高級料理店でアルバイトをした事がある場合、どのように面接でアピールすれば良いのか?
アルバイト先のアピールの仕方に困る方も大勢いると思います。高級料理店は営業や技術職とは違い、料理のおいしさを前面に打ち出した場所でアルバイトの立場ではとても語れるような魅力をアピールするのは難しいと思います。
中には大型チェーン店でのアルバイト経験者もライバルでいる為、その人達との差別化を盛る為にも高級料理店でのアルバイトは面接でどのようにアピールする事が出来るのか?ここではそんな高級料理店で働いた事のある人の体験談をもとに、高級料理店の長所やチェーン店との違いについて載せております。
高級料理店で身に着くスキルについて
俺が働いた事があるのは高級フレンチでコースメニューを扱っているレストランで働いた事がある。
俺のような学生がその高級店で働けたのはまだその店が開店してから日は浅く、テレビでも紹介された事から来客に対し、店員の数が非常に少なくて、猫の手も借りたい程の人材不足だったからだ。
俺は一応大手居酒屋や牛丼チェーンなどブラックバイトと呼ばれる場所でアルバイトした事があるが、高級レストランはそことは違い、様々なルールを店員に課せられる場合が多かった。
例えば皿の持ち運びについてだが、持ち運ぶ順序はテーブルの席ごとに上座順で厨房に置いていくようになっていた。なぜこんな事をしているのかと言うと、厨房からでは客の様子が見えない為、店員からの情報か、運ばれた皿の食べ方を見て、どんな人が食べているか分かるようにする為だ。
例えば、ウチではコース料理の合間にパンを配っているのだが、パンを食べているスピードが早ければ、その人は食べるスピードが早く、そういう食べるスピードが早い人は唾液の分泌量が多い場合があり、濃い味付けではないとおいしさが伝わらない場合がある。その為、次の料理はその人の料理だけ味付けを濃くして、次の料理が食べ終わる時間帯でその人が料理に満足しているかどうか見ているらしい。
これだけではない。依然、父、母、兄、弟のいう家族構成で来た客人に対しては、
「すいません。シェフ。本日の料理の味付けはお兄さん向けにシフトしてください。」 「どういう事だ。てっきり父の日の記念としてウチに来たんじゃないのか?」 「いえ、どうやらスタッフの手違いで、そのお兄さんの誕生日が父の日と一緒だったので、てっきり父の日向けの予約かと勘違いしたようなのです。」 「って事は、主役は父親だけでなく、お兄さんの方って事になるな。前菜はどのように食べていた?」 「一口加えた際、美味しいといっていたので、味わって食べる派だと思います。食べ方にこだわりがあるようで、キノコだけを食べたり、タレと一緒につけて食べたりと味の違いを楽しんでいました。」 「味の違いが分かる人っぽいな。とりあえず、味付けに細心の注意を払うわ」 |
誰かの祝い事で来店している以上、そのメインの人を喜ばせなければ、他の人達も楽しく食事をすることが出来ない。その為、マネージャーとシェフとのやり取りは念密で、客一人に対し、これだけの情報交換を行っていました。ちなみに、その後のやり取りは以下の通りです。
「シェフ。どうやら味の違いだけでなく、美味しさも分かるようです。次に出されたムースをパンと一緒に食べていたのですが、一口目で終わっていました。」 「確かにあのムースは滑らかさも売りだから、パンで押しつぶされると中の成分が潰れて、滑らかさが壊れてしまう。どうやら母親とは違い、味の良さというのを心得ているみたいだな。」 「あと、食べ方としては、供え物、メインディッシュと食べていますので、メインを最後にする食べ方をしています。」 「となると、供え物よりもメインの方を少しばかり熱を入れて、冷めにくいようにした方が良いな。次の肉の焼き時間を8秒ほど増やす。」 |
高級料理というのは、このように客によって提供する料理やサービスを少しずつ変えていく事が求められ、俺のようなアルバイト店員にも、客の僅かな情報でもどんな料理を提供するべきなのかを考えさせられる事がある。
