
「面接ではあんなに褒められたって言ってたのに、なんで落ちたんだろう」「うちの子、もしかして最初から採るつもりのなかった面接に呼ばれているんじゃないか」――そんな不安が頭をよぎったことはありませんか?お子さんが懸命に準備して臨んだ面接で手ごたえを感じたのに不採用が続く様子を見ていると、親御さんとして何ともやりきれない気持ちになりますよね。その辛さ、決して大げさではありません。
実はこの「採用する気がない面接(数合わせ面接)」は、就活市場の構造的な問題として広く起きていることです。お子さんの努力や能力の問題ではありません。この記事では、親御さんが知っておくべき「数合わせ面接」の裏側と、お子さんへの適切な声のかけ方・サポート方法をわかりやすく解説します。
「採用する気がない面接」とは?親御さんがまず知っておくべき就活の裏側

「面接でとても褒められたのに落ちた」「最終面接まで進んだのに内定が出なかった」――こうしたお子さんの経験を聞いて、「何かおかしい」と感じた親御さんの直感は正しいかもしれません。
企業が採用意欲のない学生を面接に呼んでしまう背景には、就活市場の「大人の事情」が潜んでいます。親御さんの世代にはなじみのない仕組みですが、知っておくだけでお子さんへの声のかけ方が変わります。
理由①:求人サイトの「掲載期間ビジネス」による空求人
就職情報サイト(ナビサイト)の多くは、企業が「掲載料」を払って求人枠を購入する仕組みです。契約期間が残っていれば、採用が終わっていても求人が掲載され続けることがあります。
つまり実態は「もう採用終了」なのに、ネット上では「募集中」と表示されたままになる「空求人(ゾンビ求人)」が発生するのです。お子さんがその求人にエントリーしても、実質的に採用される可能性がほぼゼロということが起こりえます。
理由②:面接官の「優しさ」は不採用のサインのこともある
面接官がとても優しく褒めてくれたのに不採用だった、という経験をお子さんからよく聞きませんか?これは面接官の「大人の配慮」である場合があります。
企業にとって不採用にした学生は将来の顧客や取引先になる可能性があります。悪い印象を与えないよう、合否に関わらず全員に丁寧に接する「おもてなし面接」を行う企業が増えています。つまり「面接での手ごたえ=採用」ではないのです。お子さんが自分を責める必要は全くありません。
親御さんが見てあげてほしい「採用する気がない面接」の3つのサイン

親御さんがお子さんと就活の状況を話すとき、以下のポイントが気になるようであれば「数合わせ面接」の可能性があります。お子さんを責めるためではなく、「一緒に対策を考えるヒント」として参考にしてください。
サイン①【面接前】求人情報がずっと変わらない
- 春から夏・秋になっても同じ求人が掲載されたまま:採用が終わっているのに掲載だけ続いている「空求人」の可能性があります。お子さんが応募する前に、掲載開始時期を確認してみましょう。
- 社員数に対して募集人数が不自然に多い:社員が数十人の会社なのに「20名採用」などと書かれている場合、実態を伴わない広告目的の可能性があります。
サイン②【面接中】褒めるだけで仕事の具体的な話がない
- 「入社したらこんな仕事をしてもらいたい」という話が一切出ない:本当に採用したい学生には、具体的な業務や配属先の話をするものです。抽象的な称賛だけで終わった面接は要注意です。
- 「君には他の業界が向いているかも」と言われた:これは親切なアドバイスに見えて、「うちでは採らない」という明確なサインである場合があります。
サイン③【面接後】結果連絡がやたら遅い
- 面接から1〜2週間以上たっても連絡がない:採用したい学生には、他社に取られないよう早めに連絡するのが鉄則です。連絡が遅い場合は補欠か、不採用通知の後回しの可能性が高いと考えられます。
- 不採用理由が「相性」「カルチャーフィット」だけ:具体的な理由が一切なく曖昧な理由だけの場合、最初から本気で検討していなかった可能性があります。
お子さんへの声のかけ方|NGワードとOKワードの対比
面接の不採用が続いているお子さんに、親御さんとしてどんな言葉をかければいいか迷いませんか?良かれと思った一言が、逆にプレッシャーや傷つきにつながることもあります。以下を参考にしてみてください。
❌ NGワード(言ってしまいがちだけど避けたい言葉)
- 「また落ちたの?どこか悪かったんじゃないの?」
→ お子さんが自分を責めているところにさらに追い打ちをかけてしまいます。 - 「もっと積極的にアピールしなきゃダメでしょ」
→ 頑張り方を否定されると、就活への意欲がさらに低下します。 - 「〇〇ちゃんはもう内定出たって聞いたよ」
→ 他の人との比較は焦りと劣等感を生むだけで、何も解決しません。 - 「それぐらいの会社、受かって当然でしょ」
→ お子さんの緊張や努力を軽く見ていると受け取られます。
✅ OKワード(お子さんの気持ちが軽くなる声のかけ方)
- 「面接で褒められたのに落ちたのは、企業側の事情もあるかもしれないよ。あなたのせいじゃないと思う」
→ 「数合わせ面接」という構造的な問題があることを伝えることで、お子さんの自己否定を和らげます。 - 「頑張ってること、ちゃんと見てるよ。どんな会社を受けてるか、少し話してみる?」
→ 評価や批判をせずにただ話を聞こうとする姿勢が、お子さんの安心感につながります。 - 「うちの子が受けてる企業、本当に採用する気があるのか一緒に調べてみようか」
