就活で役立つ「銀行」と「証券」と「保険」の違い

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銀行、証券、保険の違いっていったい何なのだろうか?

 金融業界の会社説明会に参加しても、会社の成り立ちや、どんな部門があるかなど、他の金融業界と比較して説明してくれるわけでは無い為、銀行、証券、保険にどんな違いがあるか把握出来ないまま終わってしまうかと思います。その為、いざ面接の段階になると金融業界の中で「なぜ銀行なの?」「なぜ証券なの?」「なぜ保険なの?」と聞かれ、その違いを見いだせず、口ごもってしまう可能性もあります。

 そういう事を避ける為にも、面接で各金融業界の違いを面接で言える、かつ自分の向いている金融業界がどれなのかを把握する為にも、この銀行、証券、保険の違いについて理解しておく必要があります。

 ここでは実際に銀行、証券、保険の違いが分からない就活生と、金融業界で働いている先輩OBとの会話形式で金融業界の各業態の違いについて説明したいと思います。

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銀行、証券、保険のビジネスの違いについて

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 先輩、今金融業界の会社説明会やエントリーの受付が開始されているのですが、金融業界って銀行以外にも証券会社や保険会社とか別の業種が存在しているんですね。一応、各業種の会社説明会には参加したんですが、正直違いを見いだせず、かつ「各金融業界の違いは何ですか?」なんて質問出来る空気ではないので、各業界ごとの違いについて把握出来ないでいます。一体、銀行、証券、保険には具体的にどんな違いがあるのでしょうか?

 その金融業界の3種のビジネスの違いを理解する上でも、まず各業界がどんな仕組みで収益を上げているのか?その辺について理解しておかないといけない。でないと各業界がどんなお客様を対象にして、かつどんな風にお客さんは各業界のサービスを利用しているのか分からないから、各金融業界の人達が働き方が見えてこない。お前の先の質問に答える為にも先ず各業界がどんなビジネスを展開しているのか?この点について話させてほしい。

「銀行」の仕事

銀行のビジネスというのは「利子で稼ぐ」ビジネスをしている。

 例えば俺が銀行員で、お前が何処かの飲食店の店長だったとしよう。お前は近年の外国人観光客の増加に伴い、外国人向けのメニューを開発したところ、爆発的にヒットし、2店目を開ける程の需要を獲得したとする。その場合、お前は2店目を開く上で、新しい物件を探したり、リフォームしたり、人員募集や広告を出したりするなど、その額が1000万円ほどかかるとする。ただいくら人気店の店長だからといって、そう易々と1000万もの金額を用意出来るわけではない。だから開店に必要な軍資金を集めないといけないわけだが、この時になって、初めて銀行の出番となる。

 銀行というのはそんな新しいビジネスに挑戦する人に対し、多額の金額を融資して、後に利子を載せて回収するビジネスを行っている。この場合、俺はお前に「1000万円ほど必要ですか?なら1000万貸しますので、5年後に1%分の利子を載せた1010万円で返してください」とそういう交渉をする。

 お前は2店舗目を開き、かつ5年もあれば、1000万円分の利益を出してコストを回収出来ると踏む。そして銀行員である俺はこの契約が成立すれば5年後に貸した分から1%分の利子、10万円分儲けて返ってくるから、お互い儲かってウインウインなビジネスをする事が出来る。つまり銀行員というのはお金を借りたい人向けにお金を貸し、その返済額の余剰分で収益を上げていく。そういうビジネスをしているんだ

「証券」の仕事

 そして証券会社は「お金を得る権利を売る」ビジネスをしている。

 難しい言い方かもしれないが、この世の中には株やFXなど持っているだけで金が増えていく金融商品がある。これは1つの例だけど、会社が多額の金を必要としているが、今、手元の資金だけではどうしても足りない。その為、その会社は株を発行し、1株10万円で買ってくれた場合、ビジネスが成功したあかつきにはプラス1万を上乗せした11万円で返却しますとそういう風に投資家達に宣伝し、株を売買する。