例えば、私がレストランの電話番をやっていた時だ。その時は予約の電話で3日後の老夫婦二人分の席をディナーで予約したい内容だった。この作業はアルバイトの俺でも簡単で、「はい、承りました」と電話のマナーを守りながら対応するだけで、んで予約表にその席の予約を入れるだけで作業が終了する。ただこの時だけは違った。
後ろからシェフの1人が「何番だった?」と声をかけて来たのだ。
意味が分からず、「えっと、以前私が見た事がある番号で、新規かリピーターか、というそういう質問でしょうか?」と聞いたところ、
「違う、その番号の局番が何番だったかと聞いているんだ。」と言って、シェフが電話の履歴を見て、「052・・・名古屋からの客だな」と言って、去って行った。後々になって知るのだが、052というのは名古屋の局番で、そのシェフは、その地方の味がどういうモノで、そしてどんな味が好みなのかを把握している。その為、コースメニューの味付けを考える以上、その地方に合う前菜を出して、どんな味が好みなのかを把握しようと考えていたのだ。
本来ならマネージャーが考えるべき案件だと思ったが、シェフまでそこまで考えるとなると高級料理店のこだわりは奥深い。しかも局番を見ただけでどの地方か分かる以上、長年続けている経験だと伺える為、シェフを務めていく上でも必要な知識だというのが分かる。
んで話は料理の味付けだけでは終わらない。その客人に対し、シェフとマネージャーが話し合っていたのだが、本当なら料理の味が最大限出せる時間に合わせてコースメニューを振る舞うのだが、遠方から来ている客の場合、新幹線で今日名古屋に帰る可能性があるから、終電を考え、その時間帯までどのように料理を提供するのか、段取りを決めていたのだ。
長年の経験と言えば経験だが、電話番号だけでここまでサービスの内容が変わるのか?とそう思うほど、高級志向のサービスというのはこだわりが強い。俺はアルバイトを2か月程度しかやっていないが、どこかのチェーン店とは違い、スピードよりも質にこだわる料理店というのはこういう風なモノなんだなとこの時、思った。
この手の話を聞いているとシェフは料理だけ出来ればそれで良いと思っていたが、客の見方まで配慮する以上、どのような仕事ぶりが求められるのか興味を持った。んである集まりの時、今後、どのようなサービスが求められるのかについて訊いてみた事がある。
その1つの例として言ってくれたのが、イスラム教徒向けのハラル食品への対応だ。ハラル食品とはイスラム教徒の戒律によりアルコール類が使われていない料理の事を指す。始めはアルコールの代わりに別の調味料を使えば良いのではと思っていたが、どうやら調理に使う為のフライパンや皿はアルコールのある洗剤を使っており、つまり料理の仕方だけでなく、今まで築き上げてきた調理の習慣すらも問われる食品だと言えるのだ。
ここのフランス料理店ではその辺の段取りが上手くいき、ハラル食品も提供できるほどの調理場に改装する事に成功した。ただそのせいで今までのシェフのあり方も大きく変わった。以前は他店から料理人を引っ張ってきても、前の料理店でやってきた経験で何も教えずとも調理をこなしてくれた。しかし宗教に沿った料理を行っているのはあまりなく、ベテランの料理人になると今までの経験が逆に足かせとなり、新しい調理法を身につけられないトラブルが起こる。だからと言って、新人の料理人であれば、1から教えないといけないし、逆に他店であまり行っていない調理法を率先して身に着けてくれる人があまりいない為、採用の段階で断ってくる人もいるから料理人の数が揃わないというトラブルが今起こっている。
更にはイスラム教徒向けの料理を扱っている所は少ないが、そのせいでシェフが他店に駆り出されて、どんな方法で料理すれば良いのか指導を求められる事がある。先の新人の入店がおぼつかない事から、このように他店に負けない魅力を全面的に広げて、知名度を上げ、かつベテランの料理人の定着率もあげていくなど、現在そういう方法を取っている。しかし先駆者の為、一人でやらないといけない量が多すぎる為、今まで海外で培ってきた調理法では、求める料理が作れず、今までとは違った料理の提供をしないといけない。例えばアスパラガスのスープを作る上では調理時間は30分くらい必要だが、調理人が手作業で必要とされる時間がそのうちの10分程度だった。しかし他店からの呼び出しや資料作成などの時間も必要となった為、10分が7分、そして今では3分と、別の料理人と分担して作業している形になっている。
