就職留年を親に反対され、失敗する就活生の例

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 就活に失敗し、就職留年して来年また就活を頑張ろうとしている人は大勢いると思います。実際、日本は新卒採用を中心とした雇用システムになっており、大手に入る為には新卒枠からしかないと言われています。その為、今年の就職活動で芳しくない結果を出した場合、大手にいく為に就職留年し、来年再チャレンジする事はある意味合理的なのかもしれません。

 

 ただ就活生の中にはそんな雇用システムであるにもかかわらず、親から就職留年を反対され、卒業させられ、そして苦しい生活を送る事を余儀なくされた人もおります。何故親は就職留年に反対し、そして何故就職留年をしない道は生活難に陥ってしまうのか?

 

 ここでは実際に親の反対により就職留年が出来ず、既卒、並びに契約社員として人生を歩む事になった就活生の例を描いた内容を載せております。もし就活でうまくいかず、更には親に就職留年を反対された場合、どのような人生が待っているのか?その参考となるコンテンツを載せております。

 

親が就職留年を反対する理由

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「就職留年なんかするな」

 

 親が最初に言ってきたのは、この言葉である。その理由として学費は誰が払うんだ!!だと経済的な理由で留年を許さないのが理由だった。

 

 もちろん、親に学費全てを負担させるわけにもいかないし、就職留年する以上、時間が出来次第、アルバイトをして学費を稼いだり、来年の面接では恐らく「なぜ去年は就職に失敗したのか?」という質問が飛んでくるだろうから、その辺の対策も取りたいと思っていたから、親に甘えるような生活を送るつもりはなかったのだ。

 

 ちなみに俺が通っている大学は有名大学だから、1年の学費はおよそ70万くらいになっていた。これを時給1000円のアルバイトで稼ぐ場合、700時間。つまり30日分の時間が必要になってくるわけだ。無論30日もぶっ続けで働けるわけでは無い為、365日でその金額を稼ぐようにしないといけないのである。

 

 巷では就職留年目的での留年は大学によっては学費をある程度減らしてくれる所があるが、残念ながらウチの大学にはそんな制度は無かった。1日あたり約2時間のアルバイトをしないといけない為、親としてはそんなにアルバイトする時間があるのか?と不安に感じてしまうのは仕方のない事なのかもしれない。ただ残り1単位で卒業出来るよう調整し、後1科目分のテストに合格すれば卒業出来るわけだから、そんなに難しいわけではない。だからその辺を説明すれば親も分かってくれるのだと、当初はそう思っていた。

 

就職留年の価値を知らない親

 

 そういうわけで、不器用ながらも1年を通して学費の70万円を稼ぐ算段について説明したわけなのだが、

 

「学生の本分は勉強だ。アルバイトなんてとんでもない。」

 

と就職留年に反対というよりも、俺がアルバイトをする事に反対してきたのだ。巷ではブラックバイトに入ってしまい人生をむちゃくちゃにされる学生が後を絶たないと噂されているから、アルバイトで稼がず、そのまま卒業して就職活動をしなさいと言ってきたのだ。

 

 ただ親は就職留年の価値というものを丸っきり分かっていなかった。もし俺がこのまま卒業してしまった場合、職に着く方法としては既卒、派遣、アルバイトの主に3つの方法に限定されてしまう。派遣とアルバイトは雇用が不安定だし、収入も正社員と比べて安い。だから恐らくだが、既卒で就職活動をする事になるだろう。

 

 そして既卒の場合、既卒枠で学生を採用する大手があまりいない事がネックになっている。つまり既卒で就職活動をする以上、中小企業の優良企業がせいぜい目指すべき志望先になってしまう。優良企業でも大手と比べれば福利厚生も給料にも大きな違いがあると思われる為、どうせやるなら就職留年による新卒で再度チャレンジしたいというのが本音だ。

 

 ただ親としては本年度の就職活動で失敗した以上、来年もまた同じように失敗してしまうのではないのか?と疑っており、金や時間が無駄になってしまうと心配しているのだ。つまり親を納得させる為には来年絶対に大手に受かる保証というモノを示さなければならず、無論、そんなモノ、俺どころか、誰も用意出来るわけがない。

 

「残り1単位程度なら取りなさい。時間と金を無駄にするな!!」

 

 と言ってくる。既卒での大手入社は難しいという俺と、金と時間を無駄にすると言って一向に就職留年に反対する親だったが、ある日、親が大手で既卒採用をしている所があるかどうかをネットで検索していた所、一応大手でも既卒で採用している所があると主張し、大手での入社は可能だ。だから既卒で就職活動をしろ。と親は拍車をかけてきたのだ。

 

既卒でも大手に入社する事は可能なのか?

