SESから脱却出来る人の例

 

『SESから脱却出来る人は具体的にどんな事をしているのか?』

 

 SESの立場で働いていると営業が自分の望まない職場に派遣されたり、スキルアップに繋がる仕事をやらせてもらえなかったり、キャリアを積む事が出来ない人もいると思います。その為、SESから脱却する為に転職活動をする人もいると思いますが、上記の理由で評価される経験がなく、転職活動がうまくいかない人もいると思います。

 

 しかし世の中にはそんな開発経験がないSESの状態から開発業務のIT業界に転職する人がいます。そんな人達は一体どんな風にアピールし、内定獲得までこぎつけているのか?気になると思います。

 

 評価される経験を積めないSESの立場から脱却する為には具体的にどんな事をするべきなのか?ここでは実際にSESの立場から脱却するまでの例をストーリー形式で説明しております。

 

SESから脱却できない人の例

 

 俺はSESの仕事で2年半ほど働いているWebアプリケーションエンジニアだ。実は転職活動をしているのだが、書類選考では通っても、面接の段階で不採用になってしまうケースが多くなっている。自分の転職活動を振り返るにあたり、多分だが自分を採用したいと思えるスキルが備わっていないのが一番の要因だと思っている。

 

 俺は今の会社で3社ほど派遣されて、開発業務に携わった事もあるが、大抵やった仕事は上役が決めた改修内容をそのままなぞっただけだ。例えば消費税8%を10%に変更するなど誰でも分かる業務と言える。そして業務の大半がテスト作業。つまり修正した内容が正しく動いているかどうかの動作確認だ。その為、先輩SEが作ったテスト仕様書を見て、書かれている通りにテストをするだけ。俗にいう『ウチの現場を理解してもらう為に先ずテストなどで仕事を覚えてもらって、その後に開発に携わってもらう』と言っておきながら、テストばかりやらせて契約切れで終わるパターンだ。そんな単価の安い若い人材の使いまわしを受けている気分だ。俺の経験上、開発経験のないSEに業務の中枢とも言える改修に口を出してほしくない、そんな風に思われているような気がする。

 

 そしてそんな事をしているのは結構おり、その結果、いつまで経っても開発業務に携わる事が出来ない状態が続いている。俺が派遣された常駐先に長年SESとして働いてきた人を見てきたが、特に目ぼしいスキルが身についてなく、ただエクセル処理が得意な人としか思えなかった。そしてその人と話してみたが安い給料働かされていて『俺のようになるなよ』なんて言われたよ。だから俺はこのままではダメだ、と思い、俺は転職活動を始めているのだが、開発業務を行っている会社からは断られ、通るのは大抵今と同じSESの会社しかない。開発会社から祈られる理由は採用したいと思えるほどのスキルを俺が身に着けてなく、誇張した内容と見抜いているからだろう。魅力的な開発経験が無くても開発業務に携われる何かが必要だ。

 

 更に俺はこの転職は2回目の立場にある。その為、面接では『前回転職した理由は?』についても訊いてくる。その為、また同じ理由で転職している事が分かれば『企業を見る目がない』とマイナス評価をくらう事になる。この転職活動は自分にとって複数回転職せざる得なくなった理由についても述べられないといけない。果たしてなんて言い訳すればよいのやら。

 

 そんな目覚ましい経験がない立場の自分が一体どうやってSESから脱却すれば良いのか?その辺について考えた結果、『そういえば同じ会社で社内SEや開発業務分野に転職出来た知り合いがいるから、その人達にコンタクトを取ってどうやってSESの立場から転職すれば良いのか?訊いてみる事にするか』と思い、転職のアドバイスを成功者に訊こうと思った。

 

 

SESから脱却出来る人の例

 

 まずこいつは俺が思う限り口が上手く、自分が凄いと相手に思わせる言い方が得意な奴だ。そして転職でも自分が凄い人間だと思わせる為、あらゆる言い回しをして社内SEとして内定を獲得したらしい。

 

「SESの立場から転職するのって難しいよな。特に俺達のようにSE経験僅か3年程度の人からすれば『早期退職のリスクがある』なんて思われて、採用したくない人材として見られる。だからSESの立場から転職する為には経験不足や初々しさを極力取り除くような言い方を心得ないといけない」

