就活で役立つ「銀行」と「証券」と「保険」の違い

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銀行、証券、保険の違いって一体何なのだろうか?

 

 就活をしていると「なぜ銀行なの?」「なぜ証券なの?」「なぜ保険なの?」という質問をされ、金融業界には銀行、証券、保険の3つのジャンルがあり、各業種の違いが分からなければ内定が取れない現実を知ると思います。

 

 しかし会社説明会に参加しても、他の金融業界と比較して説明してくれるわけでは無い為、金融業界の各違いが分からず、志望先を絞れない、立派な志望動機を言えないなどの問題に直面します。それ故、自分の向いている金融業界を判断する為にも、この銀行、証券、保険の違いについて理解しておく必要があります。

 

 各業界の違いは何なのか?ここでは実際に銀行、証券、保険の違いが分からない就活生と、金融業界で働いている先輩OBとの会話形式で金融業界の各業態の違いについて説明したいと思います。

 

銀行、証券、保険のビジネスの違いについて

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「先輩、今、金融業界の会社説明会やエントリー受付が開始されているのですが、金融業界って銀行以外にも証券会社や保険会社など別の業種も存在しているんですね。一応、各業種の会社説明会には参加したんですが、正直違いを見いだせず、かつ「各金融業界の違いは何ですか?」なんて質問出来る空気ではないので、各業界ごとの違いについて把握出来ないでいます。一体、銀行、証券、保険には具体的にどんな違いがあるのでしょうか?

 

「その金融業界の3種のビジネスの違いを理解する上でも、まず各業界がどんな仕組みで収益を上げているのか?その辺について理解しておかないといけない。でないと各業界がどんなお客様を対象にして、かつどんな風にお客さんにアプローチしないといけないのか?各業界の違いが見えてこない。だからお前の先の質問に答える為にも先ず各業界がどんなビジネスを展開しているのか?この点について話させてほしい。

 

「銀行」の仕事

 銀行のビジネスというのは「利子で稼ぐ」ビジネスをしている。

 

 例えば俺が銀行員で、お前が何処かの飲食店の店長だったとする。そしてお前は新メニューを開発し、爆発的にヒットした結果、2店目を開ける程の需要を獲得したとする。その場合、お前は2店目を開く上で、新しい物件を探したり、リフォームしたり、人員募集や広告を出したりするなど、その額が1000万円ほどかかるとする。ただいくら人気店の店長だからといって、そう易々と1000万もの金を用意出来るわけではない。だから開店に必要な資金を集めないといけないわけだが、この時になって、初めて銀行の出番となる。

 

 銀行というのはそんな新しいビジネスに挑戦する人に対し、多額の資金を融資して、後に利子を載せて回収するビジネスを行っている。要は仮に俺がお前に「1000万円ほど必要ですか?なら1000万貸しますので、5年後に1%分の利子を載せた1010万円で返してください」とそういう交渉をする。

 

 それを聞いたお前は『2店舗目を開けば5年で1000万円分の利益を出すのは可能』とコスト回収の算段が出来て、俺の提案を承諾する。結果、お前は2店舗目を開いて更に収益を上げ、そして銀行員である俺は5年後に1%分の利子10万円分上乗せされて戻ってくるから、お互い儲かる事になる。つまり銀行員というのはお金を借りたい人向けにお金を貸し、その返済額の余剰分で収益を上げていくビジネスをしているんだ

 

「証券」の仕事

 そして証券会社は「お金を得る権利を売る」ビジネスをしている。

 

 難しい言い方かもしれないが、この世の中には株やFXなど持っているだけで金が増えていく金融商品がある。証券会社はこの手のお金が増えていく金融商品をどのように運用すればお金が増えるのか一般のお客さんにアドバイスする仕事をしている。

 

 これは1つの例だけど、とある会社が多額の資金を必要としている。しかし、今、手元には十分な資金がない。だからその会社は自社株を発行し、株主に『1株10万円で買ってくれた場合、ビジネスが成功したあかつきにはプラス1万を上乗せした11万円で返却しますよ』と宣伝し資金集めをする。このように資金を集める為にお金を増やす金融商品を発行し、自分達のビジネスをしたい、そして投資家は成功する可能性を計算し、自分の資産を増やそうと頑張る

