ESが通らない原因について審査する大手人事部の例

『ESが通らない』

 就活をしているとESが思うように通らず、新しい就職先の確保が必要になってくると思います。しかしそこでも改めてESを出しても通らない。選考結果が来る頃にはもう他の選考は締め切られており、一体どうしたら良いのか迷う人、またまだチャンスがあるのであれば通れるESを作りたい。そう思う人もいると思います。

 では具体的にどうやってESが通る内容を作れば良いのか?ここでは実際にESの審査を行っている大手人材サービス会社の視点でなぜESが通らないのか?そして通る為には具体的に何をしないといけないのか?その視点で説明しております。

何でESが通らないのか?

『ESの振り分け作業。今年も頼むよ』

 と上司が毎年のように俺のところに沢山のESと送ってくる。大手クラスになると毎年約1万人以上のエントリーシートが送られてくる。だから大手人事部の人達だけではさばききれないわけだから、俺のような人材関係会社の人達にも振り分け作業の依頼がやってくる。そして俺もこの手の仕事を行う1人であり、毎年大手からやってくるエントリーシートの振り分け作業を行っているのだ。

 そして俺の作業の仕方と言えば、3時間のうちに約100名の就活生の振り分け作業をしないといけない。一人当たり1.8分。正直、内容を早読みして、ちゃんとした人なのかどうか?それで判断するしかない。依頼も『日本語がちゃんと使えているか?』とそれだけで書類選考の合否を決める事になっているから裏調査とか必要ないらしい。そんな日本人に対し、日本語が正しく使えているか?など意味が分からないかもしれないが、就活というのは自分という商品をアピールする場でもある。だからそんな事も分からずにただ文字を埋め合わせたかのような相手に意図が伝わらない内容も排除対象の候補になっている。では具体的に就活生はどんな内容を書き、そしてどんな内容を書くと落とされるのか?俺個人の基準だが、学歴や資格の有無を除くと、以下の3つで落としている。

  •  事実だけ述べている
  •  自慢話
  •  大した事でもない事を大きくいっている

ESが通らない原因:事実だけ述べている

 ESの中には『資格を取った』『バイトを3年間続けました』と書かれているモノが結構目立つ。まぁ、事実資格の有無やバイトの内容次第で合否の判断を決めているのだから当然か。しかし中には、ひたすら資格を取っただけの経緯を述べていたり、バイトでやっていた事をただ書いているだけのモノもあり『この子は何が言いたいのだろう?』という気持ちに陥る。

 資格を取ったのであれば、その資格を今後どのように活かそうと思っているのか?それとも資格の”取得しやすさ”をアピールし、入社後も”忙しい中でも資格を取れますよ”と言いたいのか、それが曖昧なせいで評価が出来ない。バイトも長く続けていた事をアピールする人もいるけど、長く働くのは社会人になれば当たり前の事。こちらとしてはどうして長く働けたのか?そしてその継続力が仕事においても辛抱強く成果を上げるまで耐えられる代物なのか?それを判断出来るモノではないと評価されない

 就活生の中にはどんな資格やバイトをすれば有利になるのか?と質問する人がいるけど、就活というのはただバイトや資格を持っていたとしても評価されるモノではない。もし資格についてアピールしたいのであれば食品業界であれば『栄養関連の知識があり栄養観点から自社商品を提案出来るようになりたいと思っています』だったり『銀行や建築業界の場合、資格を取得しなければ業務が遂行出来ないモノが数多くあると知りました。その為、資格の取得しやすさをアピールする上でESに書きました』なら理解出来る。バイトも『御社の取引先の候補が居酒屋やスーパーだったので、取引先の業務知識を身に着けています』とかなら分かる。

 まぁ、結論として何が言いたいのか分からない内容を書いていれば、仕事でも何をすれば良いのか判断出来ない。または相手に伝われない事になり、仕事で支障をきたす人材の可能性があるから、ESで落とわれる1つの原因になっている。

ESが通らない原因:自慢話に聞こえる

 書類選考で落ちる他の特徴としてESで書かれている内容が『俺はこんな資格を取った事があります』『自分一人で売上を倍にした事があります』など自慢話に聞こえる部分がある。そして結論として『だから私は御社で活躍する事が出来ます』と締めくくっている。確かに個人の力量の高さを主張したいのは分かるが、その凄みを人様に不快に感じるようなアピールの仕方をしている減点対象になる。