 ここでお前が仮にその会社の株を100株1000万円分買い、後に1100万円が返ってきて100万円分儲かるとお前は踏んでいたとする。しかしビジネスというのはそう上手くいかず、ビジネスに失敗して返却金が1株0円になってしまう可能性だってある。だからこの株に関する金融商品の売買においては、その金融商品自体を売る事が出来、それを行っているのが証券会社なんだ。

 分かりにくいかもしれないが、この場合、お前は株を1000万円分買ったけど、景気が不透明になって出来れば早めの段階で株を売りたい。そこで証券マンである俺が登場し、「先行きが不安定である為、その1000万円の株を1010万円で売りませんか?」と俺はこう交渉する。お前はその株が今後1100万円で返ってくる保証はないし、今なら1010万、10万円儲けて手元に戻ってくる。その為、お前はその提案に賛同し、1010万円で俺に売る。

 そして俺はその1100万円返ってくるかもしれない株を別の誰かに1080万円で売る。こうなるとその買った人は1080万が1100万で返ってくれば20万円儲かるし、俺自身は1010万円で買ったものを1080万円で売ったんだから、70万儲けて、そしてお前は10万円儲かっている事になる。このように証券会社というのは、株やFXなどを売買し、その差額分で収益を上げるビジネスを行っているんだ。

 他にも証券会社はおもしろい事に借用書も売買している。借用書と言えば借金の証明書なんだから、負の財産である以上、本来なら売れないとお前は思うかもしれないが、実際は借りた人から貸した相手に金を返す証明書だから、もし自分が貸した相手になれば借りた相手からお金を貰える証明書になり、意味が変わってくる。

 難しかったかもしれないが、例えばお前が俺に100万円の借金をして、利子付で130万円で返すような契約を結んだとする。ところが俺はお前が自己破産するリスクを恐れて、返済期日まで待たず、その借用書を仲間に110万円で売る方法を取る。この場合、俺はお前から130万円分の金を貰う権利を放棄したけど、110万円が手に入り10万円儲かる。そしてお前は金を借りた相手は俺だけど、支払う相手がその仲間に代わり、その人に130万渡さないといけないというそんな流れになるから、金を返す相手が変わっただけでお前自身の負担金は変わらず、かつ先の株のやり取りと同様、俺は差額分儲けて、その仲間は110万と130万円の差額分、20万円を儲ける事が出来る。このように借用書は人によってはお金を貰う権利になるわけだから、こういう負の金融商品でも金を貰う権利として活用出来るのであれば、それを金融商品として売買して、収益を上げるビジネスを証券会社は行っているんだ。

 でも先輩、確かにそうやってビジネスが成功したり、そして俺が借金を返せればビジネスとして成立しますが、仮にビジネスが失敗したり、俺が借金を返せず自己破産してしまったら、一体どうなってしまうのです?

 確かに一定の確率でビジネスが成立しない事は必ずある。ただそんな自己破産や不渡りなんて滅多に起きるわけではないから、少なからず低確率になっている。仮にその確率が10%とするなら、「なら10%で出る損失以上の利益を残りの90%で出るように頑張れば良い」とそういう風に考えて取引を行っているんだ。

 何が言いたいかと言うと、例えばお前がさっきの1000万円の株を1100万円で売る取引を10回行ったとしよう。仮にビジネスの失敗確率が10%なら、お前は10回の取引のうち1回は失敗する計算になる。この場合、お前は9回成功し、900万円儲ける事になるが、残りの1回は失敗し、会社から「もうしわけございません。1100万円のお約束でしたが、ビジネスに失敗し、800万円でお返し致します。」と言われたら、まぁ、1000万払ったのに、800万円しか返ってこないのだから、200万円損する事になるよな。でも10回の9回成功し、900万円儲けたのだから、全体でみると「900-200」の700万円儲けた事になり、損にはならない。

