ESが通らない原因について審査する大手人事部の例

 

『高学歴なのに大手のESが通らない』

『中小企業のESすら通過しない。何が悪いのか分からない』

『ガクチカや自己PRが通らない。原因を見つける方法なんてない?』

 

 などESが思うように通らず、大手ならまだしも中小企業までESが通らないと悩んでいる人もいると思います。

 

 その場合、新しい駒の確保やまたES対策が必要になってきますが、選考結果が来る頃にはもう他の選考は締め切られており、今残っている企業から優良企業を見つけ、更に書類選考で通るようアピールを練り直す必要があります。その為、なぜESが通らないのか?その原因と対策について心得たい、そんな就活生は大勢いる筈です。

 

 ここでは実際にESの審査を行っている大手人材サービス会社の視点で『ESが通らない就活生の特徴と対策の仕方』について説明しております。

 

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何でESが通らないのか?

 

『ESの振り分け作業。今年も頼むよ』

 

 と上司が毎年のように俺のところに沢山のESと送ってくる。

 

 大手クラスになると毎年約1万人以上のESが送られており、大手人事部の人員だけでは足りない関係上、俺のような人材関係の会社にも審査依頼がくる。そして今年も俺は毎年大手からやってくるESの振り分け作業を行うので、その時の審査基準を紹介してみようと思う。

 

 これは俺だけの主観ではなく、最終的に大手に『なぜ通過させるのか?』説明する以上、最終判断は大手である為、大手の書類選考基準と言えよう。

 

 だから俺自身、書類選考で通らないESをいくつも見てきており、通らないESの特徴として日本語が通じない、またはただ文字を水増ししたかのような内容になっているなど色々あるが、よく目立つ特徴として以下の4点がある。

 

  1. 事実だけを述べていて、何が言いたいのか分からない
  2. 大した事のない経験を誇張している
  3. 人への配慮、人間性に問題があると思われてしまっている
  4. 志望先の仕事について正しく理解していない

 

通らないESの特徴:事実だけ述べている

 

 通らないESの特徴として例えば

『私はバイトを4年間続けてきました』

『サークル活動に3年間やってきました』

 

 と事実だけ述べている人がいる。

 

 読む限り、1つの事を長く続けてきた継続力をアピールしていると思われるが、一体これが仕事にどんな役に立つのか?その辺の部分が述べられていないとESは通りづらい。

 

 俺のようなES審査をしている人の視点で述べさせてもらうが、ESの振り分け作業は最終的に

『なんでこのESを合格にしたの?』

 

 ESを通過させる理由を依頼主に報告しないといけない

 

 その為、この就活生は仕事でどんな風に役に立つのか?述べられないと依頼主は納得しない為、ESが通りづらくなってしまう。

 

 だから先の継続力で言うのであれば

『御社は○○の点で辞めていく人が多いと思っておりますが、私は○○を学生時代に長く続けており・・・』

 

 など離職率の抑制に繋がるアピールをしていればESが通過しやすい。

 

 このESの振り分け作業においては上記のように明確な強みを書いているESが通りやすい。

 

 というのもESの審査の作業は、俺の場合、3時間のうちに約100名の就活生の振り分け作業をしている。つまり1人当たり1.8分、要は流し読みでESを通すか通さないか判断している。

 

 だから一読してこの就活生の魅力が直ぐ伝わるモノであれば即合格にするけど、そうでない場合、保留状態にする。

 

 つまり仮に保留になれば、後で再度読み直す事になるのだが、多分、別のESを読んでいき採用枠が満たされたら読まないパターンになる可能性が高いので保留になるという事は事実上読まれない可能性が高い

 

 故にESで通りやすくする為にはESの冒頭に『私は○○出来る力があります』または文脈の最後に『○○の形で御社で働きたいと思います』と結論付ける形で書いた方が良い。

 

通らないESの特徴:たいした事のない経験を誇張している

 

 とこのように何を言いたいのか分からない文章の改善点としてESの冒頭や最後に結論を述べるのも1つの手であり、更に『私は来客数を前年度より10名から50名に伸ばした』など具体的な数値を盛り込むと具体性があがるのでオススメする。

 

 しかし就活生の中にはそんなアピール内容を具体的にする際、話を盛ってしまう就活生もいる。

 

 例えば『先月より売上を倍にした』とアピールしているESもあるのだが、このESのせいで面接で落ちてしまうパターンがある。

 

 どういう意味かと言うと、確かに売上を倍にしたのであれば、ESが通りやすくなるのだが、問題なのは、いざこのESで面接に臨んでみると

『どうやって売上を倍にしたの?』

 

 とビジネス戦略について問われてしまう

 