 例えば『私は学生時代に体育祭の学級委員長を務めた事があり、部下の20人と一緒に運営管理に務めていました』と書かれている部分があり、学生の立場なのに”部下”と書いており、普通だったら上下関係を露骨に露わにしないよう『私と20人のメンバーで』という書き方にするべきで、人様を勝手に下に書く部分があるこの人はグレー扱いで報告する事にした。

 いくら実力があっても、言葉の使い方や相手に配慮する姿勢が無ければ人はついて来ない。実際、初めの頃は仕事が出来て活躍出来ても、部下が出来て、その人が仕事出来ないと『何で出来ないんだ』と責めてばかりいる人は後に人がついて来なくなり、やりたい事業に必要な事が実現しない。強い言葉はそれだけ人を自分から離れさせる。場合によっては人をうつ病に追い詰めたり、パワハラとして訴えられたりする場合もある。事実、こういう仕事至上主義者の人の中には『発達障がい者だから辞めさせる方法なんてないか?』なんて言ってくる人もいて、日本の法律では1000人以上の会社の場合、2%の障がい者を雇用するよう義務付けられているのに、初めから排除する取り組みをすればどうなるのか?とリスクについて全く無頓着な人がいる。ちなみにその人はその後、自身の発言を録音されたテープを労働局に持っていかれ左遷。会社は業務改善命令が出された。だから実力で自分の言い分を通そうとする節のある人は組織においてもリスクが伴う為、要注意人物として俺は報告する事にしている。

 もしこの手の人達の言い分を改めるのであれば『私は売上を倍にしました』『御社の仕事は営業で私の○○に似ている部分があります』『御社の仕事を通じて社会を良くする一人になりたいと思っております』など”出来る”ではなく”頑張ります”と書くべきだと思う。就活生の中には『実力がありますので、活躍出来ます』など働いた事がないのに”活躍出来る”という言葉を使っている。これは避けた方が良い。これを見る審査員の立場からすれば『学生の分際で何を言っているんだ?』と腹を立てる人がいる。これは就活だけでなく、営業面でも同じだ。言葉の使い方を間違えてしまうだけで取引が成立しない事があるから、相手を怒らせない言葉遣いを心得ているかどうか?それをESでは見られるから、言葉の正しい使い方を見せないとESで落ちる結果を招くだろう。

ESが通らない原因:大した事がないのに大きく言っている

 あと他に目立つのが、大した事もない事をあたかも大きく言っているケースだ。例えばセブンイレブンで売上を倍にした話を書いた人がいたのだが、1日だけの成功例だったり、更に倍にしたのは1つの製品だけでクリスマスにチキンの売上が倍になるのは至極当然の事をあたかも自分の手柄のように書いている人もいる。

 就活ではその人が主張した成果がどうして成功したのか?その辺を探る人がいる。だから学生時代に頑張った事でも『何でその成果をあげる事が出来たのか?』その辺について探られてる為、その結果、本当は他人や外部的要因が強いのにあたかも自分のおかげみたいに書かれている場合が良く見つかる。

 成果をあげる為の正しいプロセスを理解出来ないと仕事上の評価でも大きな支障をきたす。リスクが高い仕事なのに『大丈夫だろう』と無茶な事をしたり、本当は1か月かかるのに『1週間くらいで出来ます』なんて取引先に言う人もいる。更に別の面では本当は厳しく言っているのに『パワハラまがいな事をされた』。部下からの指摘であれば『あいつうざい』など自分の都合の良いように解釈する場合がある。別の例ではあまりにも仕事が出来ないせいで部下が代わりに仕事をやっているのだが『あれは俺のおかげだ』など自分があたかも仕事に貢献しているような口ぶりで話す人もいる。

 他人の成果の横取り、自分のミスを他人に擦り付ける。そんな事を平然とやってのける人がいる。だからESの段階で物事を正しく判断出来ない、または誇張している内容があれば信用出来ない人として除外されてしまうのである。