 つまり証券会社というのは失敗が起こる事を前提に、その失敗する確率を10%などに定めて、ビジネスを行い、残りの90%で損をした金額分を取り戻すビジネスを行っているんだ。そんな失敗する確率が10%と見ても良いのか?と思うかもしれないが、不思議な事にその10%でなくても、ある程度低確率の状態になっていて、、証券会社はその確率を計算しながら一部では失敗しても全体としては儲かるビジネスを行い、利益を稼ぐビジネスを行っているんだ。

「保険」の仕事

 最後に保険だけど、これは「保証を売る」ビジネスだ。

 お前も聞いた事があると思うけど、世の中には生命保険や火災保険など、何かしらの被害に遭った場合、それを受けた損失を補う保険というモノが存在する。もしこれが誰かに暴力を振るわれた事件であれば、法律上で賠償金を請求出来るかもしれないが、それでも足りなかったり、また火事や地震となると、当たり前だが自然相手に賠償金なんて取れるわけがないから、被害の損失は被害者自身が負担しないといけなくなる。ただ人によってはその不足分を補えず、家を持つどころか、借金まで抱え、生きて行く為に犯罪に走ったり、生活保護などを申請して俺達の税金が使われたりする。そんな社会的な損失を食い止める為にも、保険会社というのは、被害を受ける前の生活水準にまで戻るよう保証を提供する仕事をしている。

 例えば仮にお前の家が火事になって住む所が無くなった場合、新しい家を建てるのに1000万円ほど必要だったとする。ところがお前は家事になる前、俺から「火災保険に入っておいた方が良いですよ」と言って保険会社と契約を結んでいて、お前は毎月2万の保険料を支払う代わりに、火事で家が無くなった場合、1000万円貰う契約を結んだとする。こうなると仮に火事が起きても損失分である1000万円は保険会社が代わりに用意してくれてお前は火事が起こる前の生活に近い生活を送れるようになる。では保険会社はどういう風にその1000万円を用意しているのかと言うと、お前が払っている毎月の保険料2万円から出ている。お前はこれを聞いて、毎月2万だけでは1000万貯まるのに500ヶ月、つまり41年8ヶ月かかるから、明らかに保険会社が損になると思うかもしれないが、実際、火事なんてそうそう起きるわけがないから、お前がもし火事なんか起こさず生涯を終えれば毎月2万の保険料が保険会社の利益になる。そしてもしその契約者が500人いれば、1000万の支払い義務が生じても保険会社からは損が出ず、仮に501人いれば2万円が保険会社の利益になる。つまり保険会社というのは恩恵を受ける事が無かった利用者からの保険料の合計が、実際に保険会社が支払う保険金より多くする事で利益を上げるビジネスを行っている。まぁ、別の言い方をすれば保険ビジネスも先の証券会社と同様に一定の確率で保険金を払わないといけない割合というのが存在し、仮に火事や地震などで保険会社が払う保険金が9000億円だった場合、保険会社はお前のような火事などを起こさなかった人達の毎月の保険料をその9000億円より上回るようにビジネスを行い、収益を上げるビジネスを行っているんだ。

銀行、証券、保険の「求める働き方」の違い

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 先輩、とりあえず証券会社の話は難しかったですけど、各金融業界がどんな風に収益を上げているのかは分かりました。しかしいくら各金融業界の収益の上げ方が分かったところで「なぜ銀行?」「なぜ証券?」「なぜ保険」という質問には答えられないと思います。一体、各金融業界のビジネスの仕組みを理解したところで、具体的にどんな風に各金融業界の志望動機を作る事が出来るのでしょうか?