 

「それでお前はどうやったんだ?」

 

転職理由は志望先にとってプラスになる言い方にする

「まず転職理由についてだが、スキルアップしたいという理由ではなく、今の会社ではスキルアップが望めず、新しい職場でスキルを磨き、業務の改善やクライアントの要望に応えられるエンジニアになってみたい。とそんな言い方をする」

 

「それが一体何の違いがあるんだ?どっちもスキルアップを目的としている分には変わらないと思うのだが?」

 

「全然違う。分からないと思うが、ただ『スキルアップしたい』という言い回しだと。『こいつ、もしかしてスキルアップを目的としてウチを応募して来たのか?それだとスキルを身に着けた後、もっと給料の高い所に転職するリスクがあるから採用を控えよう』とそんな風に思われてしまう。お前の職務経歴書や履歴書を見てみたが、どれも『スキルアップしたいです』なんて書かれている。完全に今の会社から抜け出したい気持ちがにじみ出ていて、面接官の『この人を採用したらウチにとってどんな風にプラスに働くんだろう?』という気持ちに応えていない。だからスキルアップを目指しつつ、将来(御社の)業務の改善やクライアントの要望に応えられるエンジニアになってみたい。と、最後に持ってくる方が印象良く見える」

 

「ああ、確かにな。そんな福利厚生や研修の目的で応募してくる奴って目的を達したら仕事に集中しない人もいるからな。志望動機の結論として『御社に貢献出来るようなエンジニアになりたい』という言い回しをしないといけない理由は分かったよ」

 

「そして更に職務経歴書には派遣先1社ごとに書くのがマナーだから、1社ごとになぜそれが出来なかったのか?個別の事例を頭にいれておく必要がある。例えば俺の場合だが

1社目:

医療関係のWebアプリケーションの会社に配属されました。当時は個人情報流出に伴う対応の為、画面に表示される数値を暗号化する改修依頼があったのですが、私は開発経験のない新人の為、テスト業務を行う事になりました。本来であれば3か月ほどで開発業務に携わるはずだったのですが、単体・結合テストがひと段落した頃、リリースが完了した段階で契約切れとなり、この現場では開発業務に携わる事がありませんでした。

2社目:

保険申請のWebアプリケーションの開発業務に派遣されました。ここでも開発業務に携わる予定だったのですが、保険申請のいろはを心得ていなかった為、始めの3か月は単体テストを行う予定になりました。しかし3か月になっても要件定義の修正内容が未決定だった事から、消費税の10%の改修に伴う単体テストをまた3か月間続けていました。しかし要件定義は決まらず、ここでも契約切れという形で終わりました。

3社目:

金融システムの通達システムの改修業務に携わったのですが、この現場では手順書がなく、指導役だった上司は別の現場に呼ばれ、なかなか指導する機会がありませんでした。更にその後、自己都合による退職をする事となり、現在、組織体制の立て直しに向け、スケジュールを組みなおしている状態ですが、再開の見込みが今のところ未決定で待機中の状態です。

 と上記のようにSESで開発業務に携われない理由が新人へのサポートが充実していないケースがあり、各々明確にしておく必要がある。俺のケースとしては『1社目はただ言われたとおりにしていればいつか開発業務に携われると思い、待ちの姿勢でいたのが問題でした。ですので次はローカル環境にあるソースコードを読み込み、どんな開発業務を行っているのか理解し、そして自分で開発に入れるようにしようと思いました。

 

 しかし次の2社目においては保険業務という専門的な内容が多く、理解するのに3か月ほどかかりました。そしてどのような修正をするのか要件定義や詳細設計書を見て、見識を広めようとしたのですが、不運な事にこの現場では要件定義が未定で、詳細設計書も作成されていなかったので空振りに終わりました。

 

 そして3社目においては要件定義や詳細設計書など過去のモノはあったのですが、今期の開発業務においては修正方法が決まってなく、更に体制の立て直しの名目で開発が止まっている為、現在現段階のソースコードや仕様書などを見て、どのように改修すれば良いの勉強しております。

 

 と上記のように個別に見ていく。少なからず俺自身が仕事が出来なくて開発業務が回らなかったではなく、現場都合で開発業務に携われなかった印象を伝える事が肝心だ。そして開発経験がなくてもソースコードをなどを見て、どのように作られているのか観察している面もさりげなく伝え、開発業務に携わる為の知識があると感じさせるアピールをすれば開発業務にも携われるって寸法だ」

