行っていて、そのテストに受からないと権限が貰えないようになっているんだ。

 先輩、つまり書く内容も勿論、サービス自体、他の広告代理店と差別化出来ない以上、広告代店の業務って保守的というか、閉鎖的というか、出来る事が限られているんですね。

 その通り、だからお前さっき、ありきたりな表現が目立つというけれど、言葉を絞っていくとそんなありきたりな言葉しか使わないし、新しい言葉を使うとルールに反するかどうか調べないといけないから、経験上、そんなのを調べる時間的余裕はない。だから今まで普通に使ってた表現で広告を出すようになり、ありきたりな表現でしか広告を出せなくなる。つまり広告業界というのは値段、既存サービス、表現などに制限がある以上、それ以外の方法で価値を見出して新規顧客を見つける事をしていかないと食べていけない形になっているんだ。

 保守的な煩わしさついでに、もう1つ。実はこの業界には繁忙期があって、週単位で表すと金曜日。そして年単位で見てみると年末が一番のピークだと言われている。何故金曜日が繁忙期なのかと言うと、求人広告の締切が金曜日になっていて金曜日の午前中に広告を掲載しないといけないルールになっている。本当は金曜とか日にちなどを定めず、申込日から1週間以内と決めてくれれば良いのだけど、求人雑誌の発売が月曜日と決められていて、曜日の変更は出来ない。んでお客さんも締切日が金曜ならギリギリまで考えるのが心情だから、こちらとしては事前の水曜とか木曜とかに広告の内容を決めて金曜日の負担を減らしたいと思っているんだけど、結局金曜日に全ての広告作りが集中してしまう。んで当日金曜日になると広告に必要な写真が届かない、お客様の許可が届かないという事で確認や修正などを何度も繰り返し、そんな細かいやり取りを午前中に全て済ませないといけないから、契約件数が多ければ多いほどミスが多くなってクレームも多くなってしまう。まぁ、成果をあげられない人からすれば贅沢なワガママなんだろうけど、出来る人が徐々にミスを連発するようになってしまう仕組みになっているから、これがもし人で必要とされる年末年始になると最早作業は膨大になってしまうから、「覚悟を決めておけ」としか言えない状態になってしまっている。 

広告代理店で働いていける人の人物像

 では先輩。5000回もテレアポが出来る精神的なタフさは勿論ですが、それ以外に広告代理店で働いていける人とは具体的にどういう人なのでしょうか?

 テレアポで「おたくに変えたら何かしらのメリットがあるの?」と訊かれた場合、値段と既存のサービス以外のサービスを用意出来るのがこの業界で活躍出来る人。例えば広告を出しても人が来ないとお客様からしてみれば、掲載費は無駄になるから、あまり人が来る見込みがないのであれば、掲載したくないと思うのが心情だろう。でももし広告を出す以外に人を紹介する事が出来るようになれば、印象も変わってくるし、テレアポで「おたくに変えたら何かしらのメリットがあるの?」と訊かれたら、「広告を出していただいたお礼に御社が採用したい人材をご紹介致します。」と言えるようになるからアポが取れる確率が一気に高くなるはずだ。

 俺達のような代理店で働いている人間は、交流会などで人脈を広げて、色々なサービスを実現出来るように手筈を整えていく事が求められる。例えば俺の先輩の例だが、交流会で画像処理を出来るエンジニアや、人を斡旋する人材紹介会社の人と知り合って、自分達がテレアポして広告を掲載したい人を見つけ出して、そして人材紹介の人から人材を紹介してもらい、そして広告の画像の編集をそのエンジニアに依頼する事で他には負けないサービスを提供している。他にも経営コンサルタントと知り合いになって、宣伝する際は声をお掛け下さいと言って、自分は人や画像編集技術が出来ますと言えればもっと人脈が広がり、受ける仕事の量を増やす事が出来る。そういう風に代理店同士の横のつながりを強くして技術・情報連携をする事でどんな仕事にも対応していく事がこの業界で食べていくコツだと俺は思っている。

 更に広告代理店の仕事で生き残っていくもう1つのコツとして、求人広告とずっと出し続けている企業と契約する事。

 求人広告っていうのは、一度採用が決まるともう掲載する必要が無いから、1度契約しても直ぐに関係が終わってしまう場合が多いんだ。だからまた新しい掲載先を見つける為に、再度5000回ものテレアポを行い、契約を取る事をしないといけないんだけど、リクナビの場合、ロイヤルティーが26%だから5万円分の広告費でも13000円程度の利益しかならず、労力の割には利益が見合わない部分があるんだ。だからそんな一過性の収益で終わらせず、継続して求人広告を出し続ける業態、ウチの場合、大型飲食チェーン店、アミューズメント施設、工場がその部類に値し、そこと契約すると「新しく10人採用したけど、別の店で8人辞めてしまって、また人材を確保する必要が出来た」とそんな話が毎回のように飛び込んでくるから、1つの契約が終わっても、次の契約が断続的に入ってくるから安定した収入が得られるようになる。

 先輩、1つ気になる事があるんですけど、そんな継続的な収入を得る取引先ならもう既に広告代理店の誰かと契約していると思うのですが、そんな有力候補の取引先から契約を奪うなんて出来るモノなんでしょうか?

 確かに既存の広告代理店がいれば、既に担当者と仲良くなっているだろうから簡単に変える事なんて出来ない。ただ先輩の例だけど既存のビジネスに対して広告を出すのではなくて、新しいサービスに対して、その広告の担当者を自分になるように仕向けて成功した例がある。さっき経営コンサルタントの話をしたと思うけど、経営コンサルタントというのは既存のビジネスに新しいサービスを提供する事をウリにしているわけだから、その人とつながりを持っていると大型ビジネスの広告の掲載に関する仕事が舞い込んでくる時がある。そこで先輩は他の広告代理店に負けないような提案をして、その新ビジネスの広告担当者として安定した収入を得る事に成功した。

 ウチらの仕事は広告代理店の仕事だけど、実際は経営コンサルタントのように新しいビジネスを提案し、その中にある広告ビジネスで収益を稼ぐ方法を取っている場合が多いから、ある意味、経営コンサルタントと変わらない仕事をしている場合がある。だからこの業界で勝ち残っていく為には、ただ単にテレアポによる契約を獲得するだけでなく、今後需要の見込めるビジネスとは何かを考えて、それを実現出来そうな人達とつながりを持ち、そしてその中で自分は広告のビジネスを展開して収益を稼ぐ事をしていかないといけないから、経営ノウハウについても興味を持っておいた方が良いぞ。

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