ESが通らない人の対策

 さて、ではそうやって『配慮の訊いた言葉遣いの文章を書けばESが通るようになるのか?』と言うとなんか違うと思っている。確かに言葉遣いは大切だが、ESで通る連中の内容を見てみるとこんなモノが多い。

『私は売上を2倍にしました』

『来客数を100名増やしました』

『自分のチームを僅か半年で決勝まで導きました』

 などESで通るコツとして2倍、100名、半年など具体的な数字を使う、というのがある。恐らくこの就活生達はESが通るようにする為に、あらゆるノウハウを学んで通過率を上げようとして来たのだろう。他にも

『売上が低迷し、店じまいの危機があった』

『知名度が低く、毎年赤字続きだった』

『チーム解散の危機があった』

 など自分が活動しないとどうなるところだったのか?と窮地に陥っていた事も含めている。世の中にはやる必要のない挑戦をあえてやって自分の成果をあげようとする輩がいる。だから『私はそんな人達ではなく、ちゃんと危機的な状況だったから活動したのです』と言えるようにしておくのだ。そしてその後の流れは『問題点を割り出し、解決策としてこんな事をしました』と問題解決能力にも触れ、ビジネスを成功させる為のノウハウをアピールする。その内容が

『新商品やイベントを企画し、それが成功した』

『知名度が低かった為、広告宣伝に力を入れた』

『責めてばかりせず、褒めて人の長所を伸ばす事をした』

 と企画、広告、教育などビジネスにおいて役に立つノウハウについて触れ『だから私は御社の企画、広告、教育に携わってみたい』のだと、こういう物言いで企画職、広告業界、人材サービスなどを志望する。だからESが通らないと嘆いているのであれば『何かの困難を乗り越えた』とそんな印象を与える内容にしてみるのはどうかと思っている。

ESが通らない場合、嘘をついても良いのか?

 こんな話を聞くと『私にはそんな立派な経験などない』と嘆く人もいるかもしれない。だからその人達が次に思う事としては『話を盛って良いのか?』という点だ。正直なところ、俺から言わせれば表面的には『やってはいけない』と言うが、心の中では『嘘はいけないが、この世の中は話を盛って信じてもらった奴が報われている』と思っている。

 というのも今までの『企画が成功した』『広告で知名度を上げた』など本当にこの就活生がやった事なのか?と信ぴょう性については確かめていない。一人当たり2分程度でESを通すかどうか調べているんだ。裏調査なんてよほどの事がない限りない。だから俺の場合だが、ESに書かれている信ぴょう性の有無は無視している。

 『そんな嘘をついている奴を通して大丈夫なのか?』と思うかもしれないが、ビジネスにおいてもハッタリのような事を良く使っている。例えば人材広告ビジネスにおいても『アットホームな職場』『若手が活躍出来る』など求人票に書いてある。ただこれは『上からの監視が厳しい』『多くの人が早い段階で辞めて若手しかいない』などダメな企業を良い企業に思えるような言い回しをしている。企業側は自分達が選ばれる為に響きの良い言葉を使っているし、これは人材ビジネスだけでなく、営業でも『この商品を使えば御社の○○は良くなります』など響きの良い言葉を使っている。だから社会に出て働く上ではハッタリなど良く使われているのである。

 そんな人間、社会で通用するのか?と思うかもしれないが、だから取引相手を選ぶ上ではその人の素養や実力で判断する事をしている。それは学歴で選ぶ人もいるかもしれないが、大抵の取引は『その人の言っている事が本当なのか?』ではなく『その人の言い分は実現出来るモノなのか?』つまり信ぴょう性より妥当性について調べてくる。

 例えば広告でも『こうしたら御社の知名度が上がります』と言って広告を掲載するように促すのだが『では具体的にどのくらいの期間でどのくらいの人達がウチの店に来るの?』と広告宣伝の効果について触れ、妥当性を探っていく。『広告を見る人はこのくらいいて、実際、他店のデータではこのくらい見ていて、このくらいの効果を生んでいます』他店のデータを比較したり、自社サービスの魅力について伝えていく事でやっていくが、実績がない人はそれが出来ない。つまり実績よりもその人本人がそれを実現出来るか否かで見られる