 

「なるほど、開発経験がなくてどうしようかと思っていたけど、要は既存のソースコードや先輩がどのように修正したのか?その辺の説明が出来れば『開発業務に携わった経験はないが、改修作業は出来そうだ』みたいに見てくれるってわけだな」

 

向上心・成長性の見込める人材だと思わせる言い方

「その通りだ。また話は変わるが、お前の履歴書を見る限り、会社に対する愚痴が職務経歴書から伝わってくる。確かにあの会社は常駐先は営業によって決められるし、2次受け、3次受けだから低い給料で働かされる。おまけに折角常駐先の業務内容を覚えても、契約が切れたら、また別の会社で1からやり直し。正直、積み上げたモノを何度も作り直されるから、愚痴を言いたくなるのも分かる。

 

 しかし転職ではそんな事を言ってはいけない。確かに会社の不満も転職したい理由の1つだろう。しかし向こうから言わせれば『つまり逃げで転職しているわけで、ウチで何かしら頑張りたい気持ちはないんだね?』と思われてしまう。向こうから言わせればウチで働きたい気持ちが一番ではない奴を採用したいと思わない。他に転職者は沢山いるわけだからな。よって転職で成功する為には『この人を採用した方が良い』と思わせる言い方をいくつか用意しないといけない」

 

「具体的にどんな言い方が印象良いんだ?」

 

「例えば工数を削減したとか、テスト業務を自動化させてヒューマンエラーの数を減らした。またはクライアントやベンダーから評価される提案が出来たとか?」

 

「さっきも言ったが、俺は本当に何も経験を積んでいないんだよ。そんな経験、俺がしていたらとっくの昔に書いているよ」

 

「いや、そんな自分のやった事でなくて良い。要は現場で活躍している人のノウハウをあたかも自分でやったかのように言えれば良いのだ。俺が何でVBAの話をしたかと言うと、VBAなんていざとなれば1か月頑張れば身に着けられるからな。そして現場で業務改善に向け、何かしらのWindowsバッチかVBAが備わっているだろう。それを俺が開発し、そしてこんな風にコードを書きました。なんて言えればあたかも自分がやったかのように言えるだろ?

 

「お前、人の手柄を横取りして・・・」

 

「何が悪いんだ。お前だって出向先にある何かを自分の力に変えようと頑張っているだろ?それにSESの働きぶりをして分かっていると思うが、俺達が積める経験なんて資料整理かテスト業務くらいだ。となればVBAで作業効率を自動化させた、UiPathなどを利用してテスト業務を自動化させたなどそんな話がない限り、未経験扱いされる。そんな事を思われない、または次の現場で頑張る上でも、今ある現場で使えるノウハウは出来る限り、盗み取らないといけない。

 

 そして俺の場合はExcel出力されるデータを自動化して整理させるモノが現場にあった。だからそのVBAがどんな風に書かれているかを確認し、そして自分もせめて同様のモノを作れるようにする。休み時間必死で俺はそれをノートにコピーし『後学の為、頑張ります』なんて言って自分の物にした。そこまでしないとやっぱり成長しないからな。

 

 そして転職活動時にコードを送って『現場で資料整理を自動化する方法はないか?なんて言葉が挙がって、私はこんな物に書きました』なんて言ったよ。すると向上心もあるし、同じコードが書ける人なんて見てくれる。やっぱりSESから脱却する為には現場にある使えそうなコードを出来る限り、自分の物にするかが転職成功のカギだと思っている」

 

誰でも使えるSESから脱却出来る志望動機

「なるほどSESから抜け出す為には手段を選ばないってわけか。まぁ、俺も今の現場は正直退屈で今の現場で使えそうなモノを出来る限り取得しておくってのも一理あるな。それとちょっと迷っている事があるんだが?」

 

「なんだ?」

 

志望動機ってどう書けば良いんだ?さっきの話を聞く限り、スキルアップではダメ。そして会社に対する愚痴もダメ。となると『なぜ御社なのか?』ってどんな風にアピールすれば良いのだ?」

 