 

 そんな親の猛反対を受け、仕方がないので、一旦は既卒を視野に就職活動をしようと考えるようになった。ただ既卒での就職活動は初めてだし、何かしら既卒の実態について調べる事が出来ないかと思い、新卒・既卒・第二新卒の就職をサポートする“いい就職.com” に登録して既卒について相談出来る相談会に参加してみた。

 

 そこでの話で俺は試しに「既卒で大手に入社出来る確率はどのくらいですか?」と尋ねてみた。するとそのセミナーの主催者から「難しい」と言われてしまった。何故なら既卒での正社員の採用確率は30%~40%と言われており、その上、大手への志望となると更に狭き門に突入する事になる。更に大手でも既卒採用枠を設けている企業はあるが、それは事実上海外からの帰国者向けの採用枠だと言われている。

 

 海外は日本の大学とは違い、4月入学3月卒業ではなく、8月入学7月卒業のシステムが主流になっているらしい。つまり7月で卒業するシステムである以上、海外で急きょ日本に帰国する事になった日本人は事実上、8月から既卒で就職活動をする事になる。しかし8月から就活を始めるという事は事実上大手の募集は締め切られている上、更に既卒の状態で就職活動をしないといけなくなる。それ故、大手の中にはそんな海外からの帰国生向けに既卒の採用枠を設け、事実上海外からの帰省組を採用する枠になっているのである。

 

 ただ一応俺でもその既卒枠で募集する事は出来るが、ライバルとなる海外からの帰国生は4年間海外の大学で勉強した為、英語がペラペラ、更に日本のような講師の話を一方的に聞くタイプではなく、実験や働く現場などで作業し、実際に社会で必要とされる経験を積むようなカリキュラムが組まれている。つまり英語が話せ、実践経験豊富な人達がライバルである為、俺のような新卒枠でさえ受からなかった人間が到底入り込める余地などないという事だ。

 

 これを聞いて家に帰って、早速親に既卒での大手への入社は難しいという事を話したわけだが、結局のところ、来年新卒で大手に入れる保証という部分に行きついてしまう。親としてはいくら既卒での大手への就職が難しいからと言って、来年新卒で就職活動をしても、1年留年した事実が大手への就職を困難にさせ、同じように大手への就職が困難なら、大学の高い学費を無駄に払ってまで行く必要がないという事で、既卒の方を断固勧めてくるのである。

 

 他にも就職留年をしたとして、他の新卒の学生より優れた経験をどうやって築くつもりなんだと訊いてくる。実際、長年アルバイトをしてきた就活生は多く、学業とアルバイトを両立してきた就活生の方が評価されるのは当然だと言い、俺が採用される理由が全く見つからないと言ってきたのであった。新卒で内定が取れなかった俺の信用はガタ落ちで、これ以上、就職留年にこだわるのであれば、家から出て行ってもらうと言ってきたのだ。流石に1人暮らしをするほどアルバイトで稼ぎを得られるかというとそれはノーである為、もう俺は既卒で就職活動を行う事にした。

 

既卒の就職活動に干渉してくる親

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 既卒で就職活動をすると決めてから俺は【ウズウズカレッジ】 【ハタラクティブ】 などに登録して、既卒の準備を始めた。

 

 ただウチの親が「新卒で失敗した以上、今度こそ失敗は許されない」と既卒のやり方について口出ししてきたのだ。実際、新卒で落ちたわけだから信用されていないのは仕方がないけど、俺以上に既卒について知らない親が就活に口をはさめば事態は更に混乱する事は予想が出来た。実際、「給料が極力高い所をリストアップしたわ。」と言って、そこを受けるよう施されたり、第二新卒向けのオンリーなのに、そこも募集しようとしたり、挙句の果て、