 銀行、証券、保険は全員を同じお金を扱っているけど、注目してほしいのは同じ金でも「融資」「権利」「保証」と呼び名が異なっていて、これは扱っている金融商品の役割が異なっている事を意味する。「扱っている商品」が違うって事は当然「売る相手」も違ってくる。「売る相手」が違ってくるという事は「顧客のニーズ」も違ってきて、「顧客のニーズ」が違うって事は顧客へのアプローチの仕方も違ってきて、ここで初めて「求められる働き方」も違う事になり、各金融業界の志望動機を作る上で必要な要素が見えてくる。つまり顧客のニーズがどういうモノなのかが分かれば、自分達はどのように働かなければならないのか?その辺が見えてくる。それ故、これからは各業界の顧客のニーズと、そしてそのニーズを各業界はどのように応えているのか?その2点について説明したいと思う。

「銀行」で求められる働き方

 銀行の場合だけど、融資を受けたい人は、これから新しい店舗を作ったり、生産力を上げる為に新しい機械を購入したいなど多額の資金を必要としている顧客が多い。その為、多額のお金を貸し出す以上、その金が返ってくる事が前提となる為、相手のビジネスを成功させるような働き方が求められる。その為にも銀行員は融資先のビジネスが本当に成功するのかどうかを見極める為、実際に足を運んで、今後のビジネスはどうしていくつもりなのか?そしてそれが出来る程の技術力を持っているのか?など現場や資料などを見て判断したり、または社長や社員と話し合って決める事もする。その手の情報を集め、そして整理し、今度は融資を出す為に行員の先輩方と議論し、そして最適な提案内容を決める事をしないといけない。

 簿記の知識もさることながら、人を見てビジネスが成功するかどうかを判断する観察眼、そして何よりも節税や資金運用など、どのように金を動かせば一番効果的なのかも把握しないといけない。他にも例えば新しい店舗を運営する上では人手や立地条件などの情報も必要になってくる為、自分や先輩の融資先や知り合いから人手を集めたり、または新店舗を置く不動産情報を集める事もする。言いかえれば、相手のビジネスを成功させる為に必要なノウハウを提供する事を銀行では求められるんだ。

 他にも先のような法人営業だけでなく、一般の人向けのリテール営業もしている。例えば定年退職後の高齢者の場合、老後の資金を集める為、不動産賃貸を行う人がいる。しかし退職金だけでは賃貸マンションが建てられないから、銀行から残りの額を借金してそして生計を立てる人もいる。この場合、借りた金額がこの賃貸マンションだとどのくらいの年月で返せるのか?そして月いくらほど儲かるのかなど説明し、まぁ、最適な融資額を提案して相手の生活に貢献する事も行っている。

 つまりもし面接で「なぜ銀行なの?」と訊かれたら、「ビジネスの成功や人の生活に貢献出来るような仕事をしたいと思いました。」という志望動機にすれば、他の金融業界の中から銀行を選ぶ理由として相応しくなるだろう。

「証券」で求められる働き方

 んで、証券会社の顧客についてだけど、「自分の資産価値を高めたい人」や「資産を増やしたい人」が主なターゲットになるだろう。先の銀行と同じかもしれないが、定年退職後の老後の資金を作る為、株やFXで資産を増やす人の相談を行う事になる。別の見込み客としては、最近では学費が高くなっている為、「子供を有名校に入れさせる為のお金が欲しい」という子持ちの親向けに金融商品を紹介したりもする。結局のところ、相手が持っている資産をどのように運用したらもっと資産を増やせるのか?その辺のニーズに応える仕事ぶりが求められる。

 お前だってニュースで「金の価格が高騰」、「日本は円安になる。」「アベノミクスの影響で」など一時期に特定の商品が高くなりそうな話題を聞いた事があるだろう。証券会社の人達は特にそういうニュースを聞き、そして高くなりそうな商品を安いうちに手に入れ、高くなってから売るという事をしている。つまりこれらの複雑な金の流れを予見し、自分の資産価値を上げたり、そのノウハウを顧客に提供してコンサルタント料を取ったりして生計を立てている。これらで食べて行く為にも物事に対する分析力や日頃からニュースを見て、正しく判断する能力というモノがこの業界では求められる。

