IT業界未経験者なら転職に成功出来るのであろうか?
IT業界に関心を持ち『転職してみたい』と思う人は沢山いると思います。しかしいざIT業界に転職してみようとすると
「IT業界未経験でも採用される転職理由って何なのだろうか?」
「ブラック企業に転職してしまうのではないだろうか?」
「そもそも自分はIT業界に向いているのか?」
など転職理由や志望先の選定などで頭を抱えると思われます。その為、未経験の状態でIT業界に転職するのであれば『転職理由の作り方』『ブラック企業の見分け方』『IT業界の向き不向きの見分け方』の3つを確かめてから始めたいと思われます。
ここでは実際にIT業界未経験の立場の人が、未経験でも転職に成功したエンジニアと話しながら『どんなIT業界未経験者なら転職に成功するのか?』について説明しております。
IT業界未経験者が転職に成功する為の『転職理由』
「先輩、未経験の人でもIT業界に転職できますか?」
「その前にそもそも何でIT業界に転職しようと思ったんだ?」
「私、銀行で働いているんですけど、ITの普及で仕事が無くなってしまい、だから新しい仕事を見つけないといけない状態なんです。だったら思い切ってIT業界に就職しようと考えているんです」
「なるほど。ただITに関しては未経験な上、アピール出来るモノがない。しかし世の中には未経験者歓迎と掲げるIT業界もいるから『俺でも転職出来るかも?』と思い、転職を希望するわけか。何となく事情は分かったが、ただその転職理由じゃ、成功しないぞ」
「どんな転職理由なら良いのですか?」
「結論から言って未経験者でも成功する為には面接官に『成長力がある』『IT業界で働く上で必要なスキルが備わっている』と思わせる事が一番効果的だと思っている。
未経験である以上、やはり転職後のスキルの吸収力が肝になってくる。となれば面接では『この人は未経験でもITスキルを身に着け、数年後には戦力になれるのかな?』と見られ、だからお前はどのくらい新しいモノを身に着けられる力を持ち、そしてどんな風にIT業界で活躍していくつもりなのか?やる気やITに関する関心度などを見て審査される事になるだろう」
「すいません、先輩。私が聞いた話ですけど、志望動機としては前職の仕事と結びつけてアピールした方が良いと聞いた事があります。例えば私は銀行員ですので『資金調達を円滑にするクラウドファインディングシステムに携わってみたい』と思ったとか、『企業同士のビジネスのマッチングビジネスに貢献したいから仲介関係のシステム作りに携わりたい』など前職の知識と結びつけた志望動機が有利になると聞いています。それって本当でしょうか?」
「その答えは半分正解で、半分不正解と言っておこう。というのもIT業界には『自社開発タイプ』と『受注タイプ』の2種類のIT企業があって、それによって前職と結びつけた転職理由が有利、不利になったりする。
世の中にはお前が言った『自分で考えてシステム作りをする企業』もあれば『他社のシステムをただ作るだけという企業』もある。だから仮に後者の受注タイプのIT企業に転職したら、ただお客さんから言われた事をただひたすら作り続ける事になる。そうなればお前が言った『自分で考えて開発したい』という意向に合わなくなる」
「ちなみに先輩、その受注タイプのIT企業であれば一体どんな志望動機が適切になるのでしょうか?」
「プログラムを書く事に魅力を感じる、と『作り上げる』というより『作る事が楽しい』と言えるようになる事が1つの手だと思っている。
受注業務で大変なのは、ただ言われた事をやり続ける事だ。しかしその中でやり甲斐を感じる人は『こうすれば動くようになった』と、自分の思う通りにプログラムが動くようになったと喜んだり、既存のシステムより更に良いプログラムを作る事が出来たと誇ったりするなど、作る過程を楽しんでいる。
だから受注タイプのIT企業を目指すのであれば、働いた経験はなくても、少なからず趣味か何かでプログラムを作った経験というモノが欲しいところだ」
「では先輩、そんな受注タイプのIT企業を狙わず、自社開発の企業に転職した方が良いという訳でしょうか?」
「そんな簡単な話ではない。確かに自社開発だと自分の思い通りに作れる機会はあるけど、大抵は会社一丸となって作るし、お前の独断で決められる範囲は限られている。それに自分1人で開発の大部分を担うという事はレベルの高いITスキルが求められる。つまり未経験者を採用する所なんて正直皆無だ。
それに俺が面接官だったら『ならこのまま銀行員で留まって社会に役立つ金融システムを他社に依頼すれば良かったのでは?』と質問するだろう。つまり自社開発のIT企業に転職する為には自分の手で作るこだわりというモノが求められてしまう。つまり事実上、自社開発のIT企業でもモノづくりに対する意欲というのが求められてしまうってわけだ」
「先輩、では転職理由として『自分のホームページを作れるようになりたい』なんてどうでしょうか?IT業界に転職してスキルを磨き、社会に役立てるようなシステムを作れるようになりたい。と言えるようになれれば説得力は増すのでしょうか?」