 

 そしてお前もその一人でその会社の株を100株1000万円で購入し、後に1100万円が返ってきて100万円儲かるだろうと踏んでいたとする。しかしビジネスというのはそう上手くいかず、ビジネスに失敗して返却金が1株0円になり、1000万円損する可能性だってある。ここで初めて証券会社が登場するが、このように自分の資産運用の仕方が分からず、損失を出すのを恐れて『株の資産運用をお願い出来ないでしょうか?』と資産運用を行って報酬を貰う仕事をするのが証券会社なんだ。

 

 分かりにくいかもしれないが、この場合、お前は株を1000万円分買ったけど、景気が不透明で先行きが不安になったから早い段階で株を売りたいと考えた。そこで証券マンである俺が登場し「その1000万円の株を1010万円で売りませんか?」と交渉する。お前はその株が今後1100万円で返ってくる保証はないし、今なら1010万、10万円儲けて手元に戻ってくる。その為、お前はその提案に賛同し、1010万円で俺に売る。

 

 そして俺はその1100万円返ってくるかもしれない株を別の誰かに1080万円で売る。こうなるとその買った人は1080万が1100万で返ってくれば20万円儲かるし、俺自身は1010万円で買ったものを1080万円で売ったんだから、70万儲けて、そしてお前は10万円儲かっている事になる。このように証券会社というのは、株やFXなどを売買し、その差額分で収益を上げるビジネスを行っているんだ。

 

 他にも証券会社は証券マンが抱えている株を各企業に販売して売るビジネスも行っている。証券の営業には証券を売るノルマのようなのがあり、歩合制で自身の給料に反映する仕事をしている。だから仮にお前が証券会社に就職した場合、『証券を買いませんか?』とテレアポし、そしてお客さんの資産を増やしていく事をしていく。

 

 このように証券会社は資産を増やしたい人向けに株などをどのように運用すれば良いのか相談するビジネスをしている」

 

「なるほど証券会社の仕事について何となくですが分かりました。ただ先輩、確かにそうやってビジネスが成功したりすれば儲かると思いますが、株ってギャンブルである以上、損を出す可能性もあるんですよね?仮にビジネスが失敗して、儲からなくなってしまったら証券会社の人達はどうなるんです?

 

「確かビジネスが成立しない事はよくあるし、それで損失を出す人達は必ずと言ってよいほどいる。だから証券マンとして生き残っていく人達は、損する株には極力手を出さず、仮にその失敗確率を10%とするなら、「なら10%で出る損失以上の利益を残りの90%で出るように頑張れば良い」と考えで取引を行う。

 

 何が言いたいかと言うと、例えばお前がさっきの1000万円の株を1100万円で売る取引を10回行ったとしよう。仮にビジネスの失敗確率が10%なら、お前は10回の取引のうち1回は失敗する計算になる。この場合、お前は9回成功し、900万円儲ける事になるが、残りの1回は失敗し、会社から「もうしわけございません。1100万円のお約束でしたが、ビジネスに失敗し、800万円でお返し致します」と言われたら、まぁ、1000万払ったのに、800万円しか返ってこないのだから、200万円損する事になる。でも10回の9回成功し、900万円儲けたのだから、全体でみると「900-200」の700万円儲けた事になり、損にはならない。

 

 つまり証券会社というのは失敗が起こる事を前提に、その失敗する確率を10%などに定めて、残りの90%で損をした金額分を取り戻すビジネスを行っているんだ。そんな失敗する確率が10%と見ても良いのか?と思うかもしれないが、それは長年の腕の見せ所。危険な株には手を出さず、極力失敗確立を10%に抑え、損しても全体を見ると儲かっている働き方を目指す事になるだろう」

 

「保険」の仕事

 最後に保険だけど、これは「保証を売る」ビジネスをしている。

 

 お前も聞いた事があると思うけど、世の中には生命保険や火災保険など、被災した場合、保険に入っていれば、被害状況によってお金が貰える保険というのがある。

 

 今のは自然災害の例だったが、他にも交通事故だったり、親が亡くなった場合などに支払われる自動車保険や死亡保険というのもあり、災害や事故など生活難に陥っても保険に加入していれば再建するのに必要なお金が手に入る保険を販売している保険業界というのがある。