 つまりもし俺が面接で証券会社で働きたいと言うのであれば、「分析や、物事を正しく判断する事が好きなので、その辺のスキルを磨いて、人々の資産価値を高め、生活を豊かにするような証券マンになってみたいと思い、志望しました。」とこういう言い方をするな。

「保険」で求められる働き方

 最後に保険業界についてだけど、生命保険や火災保険など、夫や家などを無くせば当然、残された家族だけでは生活出来ない場合があるから、それを補う資金というモノが必要になってくる。実際、自動車保険の場合だけど、運転して事故を起こしたけど、保険が入っていなかったせいで治療費や相手への賠償金を支払う事が出来ず、家を売るというパターンになり、生活自体が成り立たなくなるという事がある。その為、保険を求める利用者は多額負債額を背負うリスクがある人達という事になる。

 実際、日本では東日本大震災を機に地震保険に加入する人が増えたり、また日本では珍しい竜巻が発生し、竜巻による被害も保険で適用するよう調整した所もある。また他にもバイトテロで店じまいになった飲食店やコンビニ向けに店員や客による不衛生行為による保険や、異物混入による被害による保険まで出るなど、不安に対するニーズに対応する事が起こっている。

 このように保険業界というのは、将来起こりうる問題に対し、どのような備えをしておくべきなのか説明出来るようにしておかないといけないから、保険業界を志望する理由として「今後起こるとされる問題に対する備えなどの知識を身に着けて、安心して生活できる事に貢献できる人間になりたい。」と安心・安全を磨きたいという志望動機が保険業界として素晴らしい志望動機になるだろうね。

銀行、証券、保険の各金融業界のデメリット

 先輩、今まで各金融業界の違いや、そして各業界ごとの志望動機の作り方に関して何となく理解出来たので、これで何とか就活出来ると思います。ありがとうございました。

 一応俺が持っている使える情報は伝えたと思っているが、この際だから補足としてもう少しだけ説明しておこう。実は今まで話してきた内容は確かに就活では使えるかもしれない情報だが、一方で金融業界における悪い噂というモノを聞いていてな。だから今の情報で仮にお前が金融業界に入って、「言っていた事と違うじゃないですか」と言われるのも癪なんで、各金融業界ごとの問題について説明していこうと思う。

 実は俺が聞いた限りでは保険や証券業界は離職率が高く、ブラック企業の1つだと言われている。その所以は保険や証券の場合、金融商品を売り方があまりにも非効率だという見方がある。というのも例えばお前がその2つの業界のどちらかに入社した場合、研修を終えた後、ひたすら企業に電話し、そしてアポの許可を取って足を運び、そして自分の商品を紹介し、売る。またはそのまま飛び込みで会社に入り、その際に商品を紹介して売るという方法も取っている。こういうのもテレアポや飛び込み営業と言うのだが、これがかなりの重労働だと言われている。

 俺が聞いた話によると先ず新人は研修中、社会人におけるマナーや金融商品の知識、そして契約の結び方など、営業に必要な最低限の取り組みを教わる。そしてその後、テレアポや飛び込み営業を中心に行うのだが、

1、電話は200件かけて、1回の割合で訪問許可が下りる。

2、訪問許可の20件につき、1回の割合で契約が結ばれる。

 など4000件かけてやっと契約が取れると言われる程、かなり数をこなさないといけない業務だと言われている。挙句の果て、この2つの業界は昔からこの方法で成約を結んでいるわけだから、かける先の法人、一般客から煙たがられている状態になっている。何が言いたいかと言うと、