 そして話の内容を掘り起こされると、親戚や後輩を呼んで売上を倍にしたり、またはケンタッキーのようにクリスマスになると売上が急激に上がる時期にバイトに参加して、それをあたかも自分が参加したから売上を倍にしたと誇張していた事が分かる。

 

 面接官の間ではケンタッキーのように自分のおかげだと主張する就活生が多い事から、どのように売上を倍にしたのか?その妥当性を必ず確認してくる。

 

 そして本当にたいした事のない話だった場合、当然不採用になるが、厄介なのは本来なら誇張したESを書き直したいところだが、ESは既に提出済みなので書き直しが出来ない

 

 それ故、就活生は落とされる確率の高いESで今後、面接に臨まなければならず、結果、大手の選考を全て諦めざる得なくなる話をよく聞く。

 

 なぜ話が誇張しているESは通りづらいのか?

 

 その理由として社会人の中には、結果を出す為に無茶な提案をしてしまう人がいる。

 

 社会人の中には取引をする為に、通常より納期を短くしたり、安くしたりなど安請け合いして契約する人がいる。

 

 その結果、通常より短い納期や予算で働かざる得なくなり、深夜残業や休日出勤などの長時間労働や社員を不当な賃金で働かせてしまう問題が起こる。

 

 このように労働基準法に違反してしまうリスクから、話を誇張してしまう就活生は採用したくない部類に入り、ESの段階で分かると落とす姿勢を取っている。

 

 その為、内定を取りたいのであれば、ESを通す事ばかり考えず『なぜ売上を倍に出来たのか?』など面接官がどんな質問をしてくるのか?を想定してESを書いた方が良い。

 

通らないESの特徴:人間性に問題がある内容になっている

 

 そしてESが通らない他の特徴として『私は東大出身です』『私はTOEIC 990点です』と学歴や所有資格で勝負してくるESが目立つ。

 

 確かにESの振り分け作業においては、学歴がMarch以上だったり、TOEIC何点以上だったりなど、学歴や点数で通過基準を決める事もある。

 

 しかしお客様の中には

『もし人間性に問題があるのであれば報告してほしい』

 

 とも依頼されており、事実、先程のような高学歴だったり難易度の高い資格を持っていても人間性に問題があれば書類選考で落とす事をしている。

 

 では学歴や資格があっても落とす実例としてどんなのがあるのか?

 

 例えば高学歴のESのガクチカで

『私は学園祭の管理委員会を務めました。そして部下20人と共に、学園祭の管理を実施し成功を収めました』

 

 と書いてあった場合、確かに学園祭の管理という責任重大な仕事を全うした実績は素晴らしいが、ESに部下20名と書いているとESを通すか迷う。

 

 学生の立場なんだから部下という言い方ではなく、後輩、またメンバー20人と言う書き方が妥当で、言葉の使い方に誤りがあると人間性を疑わざる得ない。

 

 だからこそこのように上から目線を感じる人に関しては『人間性に問題があるのでは?』と思われ、依頼主に報告する義務が生じる。

 

 なぜ書類選考ではここまで人間性の良し悪しの判断を行うのか?

 

 それは企業に所属する以上、チーム同士、または取引先と協力して仕事を行う事になる為、協調性の欠いた人を採用すると企業存続のトラブルに繋がるリスクがあるからだ。

 

 実際、高学歴出身者の中には、勉強が出来ない人に

『どうしてこんな簡単な事が出来ないの?』

 

 とプレッシャーを与えてしまう人がいる。

 

 この手のやり方は精神的なプレッシャーが強く、うつ病に追い込んだり、またはパワハラまがいな事をしたという扱いになってしまい人間性が問われる

 

 最悪の場合、その言動がテープに録音され、業務停止命令が出される事もあるし、また内輪もめでなくても、例えば外部の取引先に不快な思いをさせて取引が停止になるケースもある。

 

 そうでなくても日常的に配慮の欠けた対応をすると部下が育たなかったり、問題を報告しなかったり、または責任を押し付けたりする人が増える為、不祥事や大量退職の原因になってしまう。

 

 このように仕事は出来るけれど人間性に問題がある場合、企業にとって大きな支障を生むリスクがある為、採用を控えたい人材として見られてしまう。

 

 だからもし学歴や資格など就活で有利になるアピール要素があるのにESが通らないのであれば、何かしら読み手が不快に感じる表現を使っている可能性がある。

 

 その為、この就活生が出来る改善策としては誰かに見てもらうなど第三者の意見を貰ってアピールの仕方を改善した方が良いだろう。

 

通らないESの特徴:志望先の仕事について正しく理解していない

 

 このように何が言いたいのか分からない、または配慮に欠けた内容になっているなど、ESが通らない理由としてある。ただESの振り分け作業をしていて一番目立つのは『志望先の仕事について正しく理解していない』点だ。

 

 例えば食品業界を志望している就活生の中には

『食べる事が好きです』

 

 とアピールしている人がいる。

 

 確かに食品業界なのだから、志望先の食品について関心を持つのは間違っていない。しかし問題なのは『食べる事が好きです』と言っても、面接で

『弊社は自社の食品を飲食店やスーパーに卸す仕事をしている。だから君がわが社の食品に関心を持ってくれるのは嬉しいが、卸売り先にどうやってこの商品の素晴らしさを伝えて、なぜその仕事をしたいのか、教えてくれないかな?