「現職から離れたい理由を結び付けて話せれば良いだろうな。例えば俺の場合だけど

『社内SEを志望している理由につきましては開発業務に携わってみたいと思っているからです。現職の労働環境においては常駐先の仕事によって決まります。そして私の場合、運が悪いのですが、大半がテスト業務で、なかなか開発業務に携わる機会がありませんでした。その為、研修もあり、かつJavaの知識がある為、JSPやサーブレットなどの開発を行っている企業の社内SEとして働いてみたいと思っております』

とこんな風に言ったね」

 

「良いじゃん、それ真似させてもらうよ」

 

「いや、それだけでは不十分だ。面接官の中には『常駐先でその手の事が出来なかったの?』などそんな質問をしてくる。2次受け、3次受けの立場だからそんな権限はないって言ってやりたいけど、それだけだと『行動せずに口先だけ』なんて思われてしまうから、

『もともとその手の業務をしたかったのですが、開発業務は全て1次受け、2次受けの人達が行っていて、私が入る込める余地はありませんでした。更にその手の事を言えば『今、与えている仕事をやって』とテスト業務を中心に行う形になります。色々と2か月ほどスキを見ては言ってみたいのですが、逆に煙たがられて、話してくれなくなりました』

 

 と行動を起こしたが逆に状況が悪化した、と転職して場所を変えるのが望ましいと思える話にした方が良い。

 

 だから面接では『このように常駐先から目の敵にされ、開発業務の仕事が回らなくなり、営業からも『まぁ、頑張るしかない』との事だったので、次も同様の現場で働く可能性があるのなら、自分で働き場所を選んで仕事をしたいと思うようになり、思い切って転職してみようと思いました』なんて言ったよ」

 

(・・・ほんとモノは言いようだな)

 

「それにお前は転職2回目の立場だ。だから前回転職した理由についても訊かれるから

『前回の転職においては自分一人だけの判断で転職先を決めてしまいました。その為、今回はその反省を踏まえ、自分一人では判断せず、転職、特にIT業界に関して詳しい人と相談しながら転職したいと思いました。そしてレバテックにおいてはIT業界に詳しい人もおり、専門用語を交えながら相談出来る為、志望先の選定や自分に向いている企業を見つける上でも適切な転職先を見つけたい事から利用しました』

 と言えれば1回目の転職失敗の反省についても述べられる。正直、この手の転職エージェントサービスは複数回転職した時の言い訳としても使える」

 

「確かにうまい言い方だな。ちなみに転職コンサルタントサービスってブラックとか紹介されないのか?

 

「まぁ、あまりにも実力の乏しい人であれば、ブラック企業を紹介されるかもしれないが、大抵は紹介されない。実は俺の家族に人材紹介サービスをやっている人がいてよ、何でも人材紹介ビジネスって、人を紹介しておきながら早期退職させてしまうと返戻金を返済しないといけないルールになっているんだ。どういう事かと例えばお前にブラック企業を紹介されて僅か2か月程度で辞めたとする。そうなると人材紹介会社は紹介料として100万円貰ったけど、早期退職者を紹介したという事で95%、つまり95万の返却。儲けは数か月頑張ってもたった5万だけという事になる。。この手の人材紹介ビジネスの場合、人を紹介して終わり、というスタイルだと人の出入りが激しい会社、要は直ぐ辞める会社を紹介した人が儲かるって仕組みになるからな。そうならないようにする為に早期退職した場合、多額のマージンを返済しないといけない仕組みにして『この会社に紹介すると直ぐ辞めるから紹介しない。もっと長く働きたいと思える会社を紹介しよう』という流れになる。だからブラック企業を紹介される確率は低い」

 

「なるほど」

 

「それにこの手の人材紹介会社の報酬って転職先の月給3か月分と相場が決まっている。つまりお前の実力を踏まえた上で月収が高い順で企業を紹介してくれると思うから、給料に不満があるお前からすれば理が適っている転職サービスなのかなと思っている。だから転職先の選定としてどんな会社が自分に向いているのか相談してくれて、どんな人材を求めているのか、正しく把握する事が出来る。だからその手のサービスがあると知り合いから訊いて、レバテックを利用しましたなんて言えれば、今、転職でうまくいかない理由の打開策としてやり方を変えてみましたと、言い訳が出来ると思うぞ」