 

 んで保険業界の稼ぎ方だが、保険というのは加入していなければ災害や事故にあっても保険金は貰えない。んで加入し続ける為に月々の保険料を支払わなければならず、その保険料で保険業界は稼いでいる。

 

 分かりづらいかもしれないが、例えば仮にお前が月々2万払っていれば家が火事になっても1000万円出してくれる保険に入っていたとしよう。この場合、保険会社は火事になると1000万円出さないといけないが、もし仮にお前が火事など出さず月々2万円払い続けていれば、その分が保険会社の儲けになる。

 

 要はお前が1000万円貯めるのに毎月2万だと500ヶ月、つまり41年8ヶ月かかる。しかしその間、火事にならなければその1000万円は保険会社の儲けになる為、このように保険会社も一定の発生確率を計算し、自分が儲かるよう保険金額を算出し、儲けるビジネスを行っている。

 

 まぁ、別の言い方をすれば仮に火事や地震などで保険会社が払う保険金が1000億円だったとしてもお前のような火事などを起こさなかった人達から毎月の保険料を貰い、その収入額が1000億円より上回るようなビジネスを行っているんだ」

 

銀行、証券、保険の「求める働き方」の違い

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「先輩、とりあえず証券や保険の話は難しかったですが、各金融業界がどんな風に収益を上げているのかは分かりました。しかしいくら各金融業界の収益の上げ方が分かったところで『なぜ銀行?』『なぜ証券?』『なぜ保険』という質問には答えられません。一体、各金融業界のビジネスの仕組みを理解する事で志望動機や内定を取る為のアピールの仕方に繋がるのでしょうか?

 

「銀行、証券、保険は全員を同じお金を扱っているけど、注目してほしいのは同じ金でも「融資」「権利」「保証」と呼び名が異なっている。

 

 これは扱っている金融商品の役割が異なっている事を意味する。『扱っている商品が違う』って事は当然『売る相手』も違ってくる。『売る相手が違う』って事は『顧客のニーズ』も違ってきて、 『顧客のニーズが違う』って事は顧客へのアプローチの仕方も違ってきて、ここで初めて『求められる働き方』も違う事になり、各金融業界の志望動機を作る上で必要な要素が見えてくる。それ故、これからは各業界の『顧客のニーズ』と『そのニーズの応える為にどのようなアピールをしないといけないのか?』この2点について説明したいと思う。

 

「銀行」で求められる働き方

 銀行の場合だけど、融資を受けたい人は、これから新しい店舗を作ったり、生産力を上げる為に新しい高価な機械を購入したいなど多額の資金を必要としている顧客が多い。その為、多額のお金を貸し出す以上、その金が返ってくるのが判断しなければならず、相手のビジネスを成功出来るのか見極める働き方が求められる。

 

 それを判断する為、実際に足を運んで、今後のビジネスの方針が妥当か?目標を達成出来る技術力を持っているのか?など現場や資料、または社長や社員と話し合って融資をするか決める事をする。んでお前自身問題ないと判断したら、今度は銀行や先輩方を説得する為に資料作りや先輩方と議論し、そして最適な融資提案を決める仕事をする。

 

 だからこの業務で必要なのは簿記のような会社の資産を読み取る知識、ビジネスが成功するかどうかの判断力、そして先輩方を説得する為のプレゼンテーション能力が求められる。

 

 他にも例えば新しい店舗を運営する上では人手や立地条件などの情報も必要になってくる為、自分や先輩の融資先や知り合いから人手を集めたり、または新店舗を置く不動産情報を集め、融資を通しやすくサポートもしたりする。言いかえれば銀行で働くのであれば相手のビジネスを成功させる為のスキルが求められる。

 

 他にもこれは銀行の法人営業が行っている仕事だが、他にも銀行には一般の人向けのリテール営業というのもある。例えば定年退職後の高齢者向けには、老後の資金を蓄える為、不動産賃貸を行う人もいる。しかし退職金だけでは賃貸マンションが建てられないので、銀行から借金をして、そして賃貸ビジネスを行う人もいる。この場合、借りた金額がこの賃貸マンションだとどのくらいの年月で返せるのか?そして月いくらほど儲かるのかなど説明し、まぁ、老後資金の運用の仕方について提案する。