「正直『ホームページを作れるようになりたい』と転職理由として言うのは禁句だと思っている。お前はプログラミングをやった事がないから知らないだろうけど、ホームページなんて3日あれば誰でも作れるもんなんだ。だからその手の志望動機は『たった3日で出来そうな事の為にウチに来るの?』と思われたり『ある程度のITスキルを身に着けたら転職するのかな?』と思われて、採用されない転職理由になるのでは?と思っている。
それにIT業界にはソフトウェア業界、ハードウェア業界、インフラなどホームページ作成を行わない企業が多くある。だからWeb系の企業とその他の企業の働き方の違いを心得ておかないと面接で不一致な志望動機を言って不採用になる可能性だってある。やはり一番安全な方法としてITスキルをある程度磨いて、本格的にそれを仕事として身に着けてみたい。と言えるようになる方が良いぞ」
「先輩、なんだが志望動機を言う為には事前にIT業界やITスキルについて学ぶ必要があるのかな?と思えるようになりました。そこで質問なのですが、IT業界にはどんな業種が存在して、それぞれにどんな違いがあるのでしょうか?」
「その辺の違いについてだが、『IT業界やIT職種の違いが分からない就活生向けのコンテンツ』というのがあるから、それを見てくれ」
IT業界未経験者が転職に成功する為の『志望先選定』
「先輩、先輩の話を聞いているとどうも未経験者歓迎と書かれているIT企業が多いのに事前の勉強をしておく必要があると聞こえるのですが、先輩の経験上、未経験者歓迎という企業は危ないのでしょうか?」
「未経験者歓迎と謳っている企業は危険、と断言するつもりはないが、危険だと思っている理由が2つある。
1つ目は求人票に書かれているモノとは違う仕事をやらされるのでは?と心配している。
俺の場合、未経験者歓迎と求人に書かれている企業に転職し、そこで3か月間のJavaのプログミングの知識を身に着けた。そして特定派遣としてJavaを求めるIT企業でいくつか働いたのだが、大抵、Java以外のスキルが求められた。
というのもシステムを開発する為には何もプログミング言語だけを心得ていれば良いというわけではない。例えばプログラムを書く為のツール、Javaの場合、eclipseという開発ツールを使うのだが、それをどうやって自分のパソコンで使えるようにし、そしてエラーが発生した場合、どのようにエラー原因を見つけるべきなのか?ツールの使い方が求められた。Javaのプログラムの書き方を心得ていても関連ツールの使い方などが現場で求められる。それ以外にもそのツールは大抵エラー原因を英語で表示する為、一定の英語力も求められ、セキュリティやチームの進捗管理ツールなど覚える事が山ほどある。
IT業界は技術が日々進歩しているわけだから、1年後には全く違うモノを求められる事が多い。つまり求人を出して配属される頃には求められるスキルが変わっている事なんてザラにある。その結果、未経験の状態で配属されて、新しい知識を現場で身につける事が出来ず、トラブル続きで居辛くなって辞めるパターンをよく聞く。これが未経験者を歓迎するIT企業への転職を心配する1つ目の理由だ。
2つ目は未経験者にプログミングスキルが身につかない仕事ばかりやらせるのでは?と心配している。
IT業務の中にはプログミングスキルがなくても出来る仕事がある。それは開発したシステムが正しく動くかどうかのテストで、これはただ単純に作った画面が正しく動くかどうかのチェックするという誰でも出来る簡単な作業だ。
IT業界の中にはテストを通じて、現場で求められる知識を学び、そしてITスキルを身につけていく所もあるけど、中にはテストばかりやらせて、プログラムを書く仕事を渡さず、全くITスキルが身につかずに過ごしてしまうケースもある」
「なるほど。要は未経験者歓迎と書いておきながら、求人と現場で求められるスキルに差異があったり、成長性が全くない仕事ばかりをやらされる可能性があるというわけですね」
「そう。それが原因で仕事が出来ずに迷惑かけたり、テストばっかり長年やらされていたせいでITスキルを身につける事が出来ず、部下に教える事が出来ない、開発に携わる事が出来ないなどIT業界にいながらIT企業でいらない人材になってしまう問題がある。
だからこういう悲惨な目に遭わない為にも、IT業界に転職して成功する為にはITスキルを身につけて『私は開発業務が出来ます』と言えるようにする必要がある。結局IT業界への転職で成功する為には、どれだけITスキルを持っているか、それが問われる事になっちゃうんだ」
「ちなみに先輩、IT業界に転職する上でITパスポートや基本情報処理の資格を取るべきだという情報も見るのですが、IT関連の資格を持っていると有利になりますか?」
「ITパスポートに関してはIT業界で働く上で必要最低限の条件として見られる事がある。だから未経験者がITパスポートを持っていれば、持っていない人よりかは有利になるだろう。ただその資格を取ろうとする人の中には『ITパスポートを勉強すれば、ITスキルが身に着ける』と勘違いしている人がいて、俺の経験上、ITパスポートの資格はIT業界で働く上での入場券みたいなモノで、実際の現場ではどのくらい効率的なプログラムを書いたか?それが問われる。
ITの本質は多大な数字を一瞬で、かつ正確に処理する為のシステム作りにある。つまり金融系の場合、複雑な計算を速く、正確に、かつ安全に処理する方法を見出した者が重宝される。ITパスポートはIT業界で働く上での基本的な知識について触れているだけで、そんな知識は誰でも持っているから重宝されない。