→ 責めるのではなく「一緒に考える」スタンスが、信頼関係を深めます。 - 「結果より、ちゃんと自分を出せたかどうかの方が大事だよ」
→ 合否という結果より、プロセスを認める言葉がお子さんの自信を守ります。
「採用する気がない面接」を回避するためにお子さんができること
以下は、お子さんが「本気で採用したい企業」だけと出会うための具体的な方法です。親御さんが話のきっかけとして共有してあげてください。
方法①:就活エージェント(人材紹介サービス)を使う
就活エージェントは、お子さんが内定・入社した場合にはじめて企業から報酬を受け取る仕組みです。つまりエージェントには「本当に採用してくれる企業だけを紹介したい」という動機があります。
空求人やぬか喜び面接が生まれにくい構造になっているため、お子さんの時間を無駄にするリスクが低い選択肢のひとつです。親御さんが費用を心配する必要はありません。学生は無料で利用できます。
方法②:スカウト型の就活サービスを活用する
企業側からお子さんにオファーが届く「スカウト型サービス」も有効です。企業がわざわざコストをかけてオファーを送ってくる以上、「採用する気がある」ことが前提となります。
お子さんがプロフィールを登録しておくだけで、企業側からアプローチが来るため、空求人にエネルギーを使い続けるリスクを減らせます。
親御さんが今日からできること【チェックリスト】
「子どもの就活をサポートしたいけど、何をしたらいいかわからない」という親御さんのために、すぐに実践できる行動をまとめました。
📋 親御さんの就活サポートチェックリスト
- ☐ 不採用が続いても「あなたのせいじゃないかもしれない」と一度伝える
市場の構造的な問題があることを知らせるだけで、お子さんの自己否定が和らぎます。 - ☐ お子さんが応募している求人の掲載開始日をさりげなく確認する
春から変わっていない求人は要注意。一緒に確認してあげましょう。 - ☐ 「どんな面接だった?」と聞くとき、評価・判断をせずにただ聞く
「それはおかしい」「それじゃダメだよ」といった評価は避け、まず話を引き出します。 - ☐ 就活エージェントやスカウトサービスの存在をさりげなく教える
「こんなサービスもあるらしいよ」と情報提供に留め、強制はしない。 - ☐ 他の家の子と比較する発言をしない
「〇〇ちゃんはもう内定が出た」などの情報共有は、プレッシャーを与えるだけです。 - ☐ お子さんが話したくないときは無理に聞き出さない
「いつでも話せる」という安心感を与えるだけで十分なこともあります。 - ☐ 就活の結果ではなく「頑張っている姿勢」を認める言葉をかける
「毎日よく頑張ってるね」の一言がお子さんの支えになります。
よくある親の悩みQ&A
Q1. 子どもが「面接でものすごく褒められたのに落ちた」と落ち込んでいます。どう声をかければいいですか?
A. まず「あなたが悪かったわけじゃないよ」と伝えてあげてください。この記事で解説したように、面接官が優しく褒めるのは「不採用でも悪印象を残さない」ための企業側の配慮である場合が多くあります。「面接での手ごたえと合否は必ずしも一致しない」という事実を知るだけで、お子さんの自己否定をかなり和らげることができます。その上で、「次はどんな会社を受けてみる?」と前を向くきっかけを作ってあげましょう。
Q2. 就活エージェントって怪しくないですか?子どもに勧めても大丈夫でしょうか?
A. 親御さんの世代には馴染みがなく、不安に感じる方も多いですよね。基本的に学生は無料で利用でき、エージェントは企業から報酬を受け取る仕組みです。大手のエージェントであれば、悪質な企業を紹介すると自社の評判に関わるため、一定のフィルタリングが期待できます。ただし、エージェントも「営利企業」であることを念頭に、複数のエージェントを比較利用することをお子さんにアドバイスしてみてください。どこか1社に頼り切らないことが大切です。
Q3. 子どもの就活に口出しすべきか、見守るべきか、線引きがわかりません。
A. 多くの親御さんが悩む点です。基本的な考え方は「情報提供はする、決定はしない」です。「こんなサービスがあるらしい」「この求人ちょっと気になったけどどう思う?」という形で情報を共有しつつ、最終的な判断はお子さんに委ねることが大切です。親御さんが決めてしまうと、お子さんが就活を「自分事」として取り組めなくなることがあります。「いつでも相談できる存在」でいることが、一番の支えになります。
まとめ|親御さんにできる最大のサポートは「正しく知ること」
お子さんが「採用する気がない面接(数合わせ面接)」に巻き込まれているかもしれないと知るだけで、親御さんの関わり方は大きく変わります。
大切なのは、不採用の原因をお子さんの努力不足や能力のせいにしないことです。就活市場には、親御さんの時代にはなかった「空求人」「数合わせ面接」という構造的な問題が存在します。この現実を親御さんが理解しているだけで、お子さんへの声のかけ方が変わり、お子さんが「自分がダメだから落ちたんだ」と思い込むことを防げます。
今日からできることは難しくありません。まずは「面接で褒められたのに落ちたのは、あなたのせいじゃないかもしれない」という一言から始めてみてください。その言葉が、お子さんの就活を立て直す最初の一歩になるはずです。