 

 と聞かれて答えられない人が結構いる。

 

 就活では志望先の業務を正しく理解していないせいで入社3年以内に離職する問題がある。

 

 結果、志望先の業務を正しくESでアピール出来ていない場合、

『こういう人材は採用して育てても辞めるリスクが高いから、ESは通さないで』

 

 と言われ、不採用にする

 

 ちなみに参考例として食品業界の志望動機は以下のように書いた方が良い。

御社の食品は高齢者向けで、噛みやすく、更に栄養に特化しており、食事好きの祖母を喜ばせた食品でもございます。私はそんな祖母のように食事好きな方々を喜ばせたいと思い、ご高齢の方々に向けて安心して食べられる食事の提案が出来る営業マンになりたいと思い、その商品を提供している御社を志望しております。

 

 と、志望先のサービスの特徴を踏まえた上で、どんな風に社会の役に立ち、その中で自分はどんな人材になりたいのか?それが分かるESを書いてくれると通りやすくなる。

 

 ただこれを見ると

『そんな働いた事がないのに志望先の業務を正しく理解しろなんて無茶じゃない?』

 

 と愚痴をこぼしたくなるかもしれないが、だからこそ大手の選考を通過する就活生がおり、やはり志望先の業務の理解力が就活では求められる。

 

 ただ問題なのは先ほども言ったがESは一度提出してしまうと修正がきかない。だから面接で志望先の業務について正しく心得ていない事を悟っても、既に提出済みなので間違った内容で今後面接に挑まなければならなくなる

 

 それを避ける為にも選考が通過するESを書くのも大事だが、的外れな内容を書く事を避ける為、一体どうやってESを書き上げれば良いのか?その書き方について紹介してみようと思う。

 

ESが通るようにする為にはどう書けば良いのか?

 

 例えば居酒屋のアルバイト経験をESに書くとしよう。

 

 たかが居酒屋のアルバイトと思うかもしれないが、ESが通る就活生の書き方としては

『御社の取引先は居酒屋のような飲食店が中心となっており、御社の商品を居酒屋に売るだけでなく、どのように店舗運営をすれば良いのか?アドバイスも出来る営業マンになりたいと思っております』

 

 と書いている人がいる。つまり誰でも出来るアルバイトでもどのような活かし方をすれば仕事で役立つのか?その辺を語れれば良い。

 

 例えば大手ビールメーカーの場合、当然ながらアルコール飲料の卸売先である居酒屋も取引先の対象となる。

 

 それ故、例えばコロナで、飲食店の経営が危うくなっているので宅配ビジネスに切り替える為にはどうしたら良いのか?その辺の相談が出来るだけで居酒屋の店長はこの営業マンと継続して取引したいと思うようになる筈だ。

 

 実際、俺が凄いと思った就活生のESとして

私のバイト先にITシステムを販売する営業マンが訪問してきました。その営業マンから居酒屋が生き残っていく上で必要な事、その上でそのITシステムを導入する必要性がある事、更にITシステムをどのように運用していけば良いのか?など居酒屋運営に必要なノウハウを提案してきました。結果、その提案に店長が関心を持ち、実際、そのシステム導入のおかげで店は繁盛しました。

私自身、その営業マンからビジネスはお金を稼ぐだけでなく、社会の役に立つ為に働ける事を学ばせていただきました。その為、私もその営業マンのように御社の商品を紹介するだけでなく、プラスαの提案も行い、居酒屋の経営を支える一員になれる人になりたいと思っております。

 

 とアピールした人がいる。

 

 これの何が凄いかと言うと、その就活生は特に何もしていないのにその営業マンの活躍を書いて、あたかも自分もその営業マンのように働けます。と思わせている点だ。

 

 この何もしてない内容なのに通過した根拠としてはITシステムをどのように導入すれば良いのか?そしてどのように提案すれば良い就活生は知っている為、提案営業における自社商品以外の提案要素を持っていると判断されている。

 