だから何度も繰り返しになると思うが、資格という知識よりも、現場で役立つ知識が求められる。つまり結局ITスキルになってしまい、やはり事前にITの勉強をする事が優位性を生む事に繋がるんだ」
IT業界未経験者が転職に成功する為の『事前準備』
「求人に未経験者歓迎と書かれていても上手くいかない現実があるんですね。ただITで仕事を奪われている立場なので、やっぱりITスキルには多少の魅力を感じています。ですのでIT業界に転職するかどうかはさておき、ITスキルは身に着けたいと思います。ですので先輩、IT未経験者の私でもITスキルを身に着けられる方法なんてありませんか?」
「個人的にお前の勤務先で役立てそうなITスキルを身に着ける。そこから始めた方が良いと思うぞ。プログラムはJavaやC言語など沢山あるけど、使う文言は違っても、どのように数字を処理するのか?そのやり方は似ている点がある。
だから先ず始めにするのであれば、VBAやPowerShellから始めても良いかもしれん。大量の資料があればそれをまとめる事が必要になってくるはず。VBAはエクセルの内容を自動化するプログラミング言語で、PowerShellはWindowsの処理を自動化出来るプログラミング言語と思えば良い。まぁ、俺の場合、会社で『必要な資料をまとめておいてくれ』とエクセルでの資料作りを行っていて、各支店から届く売上実績のデータをまとめる際にVBAを使っていたよ。その結果、ボタン1つで本社が欲しい情報を1つにまとめる事に成功出来た」
「しかし先輩、いくら先輩がVBAが便利だ、と言っても未経験である私が身に着ける上では流石に辛いです。私のような未経験者の場合、どうやって基礎知識を磨けば良いのか?オススメの方法なんてないでしょうか?」
「俺の場合、ドットインストールでITスキルを磨いたよ。ExcelのVBAの基本的知識についてそこで動画載っていたし、後はその手の必要なプログラムを外部委託のプロの人に頼んで『へぇ~。こうやって作れば良いんだ』と自分が作りたかったプログラムの見本を知る事で、どうやって作れば良いのか勉強した」
「つまり個人でITスキルを習得する為には、動画などで基本的な知識を学び、そして自分の仕事に役立ちそうなプログラム製品を外部委託して作り、そしてその中身を見てプロのレベルを学ぶ。それが一番効果的という事でしょうか?」
「基本知識は独学で何とかなるが、便利な使い方についてはその手の道の人しか知らない。つまりIT業界で食べていく為のスキルを身に着ける為にはプロの人のやり方を何度も見る事をしないと上達しないと思っている。そうやって応用の中の必要な知識を身に着けていけば、自分で考えてプログラムがいずれ作れるようになり、ようやく戦力となるITエンジニアになれるってわけさ」
「VBAはどうやらExcelだけあれば何とか出来そうなんですね。ただ先輩、今までの先輩の話を聞く限り、現場で使われているのはJavaやC言語って奴で、その為にはeclipseというツールも使えるようになる必要があると思えます。現場のシステム環境を作るスキルも求められると思うのですが、それってどうやって身につければ良いのですか?」
「独自でITスキル全般を身につけたいのであれば、やはり自分のパソコンでプログラム開発が出来るようにした方が良いだろうな。
自分のパソコンで開発出来るようにする事をローカル開発環境って言うのだが、その手のセッティングは全くの未経験者からすると難しいかもしれん。ただ不幸な事にIT業界では未経験であるにもかかわらず、即戦力になる事が求められるから、まぁ、将来IT業界で働けるようになりたいというのであれば、独自でITスキルを身に着けられるようにした方が良いだろう。
だからもし俺が初心者だったら、先ずサイト作成の知識ががないと始まらないからHTML、CSSの知識を最初に学ぶ。その後、サイトを自分で動かせるようにする為にもJavaScriptの勉強を次にするな。あとは自分のパソコンで自分の作ったプログラミングが正しく動くかどうかを確認出来るよう設定する必要があるから、ローカル環境開発の勉強をするかな。まぁ、言い方を変えれば、自分でWebサイトを作り、かつ動かせるモノを自分のPCで作る為にはどうした良いのか?その辺を理解する為にもHTML、CSS、JavaScript、ローカル開発環境の4つは身に着ける事をするだろうな」
「それさえ出来ればIT業界で働けるようになるのですか?」
「正直、入り口に立てると言った方が良いかもしれんな。何度も言うけど、IT業界って技術が常に進化しているから、新しく学んでも、また新しいスキルが求められる事が多い。それに個人的にやはり独学で身に着けられるようにならないといけないわけだから、動画や質問サイトを駆使して身に着けていかないといけない。逆に言えば独学で身に着けられそうになければ諦めるっていうのも1つの手だ。ITって数学的センスや論理的思考だったり、他の業界にはないセンスが求められるから、無理してIT業界に転職すると苦労する事になる。だからこれで覚えられなさそうなのであれば別の業界に切り替えるのも良いかと思うぞ」