「また保険かよ。ウチは間に合ってる。」

「おたくの商品のせいでウチは損を出したんだ。」

「ほう、ではどれだけ素晴らしいか言ってみて?」

 と高圧的な態度で接してくる。無論大抵は「間に合ってます」「社長は席を外しています」と言われて1分足らずで話が終わるんだけど、それをお前は4000件、しかもひたすら毎日、正に定年退職するまで電話をかけ続けなければならない。仮にアポを取れても、冷たくあしらわれるか、散々話した挙句「やはり結構です」と言われる事も多いから、世間から風当たりの強い仕打ちを直に受ける営業と言える。

 んでこのような客からの仕打ちだけでなく、会社の先輩からも酷い目に遭う。これら2つの業界は売ってなんぼの世界。つまり例え客に対し、プラスにならないモノ。または明らかに損が出ると分かっている物でも「売れ!!」と迫る状態になっている。つまりこの業界では行く先々で客から冷たくあしらわれ、そして成果を上げずに帰ると先輩たちから罵倒される。言わば一種の門前の狼 後門の虎という状態だな。その為、新人の中には良心の葛藤というのも生まれて苦しいし、無論、売れない商品なので客からそれを指摘されて詐欺扱いされて罵倒される。更には商品が売れない為、責任問題へと発展し、ノルマを達成出来なかった罰として不足分の金融商品を家族や知人、または自分が買い取るという自爆営業によるトラブルもある。

 先輩、とてもじゃないのですが信じられない話なんですけど?何故こういう風な状態が横行しているのです?

 保険や証券は銀行とは違い、別に相手のビジネスを成功させる必要もない。そしてこれら2つの業界のもう1つの特徴として歩合制がある。つまり売れれば、その分に見合った報酬が出るようになっていて、例え客が損をする商品でも売れれば報酬が出る仕組みになっているから、まぁ、業界全体では客が喜ぶ事よりも、客に商品を売る事を優先している風潮がある。そしてそれを更に極めた結果、売れない奴は悪い。だから責任を取る為、商品を買う。そんな商慣習が根付いたのではないかと俺自身思っている。

 このように稼げてなんぼの実力主義を極めていった結果、客の気持ちよりも、売るテクニックばかりが重宝されるようになり、客から嫌われる状態となっても、そのような状態でも売る方法を考えるのがこの業界での当たり前の考え方になったらしく、俺の知っている例だと先ず若い新人のその客先に行かせて、「こんな若い新人を・・・」と思わせて「商品を売らないと先輩から酷い仕打ちを受けるのです」と同情を誘いノルマを達成させる事をする人もいるらしい。その為、クレームの改善や先輩からの罵倒も放置されるようになり、生き残る確率は1割と言われているほど、退職率が大きい業界になったんだと思う。

 まぁ、無論中には良い人もいる。証券や保険というのは企業側からしてみれば資産運用の一種で会社運営に欠かせない存在でもある。社員の退職金を増やす為に積立金を如何に増やすか、そして万が一会社で新しいビジネスに参入する場合、どんな保険に入っていった方が良いのか?扱っている商品や規模が大きくなる事で再契約を結んだ方が良い金融商品もあるから、この不景気の時代を乗り越える金融リテラシーを提供する営業マンだっている。言わば証券や保険を売る営業マンというよりも会社の運営に必要は知識を提供する経営コンサルタントのような仕事をする人だっているから、ほんと証券や保険は生きていく上では必要な商品で、その辺のやりがいを感じるはずの職業なんだ。

 ちなみに先輩。先輩は証券や保険の業務に対し、快く思っていないようですが、では相手のビジネスを成功させる事が前提の銀行の方が有力という事でしょうか?