 それ故、提案力に対し、他の就活生より営業マンに求められる素養であると判断され、書類選考が通過するESへと変貌しており、書き方次第でESの通過率が変わってくる

 

 このように学生時代に頑張った経験がなくても書類選考で通過する事が可能な為、ESを書くのであれば、やはり自分の就職先にとってプラスになる提案をした方が良い。

 

 ではそんなESをどうやって就活中に調べて書けば良いのか?その方法について説明してみたいと思う。

 

ESを通過させる為の情報収集のやり方

 

 上記のように書類選考、ならびに面接で通過するESを書きたいのであれば、手っ取り早い方法として実際に大手の選考で通過したESを真似る事だと言える。

 

 最近の就活では就活生を出来るだけ集める為に就活会議のような無料で大手の選考を通過したESを見れるサービスがある。

 

 なぜ無料なのか?その仕組みとして就活生は当然、そのESなどを見て、どの企業に応募するか決めるかもしれないが、仮に応募した場合、それはサービス運営会社が企業にその就活生を紹介した扱いになり、紹介料が入る仕組みになっている。

 

 要は就活生が普通に使っているだけでサービス運営会社は報酬が入るわけだから、就活生を沢山集める為、就活生は無料でESの閲覧が出来るわけだ。

 

 だからこの手の無料サービスを使い、自分が関心を持っている企業にはどんな風にアピールするべきなのか?成功者のESを見ながら書くのも良い。

 

 まぁ、そうなってくるとESの締切に間に合わないからと、そのままコピペして提出する輩が現れるのだが、それを阻止する為、『君が参加した選考の口コミなどを書かないと別のESは見せないよ』と閲覧制限がかかっているので、多用は出来ない。

 

 それ故、もし利用するのであれば、今回は居酒屋のアルバイトのESの例を紹介したが就活生の中にはコンビニ、サークル、スポーツなどの経験をしている人もおり、その経験をしている内定者はどうやってアピールしているのか確認してみる良いだろう。

 

 また食品だけでなく、銀行、広告、自動車など別の業界を志望する場合、どのようにアピールすれば安全なのか?確認しながらESを書き上げるのも良いだろう。

 

 

 

 

自分の強みを見つけながらESを通過させる内容を書く方法

 

 ただ上記のような成功しているESを見ても、自分の強みが分からない、また企業側がどんな事を求めているのか分からない、など考えてしまい、一向にESを書き上げる事が出来ない人もいる。

 

 またESが通らない状況が続いているのであれば、これから新しく志望先を調べ、ESを改めて提出しなおさないといけない。だから就活生からすれば自分のどの部分に魅力があり、そしてそれを欲しいと思える企業は何処なのか?分かるようになった方が良い。

 

 不採用理由を教えてくれない就活からすると採用側の意見を聞くのは難しいが、自分の強みを見出し、更に採用側が欲しいと思える情報を入手する方法としてスカウト型就活サイトを利用する方法がある。

 

 普通、就職活動を行う上ではリクナビやマイナビなど自分が興味を持った企業に応募するスタイルを取っているが、その就活サイトは逆で『自分が書いたESを最初に載せてそれに興味を持った企業がオファーをかけてくれる』逆求人型就活サイトになっている。

 

 それの何が良いのか?

 

 就活生の中には自分の経験がどのように評価されるのか分からない人もいる為、そのスカウト型就活サイトを使うと、当然、そのESを見て、オファーが来る為、就活生は

『なぜ私のESに興味を持ってくれたのですか?』

 

 と質問出来る。要は応募型とは違い、自分に興味を持ってくれた理由を聞けるわけだ

 

 事実、さっきの居酒屋の例はそのサービスを利用して作った就活生のモノで、就活を始めた当初、その就活生もどのようにアピールすれば良いのか分からないでいた。しかし実際にオファーをかけてくれた人事部の人に会ってみると

現在弊社では飲食店向けにITシステムの販売を行っている。その為、居酒屋など飲食店でのバイト経験がある就活生を中心に声をかけているから、店舗運営に関して詳しい学生が欲しい。

 

 と話してくれて、自分の居酒屋バイト経験にどんな需要があり、それがITシステム販売会社に通用する事が分かる。

 

 これにより自分の居酒屋のバイト経験をどのようにアピールすれば良いのか分かるし、今回出会ったITシステム販売会社だけでなく、他の類似した企業にもどのようにアピールすれば良いのかイメージがつくのでアピールの幅が広がる。

 

 だからこそ、このスカウト型就活サイトを利用して、どのように自分の経験をアピールすれば良いのかを確かめればESが通らない状態から抜け出すよう頑張れば良い為、もし新しくアピール内容を練り直して新しい企業に応募する予定なら併用して使う事をオススメする。