 

「確か去年は食品業界が先にエントリーを開始していたわね。キッコーマンやミツカンを今すぐエントリーしなさい。」

 

 と既卒の採用枠を設けていない大手にまで志望しろと言ってきたのだ。今まで大手への志望は無理だと言ってきたけど、どうやら「そんなのやってみなきゃ分からない」と言って、こちらの言い分に訊く耳持たず。そして既卒のサイトに登録しても見つからず、新卒サイトに登録して受けさせようとしてくるのである。ただこの時は大学3年生しか選択できない仕様だったので、事なきを得たが、「嘘よ!!」「何で!!」と言ってその場で泣き崩れたり、「どうしてこんな大事な事を言わなかったの!!」とヒステリックになって大変だった。

 

 無論、その事については何度も指摘したと反論したが、「ちゃんと説明しなかったあんたが悪い!!」と言い、こちらの非にされた。そんな形で更に信用が無くなった俺は親からブラック企業濃厚だと思われる企業を志望するように勧められた。その理由は給料が比較的に高いからである。ただこれも先の就活キャリアコンサルタントに訊いてみたのだが、優良企業の平均給料は多くて20万円。それ以上の給料を示している企業は大抵、残業代込みの給料の可能性があると聞いていた。つまり例えば求人広告に23万と比較的に高い月給が表示されていたら、それは恐らく残業代込の給料。言いかえれば本当は基本給は15万程度なのに、残業代80時間分の8万円を入れた23万円と求人広告に書き、あたかもそれが基本給のように書かれている可能性があるという事だ。その為、もしそれが本当ならウチの親は俺を月15万円の安月給で、更に月に80時間働かせる事が前提となっているブラック企業に入社させようとしている事になる。

 

 そういう就活での裏情報を親は心得ていない為、その度に衝突が起こり、大変苦労した。この手に関してはネットで求人広告詐欺の内容を調べたり、または既卒の相談員(プロの人)の人の意見を聞かせて何とか最悪の事態を回避するようにしていった。ただそれでも親の愚痴は止まらない。

 

「どうしてそんな企業に行こうとするの?」

「内定まだなの?」

「元はと言えばお前が就活に失敗していなければ・・・」

 

 と事あるごとに言ってくる。正直な所、就職留年に反対され、挙句の果て大手への就職は無理だとあれだけ言ったのに、大手大手と言ってくる親の対処に精神的に疲れていて、更に愚痴で追い打ちをかけるのは本当にどうなの?と思ってしまう。

 

 更に時間があれば求人広告を探して、俺に紹介してきて「食べる事が好きだからこの食品会社なんてどう?」「資格があるから大丈夫」と大手病丸出しの志望動機を履歴書に書いてきて、それを提出するよう強要してくる。俺の友達に俺と同じような就活に過干渉な親がいるが、その場合、親の知らない既卒向けのサイトに登録して、内密にやった方が2度手間だが、ある意味、自分の意志で就活しやすいとアドバイスをくれて、本当にその通りだと思った。

 

内定を取るまで孤独な既卒の就活

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 親とのいざこざ精神的に疲れるわけだが、既卒の就活の苦しみは親だけではない。面接官からの辛口コメントもどうように精神的に来るものがある。

 

 これは俺の主観だが、大手の場合、圧迫面接をすれば、学生に不満を買い、ネット上などで悪口を呟かれ、ブランドイメージがダウンされるリスクがあるから、辛口なコメントをあまりしないが、中小企業の場合、ブランドイメージを気にせずに本音で語って来る為、キツイ事を言ってくる面接官が少しばかりいる。例えば、

 

「君は何で学生時代にアルバイトしなかったの?何もしなくても内定が貰えると思ったの?」

「親のスネを齧って就活している事に申し訳ないと思わないの?」

「何で君のような人を採用くれると思えるわけ?」

 

とホント心底がブルーになる事ばかり言ってくる。出来れば親が干渉してきて就活が上手くいきませんでしたと言いたいが、その場合、「人のせいにするな。」「では親を抑止出来ないという事は仕事にも支障が出るという事なのかな?」「あっそ」などそんな返事ばかり返ってきて、正直マイナスイメージしかつかない。

 