 あながちそうとは言えない。というのも銀行にもノルマというモノが存在する。具体的には支店ごとに社員が企業に融資するべき月ごとの融資額っていうのが決まっていて、その融資額を超えていないと各支店ごとにペナルティが発生するらしい。他にも窓口ではクレジットカードの契約のノルマや定期預金のノルマまで存在し、先の保険や証券会社のようなノルマを達成出来なかった不足分を誰かに負担させるような問題もある。

 更に今はフィンテックと言って、ITの普及により今までは家計簿や会計など財務関連のサポートのみの存在だったのが、銀行三大業務の融資、預金、為替にまで参入してくる状態になっている為、今まで銀行独占の収益だったのが、IT分野にパイが奪われる状態になっている。これがどのくらいの脅威かというと、例えば昔は税理士は絶対に無くならない職業だと言われていて、その所以が納税処理は絶対無くなり業務で、その業務を扱えるのは税理士だけと独占状態だったからと言われている。しかし今ではネットで自分で稼いだ金額や家族構成などデータで算出し、詳しい知識がなくてもコンピューターが勝手に計算してくれるから、税理士に頼るのが必ずしも必要な事ではなくなってしまっている。その結果、コンピューターの方が安いし、早いし、間違えない為、税理士に頼むよりよっぽど頼りになる事から、客離れが起き、税理士でも安定した職業とは言えなくなってしまった。というように独占状態から強力なライバルが生まれる事は時代に取り残されて潰れるリスクを生むわけだから、銀行も今後客が利用したサービスを作り続けなければ生き残れない。そんな時代になりつつあるのだ。

 またITの普及以外にも銀行には保険や証券と同様に客から特徴的な嫌われ方をしている。というのも保険や証券の場合、いらないのに客に商品を押し付けても損はないけど、銀行の場合、融資に失敗すると損を出すから、欲しい時に融資してくれない、言わば助けてほしい時に金を貸してくれない。そんな嫌われ方をしている面がある。例えばリーマンショックや東日本大震災など、景気が悪化した時は、銀行のほとんどはリスクを恐れ、貸し渋りを起こし、金が無い為に潰れてしまった店も多くあると聞く。その為、顧客から「必要な時には貸してくれない」とそんな不安を抱かれてしまい、銀行に頼らず金を集める方法に注力する所が増えている。例えばクラウドファンディングで一般の人から融資を募ったり、またはコスト削減をする事で資本を蓄えたりなど銀行離れが行っている。これらはネットの普及により企業個人でも出来るようになっているから、言いかえれば銀行の保守的な体質が更にIT普及を促しているから、更に自分達の首を絞めるかもしれないというわけだ。

 先輩、つまり今までの銀行の話をまとめますと、銀行というのは保険や証券と違って商品を押し付けたりしませんが、逆に客が必要としている時に助けてくれない。そんな不安を抱かれている。その為、今までの銀行の利用者の中には独自で金を集める人達も増えていて、これからITによる対策に力を入れないといけないのに、逆にITの普及するスキを生んでいて、もし銀行に入行したら今まで以上に厳しい営業をしないといけなくなる。そういう状態にあるということでしょうか?

 無論、これは一種の俺の仮説の段階だし、「融資額が高いので先ずはクラウドファンディングである程度資金を募ってから、足りない分を融資で出すように致します。」と、融資額を下げる事で審査を通りやすくするというITと銀行を両立させる仕事の仕方だってある。結局のところ、現時点ではまだ先行きが不透明であるから、これから銀行の仕事が一体どんな風に変化していくのかは、誰も分からない状況だという事だ。