 これは就活でも同様だ。就活生は働いた経験がないのだから(インターンシップで事前に働いている人はいるが)その人の言っている事の妥当性で判断してくる。つまり実際に企画、広告、教育などで実績をあげてなくても、それを入社後、実現出来るノウハウを心得ているかどうか面接では問われる。

 だからESを少しでも通るようにする為に、実際に成功しているビジネスのノウハウを盗み取ってあたかも自分が考えて成功したと言う風にアピールする人もいる。飲食店のアルバイトにおいても新たな顧客層を確保する為に外国人観光客向けに成功したビジネスを取り入れている人がいた。その対策としてメニュー欄を英語にしたり、世界共通のWi-fiやクレジットカード端末を導入したりなど内装整備を進めたという話をして利益を出すまでの段取りについて説明した人もいる。

 このようにビジネスというのは狐と狸の化かし合いみたいな部分があるし、就活生と採用側の嘘つき合戦みたいなモノがあるから、ESが通らない場合、ビジネスで成功している人のノウハウを盗み取って『自分は入社後仕事が出来ますよ』という印象を持たれるようにすれば良いと思う。

ESが通らない人がやり始めているサービス

 とある程度、エントリーシートの振り分け作業と対策について語ったが、最近、そのES振り分け業務の仕事が減ってきている。

 それは人手不足の影響でエントリーシートの数が減っているのも理由の1つであるが、他にも採用応募型ではなく逆求人型の就活サイトを利用する就活生が増えているからだ。

 今までESの通り方について語ったが、今からやっても大手の選考が締め切っている場合が多い。だから就活後半から巻き返す就活生はリクナビやマイナビに見切りをつけ、OfferBoxのような就活サイトに切り替える。

 何で切り替えるのか?それはリクナビやマイナビを使っていると、今までの話を参考にESを書き直しても評価してくれるのは面接に行った時くらいだ。そしてESを見せるのは良いが、質の悪い企業だと『こんなんで受かると思っているの?』『(本当は男性を採用したいが、女性だから採用しないなんてバレるとネットで叩かれるから勘づかれないように落とそう)』と学歴差別や男女差別など表ざたに出来ない不採用で落とされる。これだと『何で自分は落ちたんだ?』とESを練り直しを行うが、この手の企業に当たってしまうと時間や交通費などが無駄になってしまう。だから就活生は『自分を差別する企業に当たりたくないから、始めから自分のプロフィールを見て、声をかけてくれる企業の選考を受けたい』と自分のESを見て、オファーをかけてくれるOfferBoxのような就活サイトを利用するのである。

 更にリクナビやマイナビと違うのは『なんで自分を採用しようと思ったのか?』と聞ける事だ。もしこれがリクナビやマイナビの面接であれば『なんで弊社を志望しようと思ったの?』と自分の持てる知識のみで面接官口説かなければならない。しかしOfferBoxの場合、向こうから声をかけていたわけなんだから『なんで自分を採用候補として選ばれたのか?』訊けるわけだ。就活では自分が落とされた理由は知らされる事はない。ただこの手の就活サイトは自分の経歴が具体的にどのように企業にとって魅力に感じるのか?その辺の理由について知る事が出来る。それも就活生から人気になれる1つの理由だ。

 では何でリクナビやマイナビを運営しているリクルートキャリアはこの手のビジネスを採用しないのか?その理由の1つとしてリクナビやマイナビは掲載料で勝負しており、このOfferBoxは成功報酬で売上を上げている点にある。リクナビやマイナビの場合、求人票を1年間載せるのに20万円貰っている。一方で、OfferBoxの場合、求人の掲載料はタダだがもし人材を採用したら報酬をもらうとスタイルで稼いでいる。つまりOfferBoxのようなビジネスを展開すれば主力の掲載料をタダにしないといけないわけだし、成功報酬型に変えると約3万の企業の人材採用の調査をしないといけなくなる。規模が大きい分、1つ1つの確認作業が出来ないわけだから、この手のビジネスは取り入れない。

 だからもし学歴差別を受けてエントリシートが通らないと思っていたり、自分の魅力を再確認したいと言う人であれば、こちらの逆求人型就活サイトを利用した方が良いと言わざるを得ないだろうなぁ。

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