 実際、親の事を話しても、それは相手に同情を買うだけであり、自分のアピールする面接の場においては、感情移入してくれても、採用にまでは結び付かない。言わば、事実を述べてもそれは自分の気持ちが楽になるだけであり、先のような不安要素を面接官に与えない為にも、親の事は伏せた方が良いのである。

 

 その為、俺の既卒においては、親のせいではなく、自分のせいにして既卒の面接に臨まなければならず、「周りの意見に振り回されていた。」「自分はこういう事をやってみたいのです。」とそんな形で既卒の就職活動を行うようにした。

 

これだけでもかなりキツイのに、家に帰ると今度は親が、

 

「まだ内定が取れないの?」

「はぁ~、どうしてこんな事に・・・」

「他の子はもう既に社会人となって・・・」

 

 など愚痴ばかりこぼしてくる。なんで一番辛いのは俺なのに、親の愚痴を聞く事になっているのか?正直泣きたくなってくる。しかしアルバイトをした事がない俺からすれば、既卒も親の支援がなければ、事実上出来ない。その為、親に対する反抗は、家から出ていけと言われるパターンに陥る為、愚痴も我慢して聞くしかない。

 

 このように内も外も俺の味方になってくれる人がなく、事情を知っている友達やキャリアコンサルタントが唯一の相談相手になっていた。

 

採用してくれるのは、ブラック企業

 結局、特にアピールする方法が無かった俺は飲食、介護、ITなど人手不足で有名な業界ばかり志望し、最終的にブラック企業かもしれない所から内定を取った。

 

 ただ勿論俺は嫌だったのだが、ウチの親は未だに就職先が決まらない俺に痺れをきらしたのか、「どこでも良いから就職しろ」と給料の高い求人ばかり紹介してきて、そのほとんどが給料を水増ししたかのようなブラック企業濃厚の求人広告だった。ただもう面接官の辛口や親の愚痴につかれて、早く就活を終わらせたいという気持ちで一杯だった。

 

「ブラック企業に入社しても、将来転職して優良企業に入れるのでは?」

 

 とそんな淡い期待をしてしまうようになっていた。その為、最早ブラック企業でももうここで既卒の就活を止めて、ある程度働いてから転職活動をしようと思う。

 

親元から離れたいのに実家で暮らす事を強要される

 

 ブラック企業だと思える面接を1回受け、そこから内定を貰う事が出来た。そして契約時、明らかに求人票とは違う内容を提示され、「君行く当てがないんだろ?」のような雰囲気の中、これで契約を結ぶ事になる。ただこれでやっと俺の就活が終わり、晴れて解放される気分にはなるが、その気持ちを沈める一言を親が放ってきた。

 

「低収入の職についたのだから、ウチにずっといなさい」

 

 人によってはこんなに干渉してくる親なんか、就職したら直ぐ家から出て行ってやると思っている人もいるかもしれないが、事実俺もその1人である。ただ残酷な事に親が言っている事は的を得ている。低収入でかつ、家を出て一人暮らしとなれば、掃除、洗濯、食事、納税など全部自分1人でやらないといけない。更には家賃の問題もある為、それなら実家で暮らして、安い金額を親に渡していた方が合理的なのである。更には勤め先がブラック企業である為、体を壊した際、すぐ助けが呼べるよう、自分の傍に誰かがいた方が安全である。

 

 ただウチの親と屋根の下で暮らすと逆効果ではと思ってしまう。これから色々と忙しくなるし、給料が高いと思って、入社したのに、給料の低さで何かしら言ってくるのではと感じてしまう。更には就職先が決まっても、今まで散々就活で苦労させてきたという理由から通帳、印鑑は全て親が管理して、まともな生活を送れるよう頑張らないといけないと言い出したのだ。そしてその通帳と印鑑は家の金庫の中で、その金庫の番号は俺は知らない。事実上、今後の金銭管理についても親を通じて出してもらわなくてはならず、それはある意味、転職する際、親にその事を話さないといけない事を意味する。

 

正直ブラック企業に勤める事になったけど、俺は本当に転職する事が出来るのか?と当初の見込みの甘さをひどく嘆いた。その為、就活は一応終わったが、俺の人生の先行きは掴めない。