日本は東京オリンピックの影響により外国人観光客の需要が非常に増えており、その人達の対応が必要になっている。その為、宗教的な理由から特殊な料理の提供をウチでは求められ、その基盤づくりの為に、従来の調理方法の見直し、知名度、教育指導、そして従来とは変わらない料理の提供などが求められ、シェフは料理を作る事が仕事だが、調理だけが料理人の仕事であらずと、シェフから聞いた。
面接でこの経験をアピールする為には
高級レストランでのアルバイトは他のチェーン店のアルバイトとは違い、細かいやり取りや質にこだわる対応を経験できます。その為、この経験をどのように面接でアピールすれば良いのか、そこが問われると思います。
仕事でも報連相が重要で、先の細かいやり取りが求められます。
例えば、ITの業務においては、どのようにデータを運ぶのかを問われる事があります。CSVファイルからデータベースに入れる、そしてその処理の終了後、パラメータに新しいファイルを出力させる。そしてその出力したファイルを別のバッチが読み込んでデータ処理をするなど、様々な処理が必要で、1つ理解を間違えば、全て破綻してしまいます。
上司と連携し、自分の扱っているソースがどのように処理され、そしてどのように出力して、どのようなデータ構成でないといけないのか?その辺のやり取りと先のマネージャーとシェフの会話を参考に、どのような目的で、かつこういう風にした方が良いのではと、報連相を充実させる為には、最終目標を言い、かつ自分が考えている案を言わなければ正しく認識できないという事を知ったというだけで十分効果があります。
先のIT業務以外でも営業が上手くいかない場合、先輩と相談する事になると思いますが、客先がどういう人で、かつどんな事をすれば良いのか?具体的に説明し、自分の求める解答を先輩から引き出さなければなりません。
その為にも、営業先の人は、こういう人だったので、始めはこういう事をしたのですが、こういう結果に終わりました。と順序立てて説明する事が必要です。報連相が出来ない人の特徴として、言われた事だけをやって、自分で考えずに仕事をする人がいます。先のマネージャーやシェフは、そのお兄さんがどんな味付けを好み、そしてどのように調理するべきなのかを具体的に話している為、具体的な情報のやり取りが質を高める為の働き方へと変換しているという事が言え、それを自分は実際に身に刻んでいるとアピール出来ます。
現場のノウハウを吸収する為にしていた事
そして他にも良いサービスを提供する為には様々なノウハウを理解しないといけない事をこの現場で体験したと思います。そんなきめ細かいサービスを身に着ける為、あなた自身、どんな事に力を入れましたか?と質問としてくる可能性があります。
その上での答え方の例として「先輩たちの話を出来る限り聞く事に力を入れました。」
先のマネージャーとシェフの会話は私が皿洗いをしていた時にしていたやり取りです。このように自分が話の中に入っていなくても、日頃から先輩方が現場でしている話は仕事をする上で必要な話題が多く、将来自分にとって役に立ちそうなモノばかりでした。その為、入社後も、その耳の良さをいかし、様々な人の会話を聞いて、自分の技術として身に着け、成長していきたいと思います。と言えば、印象が変わってくると思います。
もし高級料理店で働いた事があるのであれば、
・質を高める方法
・きめ細かいやり取り
この2点を中心にアピールすれば良いと思います。更に活かせる可能性がアピールする為に、志望先の業務について調べ、その仕事と今回の2点のアピールを結び付けて、入社後の自分の働く姿を面接官に説明できれば良いと思います。