 ただ銀行員なのに辞めてしまうケースは他にもある。俺がよく聞く話では銀行は3年に一度転勤をする傾向になっており、転勤が出来ずにやむ終えず退職する人もいる。銀行員の転勤というのは、そんな東京から神奈川など隣の件に移るとかそんな話ではなく、北海道から九州など遠い場所に異動させられる場合がある。場合によっては中国や台湾、韓国など海外転勤の可能性もあるしな。そんな地理的な苦というのもあるかもしれないが、他にも現地で培ってきたビジネスや取引先との付き合いも、一度置いておかなければならなくなる。人によっては自分がやってきたビジネスに対し、本腰を入れたいと思っている人もいると思うし、地理的な違いや地方の考え方や違いを受け入れられず、現地でのやり方を飲み込めず失敗する可能性だってある。つまり転勤は今まで築き上げてきた信頼、実績、そしてネットワークが全てリセットされてしまう事になりかねない。挙句の果て、それが3年に一度の割合で起こるから、定年までの間に何度も同じような事が起こる。無論、今は昔とは違いネットで繋がる事が可能だから、何とか対処出来るが、やはり距離的な影響もあるし、仮にお前が結婚して子供を産んだ場合、お前のお子さんには3年に1度、「友達と離れたくない」と言って泣かれることだってあるだろうし、仕事の都合で家庭に亀裂が入るリスクも存在する。このように銀行に勤めると頻度の高い転勤を余儀なくされる場合があるから、その辺の覚悟を持っておいた方が良いぞ。

 今のは転勤に伴う金融業務の大変さについて話したが、他にも金融業界は顧客に商品を説明する義務がある為、金融に関する専門知識を心得ないといけない面がある。これは保険や証券でも同じだが客に金融商品を売る以上、金融商品に対する説明責任というのが存在し、金融の専門用語正しく説明出来るようにならないといけない。一説によると金融商品は1ヶ月に1度、新商品として入ってくるから、その度に商品の特徴を捉えないといけない。ある程度経験を積めば、どんな商品か入ってくるかは予想出来るけど、新人の場合、覚える事が多すぎて、適当な説明をしてしまって、客から指摘され、上司や同僚に迷惑をかけて袋小路になる場合もある。まぁ、金融商品に対する知識も必要だけど、それ以外にも金融関連の法律や、手続きの仕方、そしてその手の資格も身に着ける必要があり、銀行の場合、銀行業務検定協会が推奨している「税務」「金融コンプライアンスオフィサー」「経営支援アドバイザー」「投資信託」「法務」「年金アドバイザー」「ファイナンシャルアドバイザー」などがある。これらは簡単に覚えられるものではなく、人によっては業務中や休憩の合間に覚えたり、休みを返上して金融に関する知識を身に着けないといけない人もいるから、金融関連の知識を如何に覚えられるかが肝になる。

 このように金融業界は金融企業自体が潰れるリスクも出てきたけど、その前に社員自身が潰れるリスクも忘れてはいけない。それ故、銀行業務をある程度経験して、さっき言った資格ではなく、IT技術を身に着け、フィンテックのベンチャーで活躍するのも1つの手だとも言える。話はもとに戻すが、保険、証券、銀行、どの業務においてもITの参入によって仕事は今大きく変わりつつあるから、どの業界が有力候補かと言われても正直、何との言えないのが答えだ。

 まぁ、今までかなり黒い一面ばかり話して、金融業界に勤めたくないと思ったかもしれないが、そんな状況下でも働きたいという人がいる。というのも金融業界のほとんどは資産のある社長や経理担当者、そして一般消費者では財布を握っている奥さんや退職高齢者を中心にビジネスを行う事になるから、そんな人達と話せるようになると生きていく上では必要な知識などを身に着けられる。そして大抵は経営や生活の資産運用に関する相談が多いから、先のフィンテックの活用、為替と株の情報、そして土地や遺産、相続税、金融関連の法律、節税などの相談が中心だから、金銭的な知識を身につけたりのであれば、金融業界が良い。

 お前の世代だと年金が貰えるかどうか分からないし、保険料や消費税だって今の大人より負担を強いるようになる。それ故、資産関連の知識は今後、自分にとって大きな武器になる。更には海外に転勤して、そこで現地の生活について知り、そして将来は海外で暮らせるようになるのも1つのだから、まぁ、辛いかもしれないが、将来その経験が生かされる可能性もあるわけだから、1つの志望先として考えても良いと思うぞ。

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