 

 まぁ、話をまとめると銀行の仕事は融資ビジネスであり、もし就活で『なぜ銀行なの?』と訊かれたならば『ビジネスの成功や人の生活に貢献出来るような仕事をしたいと思いました』とアピール出来れば銀行を選ぶ理由として相応しくなるだろう。

 

「証券」で求められる働き方

 んで、証券会社で求められる働き方についてだが、証券会社を利用する人達の殆どは子供の教育費を集めたい、また老後資金を蓄えたいなど『自分が持っている資産を増やしたい』と思っている人達で、資産の増やし方を提案する仕事をする。

 

 お金を増やす上で、先の老後の蓄えと同様、資金的なサポートをする上では銀行業務と同じなのでは?と感じるかもしれない。しかし一番の違いは銀行は銀行が持っているお金をお客に貸すのに対し、証券会社はお客様が元々持っている金で資産を増やさないといけなくて、銀行と証券の一番の違いは他人(客)の金で資産を増やしていかないといけないわけだ。

 

 つまり客の元金が少なければ少ない金額ならではの資産の増やし方を提案しないといけないし、逆に高額であれば目標金額によってリスキーな方法で資金を増やす提案もしたりする。

 

 先の老後の資金についても、大抵は定年退職後など、退職金で多額の資金を得た後に証券会社と相談する人が多い。他にも小さい会社が資産運用を行う上で社長や経理担当者と相談する事もあり、まぁ、大抵は株やFXでどのように資産を増やしていくか相談する事になる。

 

 だからこの業界で求められる働き方とは株やFXなどがどのように動くのか?予測出来る力と言っても良い。

 

 お前だってニュースで『金の価格が高騰』『円高・円安が今年最高値を更新』を聞いて、物価の値段や商品の需要と供給のバランスについてニュースを見たりするだろ。証券会社の人達はその手のモノの値段の変動ニュースを聞き、高くなりそうであれば安いうちに買占めて、安くなりそうであれば高い内に売るなどしてお金を増していく事をしている。

 

 金融知識も必要であれば、経済の動きを正しく読み取り、そしてそれを実際にお客さんに説明し、資産運用の仕方について納得してもらわないといけない。銀行の場合は先輩方を説得させないといけないが、証券会社の場合は資金の持ち主であるお客さんを説得させないといけない。だから銀行との違いを言うのであれば金融リテラシーの低い人相手でも分かりやすく説明出来る力が求められる。

 

 実際、証券会社に勤める事になった場合、大抵は営業として証券をお客さんに販売していく。その上でテレアポや訪問の際、『この証券で御社の資産を増やせます』と売り込み、複雑な金の流れや資産価値を上げる方法を分かりやすく説明し、そのノウハウを提供してコンサルタント料を取る事をする。だから金融の専門知識を分かりやすく、かつ資金を増やして稼いでいくのが証券会社で求められる働き方になる。

 

 だからもし面接で『なぜ証券?』と聞かれた場合『お客さんの資産を増やしていき、生活を豊かにしたり、将来の可能性を広げていく事に貢献していける証券マンになりたい』と言えれば良いだろうな。

 

「保険」で求められる働き方

 最後に保険業界で求められる働き方だが、これは将来に対する備えが如何に重要なのか?言える人となってくる。

 

 地震や交通事故に遭えば生活再建が難しくなるほどの支障が出るのは分かっている。しかし世の中には重要だと思っていても『大丈夫』と言って保険に加入したがらない人が結構いる。実際、問題が無ければ保険料を無駄に払い続ける事になるからな。だから保険業界ではそんな未加入の人達をどのように説得して加入してもらうか、が課題になっている。

 

 大抵の場合、現在のトレンドにのって保険の加入を促したりしている。例えば、東日本大震災の時期には地震保険に加入する人が増えたり、また日本では珍しい竜巻が発生した場合、新しく竜巻による被害も保険で適用するよう調整して加入を促す動きがあった。他の例としてバイトテロで店じまいになった事件が多発した際、飲食店やコンビニ向けに店員や客による不衛生行為があった場合の保険まで新しく作ったりした為、『○○のような問題が発生した場合、こんな保険がありますよ』と言って加入を促す事をしている。

 

 まぁ、このように保険業界というのは、将来起こりうる問題に対し、どのような備えをしておくべきなのか説明出来ないといけない。んで『なぜ保険?』と聞かれた場合『突然の不幸により再建が出来る人を少なくする為、保険で不幸になる人を減らしていく営業マンになりたい』と言えれば保険業界を志望する志望動機になるかな」

 

銀行、証券、保険の各金融業界の違いによるデメリット

 

「先輩、今までのお話で各金融業界の違いや、そして各業界ごとの志望動機の作り方に関して何となく理解出来たので、これで内定を取る為に必要な段取りが取れると思います。ありがとうございました」

 

「一応俺が持っている使える情報は伝えたと思っているが、この際だから補足としてもう少しだけ説明しておこう。実は今まで話してきた内容は確かに就活では使えるかもしれない情報だが、一方で金融業界における悪い噂というモノを聞いていてな。だから今の情報で仮にお前が金融業界に就職し「言っていたのと違う!」と言われるのも癪なんで、各金融業界ごとの問題について説明していこうと思う。

 

銀行、証券、保険の「退職理由」の違い

 実は俺が聞いた限りでは金融業界は離職率が高く、ブラック企業の1つだと言われている。その所以は保険や証券の場合、金融商品の売り方があまりにも非効率だという見方がある。

 

 というのも例えばお前がその2つの業界のどちらかに就職した場合、研修を終えた後、ひたすら企業に電話し、そしてアポの許可を取って足を運び、そして金融商品を紹介し、売る事を繰り返す。こういうのをテレアポや飛び込み営業と言うのだが、これがかなり重労働になっている。

 

 俺の知っている例では1日に電話200件かけて、そのうち1回の割合でアポが取れれば良いと言われている。そしてアポを取り、20社訪問し、そして1つ契約取れれば良いと言われている。つまり4000回電話して、1つ契約が取れるくらいの重労働な業務と考えても良い。

 

 他にも保険や証券は各企業から嫌われている。実際、電話をかけると

「また保険かよ。ウチは間に合ってる。電話するな!」

「おたくの商品のせいでウチは損を出したんだ。」

「ほう、ではどれだけ素晴らしいか言ってみて?」

 

 と高圧的な態度で言ってくる。無論、大抵は「間に合ってます」「社長は席を外しています」と丁寧に言って1分足らずで話が終わるが、それをお前は4000件、毎日、定年退職するまで続ける事になる。

 

 んでこのような客からの仕打ちだけでなく、会社の先輩からも酷い目に遭う。これら2つの業界は売ってなんぼの世界。つまり例え客に対し、プラスにならないモノ、または明らかに損が出ると分かっている物でも『売れ!!』と迫ってくる。

 

 だから保険や金融業界に勤めた人の中には客から罵倒され、結果を出せずに帰ってくると、今度は先輩からも罵倒され、門前の狼 後門の虎状態になる。だから客や先輩から否定され、うつ病になったり、ノルマの未達成分を家族や知人に買わせて人間関係を壊す人もいるから、実力主義ならではの業界の末路がある為、気を付けないといけない」

 

「先輩、とてもじゃないのですが信じられない話なんですけど?何故そんな劣悪な労働環境になっているのですか?」

 

「個人的な意見だが、保険や証券は銀行とは違い、相手のビジネスを成功させる必要はない。だからダメな金融商品でも売ると自分の給料が高くなるし、ノルマに追わせているから責任を取らないようにする為に、押し売りをする営業マンも結構いる。実際、2019年にかんぽ生命の営業マン達が客を騙して保険を解約させて別の保険に切り替えて自分のノルマとして計上する問題がニュースで話題となった。

 

 このように稼げてなんぼの実力主義を極めていった結果、客の気持ちよりも売るテクニックばかりが重宝され、客から嫌われても商品を売る方法まで考えるようになり、悪しき商慣習が根付いたのでは?と俺個人として思っている」

 

「客から嫌われても商品を売る方法って具体的にどんな方法があるんですか?」

 

「俺の知っている例では先ず大損害を出した企業に若い女性新人を行かせて『商品を売らないと先輩から酷い仕打ちを受けるのです』と同情を誘い、ノルマを達成させるやり方がある。

 

 まぁ、今までのは保険・証券の話だったが、では相手のビジネスを成功させないと儲からない銀行はそうではないのか?と言われるとそれも違う。

 

 銀行でも『いくら融資したのか?』各チームごとに融資した金額のノルマがあって、それを達成させる為に保険や証券などのようなパワハラ紛いな事が起こっていたり、それによる不正問題も起こっている。

 

 詳しくは『スルガ銀行のかぼちゃの馬車』を調べてほしいのだが、銀行では過去中央銀行にお金を預けていれば金利としてお金が入っていたのに、マイナス金利で手取りの方が高くなり、まぁ、今まで楽に稼げた方法が無くなり、銀行は今、融資で利益を出さないと生きていけない状態になっている。

 

 その結果、銀行では『融資額のノルマ達成しろ!』と各支店ごとに融資ノルマを課し、ノルマを達せしないと各支店ごとにペナルティを課す仕組みにした所もある。他にも窓口ではクレジットカードの契約ノルマや定期預金ノルマまであり、ノルマ達成の為、上層部は部下にパワハラまがいな事をして結果を出そうとするから、ここでも先の保険や証券会社のようなノルマ未達成による社員の末路が起こる。

 

 銀行で一番注目を浴びた事件がスルガ銀行のかぼちゃの馬車の不正融資問題だ。簡単に説明すると賃貸で稼ごうと思っていたサラリーマンがいたとして、4000万円の物件を立てて20年後、それを6000万円で売却するなんてビジネスを当時考えていた。しかし銀行から4000万の融資を受けるのは難しいのにスルガ銀行の銀行員はなんとその人の通帳を不正に操作し、あたかも返済能力があるかのように見せかけて、融資ノルマを得る方法を取っていた。

 

 しかし不動産ビジネスはうまくいかず、かぼちゃの馬車という不動産会社は倒産。多くの利用者は売れない物件を押し付けて、まぁ、4000万円並みの莫大な借金を背負わされる事件が起こった。当時のメディアの情報ではこの事件が起こった背景として融資ノルマを達成させる為に集団で不正行為にまで手を染めてしまった事件と語っていた。

 

 とまぁ、長話が過ぎたが、このように金融業界では金融商品を売る為に不当な方法で販売するニュースが結構ある。不正行為に手を染めてしまうリスクもあるが、一方で結果を出さないと客や先輩から罵倒され適応障害になるなんてケースもある。実際、この業界で定年まで生き残れる確率は1割と言われるほど離職率が高い。

 

 まぁ、だからこの業界で生きていくなら『商品を売れば給料高くなる』、または『正当な金融商品の販売方法を身に着けるよう』と頑張っていくしかないだろうな」

 

銀行、証券、保険などの『これから求められる人材』の違いとは?

「なるほど各金融業界の問題については良く分かりました。ただそれでも世の中には評価されたり、またはお客さんから信頼されたりする人もいるんですよね?これから金融業界に勤めた場合、その手の人達を参考に頑張っていくと思うのですが、各金融業界で働ける人ってどんな人でしょうか?

 

「これから求められる人材という意味で言うのあれば各金融業界で活躍している人の例を紹介する。まぁ、例えば保険業界の場合だが、世の中には情報漏洩に関する保険もあって仮にそこで情報漏洩が起こると『情報漏洩の件、痛み入ります。保険は近日中に支払われると思いますが、今後同様のケースがあると思われます。その為、新しくこんな保険もあるのですがどうでしょうか?』と、保険で多額の資金を手に入れたのを機に別の保険契約を結ばせるパターンがある。

 

 これは保険だけではないが、証券でも『株で成功したのであれば、新しくこんな株どうですか?』と新たな金融商品を提案したり、銀行だと『2店舗目の経営繁盛何よりです。融資返済も間に合っていますし、ここで3店舗目の出店を考えてみてはどうでしょうか?』と新たな融資を募る事をしたりする。

 

 上記のように金融業界ではビジネスで成功した場合、多額の資金を元手に新たな提案をして、そして契約を結んでいく事をする。先の正当な方法で結果を出すとは正にこの事で、商品販売というより金融商品をどのように運用すれば上手くいくのか?という一種の経営コンサルタント業務まで出来る人が生き残り続けている。

 

 実際、今、金融業界では変革が迫られている。今の時代、ITの普及により金融業界ならでの業務が無くなりつつある。例えば保険業界の場合、相談窓口の1つであって安い保険料の提案をITが代わりに算出して無駄な保険、最適な保険を算出するようになっている。銀行や証券でも今までやってきた契約決算手続き、納税業務、事務作業などをITが代わりに行うようになり、機械が出来ないコンサルタント業務もこなさないと生き残れない時代になっている。

 

 だから最近では早期退職制度やリストラなど大規模な従業員削減を目指す大手メガバンクが出てきているし、行員達も金融に見切りをつけ、IT業界に転職する人が増えているし、新卒就活生も金融ではなくITを志望する人も出ている」

 

「先輩、1つ聞きたいのですが、いくら金融知識を持っているからと言ってITなど畑違いの分野に出れるとは思えないし、新卒もそれは文系ではなく、理系とか数字に強い人達に限定って事ですよね?」

 

「そうでもない。IT業界に転職した行員もITの知識は学んでなくてもIT業界として働いている人は多くいる。そして新卒も文系出身者も多いし、文系でもIT業界で食べていける方法がある

 

文系なのにIT企業から採用される新卒就活生ってどんな人?
「どうしてIT企業は文系でIT未経験者の新卒者でも採用するの?」 「ITで文系が向いている仕事や職業って何?」 「文系の人でもプログラミングスキルを身に着け、働けるようになるの?」  IT業界と言えば理数系の人が働いている...

 

 まぁ、話は戻すが、これから金融業界で求められる人材の1つにITの導入方法を心得ている人が目立っている。

 

 例えば銀行員の場合『新しいITシステムを導入し、効率化を目指しましょう』と言って融資を募って成果をあげている人もいるし、保険屋の場合『新システム導入に伴い、情報漏洩における新たなリスクがある為、こちらの保険なんていかがでしょうか』と言って販売したり、証券マンの場合、システム導入に必須な初期費用を集める為、どのように資金運用すれば良いのか?コンサルタント料を貰って稼ぐ人もいる。

 

 このようにIT業界は現在、DXと言って様々な業界に参入し、業務の効率化やセキュリティ対策などを打ち出していて、その費用が100万単位~億単位まで幅広いから初期費用を集めるアピールとして使われている。だからIT知識がありそうな印象を与える為に面接では『PCを持っている』または『居酒屋のバイトでテイクアウト系のシステムを導入したのを間近で見ました』など導入の流れを見た経験を言えれば良いね。

 

 他にももしこれから新卒で金融業界を志望するのであれば多額の資金を預けても良いと信用される人にならないといけない。

 

 例えばこれからの時代、求められる金融における相談内容の例として法人向けで言えば借金返済や資本金運用方法、一般消費者向けで言えば教育資金や老後の貯蓄方法などがある。具体的にかみ砕くとシステム導入、為替、株、相続税、退職金など色々ある。だから金融コンサルとして多いのは資金運用に伴う手続き、金融関連の法律改正に伴う対応、節税などあるから、それらを相談出来る人だと思わせるエピソードがあれば良いだろうな。

 

 一例としてこれは銀行の場合だが、知識を深める為、銀行業務検定協会が推奨している「税務」「金融コンプライアンスオフィサー」「経営支援アドバイザー」「投資信託」「法務」「年金アドバイザー」「ファイナンシャルアドバイザー」など様々な資格を取る必要があるから、在学中に資格を取れた実績があれば良いね」

 

「なるほど、先輩、今回は色々と銀行、保険、証券など各金融業界の違いについて教えていただきありがとうございました。ただお話を聞く限り、この3つだけでもかなり業界分析するの大変なんですね」

 

「業界分析はかなり重要だ。実際、学生時代、何もしていないのに内定を取る人もいて、その人達の多くが志望先の業務でどのように成果をあげれば良いのか心得ていた人達だ。別の言い方をすると『この子を採用してもどのように成果をあげれば良いのか知っているから業務を覚えるのは早いだろう』と面接官に思わせるアピールをしている。

 

 だからもしこれから金融業界を目指すのであれば、俺が今言った話を参考にするだけでなく、面接でどのようにアピールすれば内定が取れるのか?業務分析の活用法について心得ておくのも良いだろうな」

 

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