「親がアルバイトを許してくれない」
「学生の本分は勉強だと言ってくる」
「親に内緒でアルバイトをしたい」
何故学生はアルバイトする必要があるのか?世間ではブラックバイトにより、学業だけでなく、生活にも支障をきたすとされ、アルバイトを危険視する風潮が高まっています。アルバイト対するリスクが強くなっていく中、逆にアルバイトをしなかった事で希望の企業に就職する事が出来ず、低所得者になってしまう人もいます。これは当事者の特殊な事情というよりも親の心配性や学歴至上主義による押しつけが背景にあり、過干渉な親を持つ就活生であれば、他人事とは言えない場合もあります。
何故アルバイトをしないと給料の安い企業に入社する事になるのか?ここでは親がアルバイトに反対し、そして実際に安月給の企業に入社する事になってしまった就活生の例を参考にアルバイトの重要性について語りたいと思います。
アルバイトをした方が良い就活生の例
俺は大学2年生。もともとアルバイトの経験はなかったが、所属しているサークルでは先輩となり、今後の飲み会やイベントなどは全て大学1年の後輩の分まで支払う立場に変わってしまった。その為、親からのお小遣いだけでは足りない為、アルバイトなどをして、足りない分を補おうと思った。しかしアルバイトをする事に対し、親が反対してきたのだ。
どうやらウチの親はアルバイトをすると学業に支障が出ると言って、自分達の払っている学費を無駄にするつもりかと、俺がアルバイトをする事で成績が下がると思っているらしい。確かに俺の成績は良いモノではないが、平均レベルだし、何時も暇を持て余している時間にアルバイトを入れる予定だから、学業にはあまり支障をきたさないと言ったが、「金を得ると遊びに使いたくなる。だからアルバイトはするな」と、どうやら自分達が昔、アルバイトをして遊びの誘惑に負けたから俺もそうなると言ってきたのだ。
もしこれがギターやゲームなどの遊びを目的にアルバイトをしようとしているのであれば、まだ分かるが、俺が所属しているサークルは部費以外にも、新人歓迎会や文化祭費、月ごとに行われるOBとの集まりなどの集会費も必要となり、大学2年生は1年生の3割負担。大学3、4年は残りを賄うなどそんな風な支払いをしているのである。つまり遊びというよりも仲間との付き合いで必要な費用を集めるのが目的だ。
しかしその事情について話すと「そんなサークルなんか辞めてしまえ」と言ってきたのだ。どうやら親の頭の中では「サークル=遊び」と思っているらしく、金で人との交流を築くのではないと滅茶苦茶な事を言ってきたのである。しかし俺の記憶の限りでは何処も新人歓迎会や飲み会、そして部費を払っていて、費用もウチのサークルとあまり変わらないはずである。これよりかかるサークルと言えばスポーツサークルなどの合宿や旅行の費用、そしてスポーツグッズや会場費にあたる。正直な所、ウチのサークルにかかる費用は正直マシな方であり、このくらいの費用で根を上げるようでサークルにすら参加出来ないのである。
これについても親に指摘すると「嘘をつくな。ちゃんと探してから言え」と大学の全サークルに聞き込みしに行けと言わんばかりの事を言ってくる。ここまで来るとどうやら親は子供の心配というよりも、アルバイト反対の言い分を変えたくないと意地になっているのである。こうなると説得は無理なので、俺的にはお金を理由に今までの交流関係を崩したくなかったし、もう大学生なんだし、親には内緒でやろうと思った。しかしその考えは甘かったらしく、試しにアルバイトに応募したが、保護者同意書の提出が求められたのである。家の事情を話すと「では難しい」と採用を見送られたのだ。
結果、俺はどこのアルバイトの応募に受からず、親はアルバイトを許さず、サークルを辞める事になった。親のせいだと思っていた俺はもう何もやる気力が出せず、ただ大学生活をブラブラと過ごしてしまったのだ。
アルバイト経験がないと大手に入る事は出来ないのか?
大学生3年になり、そろそろ就活について考える必要が出てきた。先輩にアドバイスを求めたところ、就活では自己PRや学生時代に頑張った事の2つを求められる事があり、少なからず学業以外の2つの頑張ったエピソードをアピールしないといけないのである。親のアルバイトの反対で、サークルを辞め、特に何もやってこなかった俺からすればヤバい状態になっていると分かった。
試しに企業はどんな評価を俺に下すのかを調べる為、模擬面接を受けてみたのだが、勉強しかしてこなかった俺からすれば、面接官からこんな事を言われる。
君は学生時代、何やってたの?勉強って本来、何かを成し遂げる為に、足りない知識を補っていく。言わば目標があって勉強するのであって、君の場合、勉強が目的になっているから正直採用したくないよ。
つまり、「勉強して手に入れた知識を活かしていない」「目的意識がはっきりしていない」「自分から考えて行動しなさそう」などと思われ、知識はあっても自分でそれを活かす術を見いだせず、言われたままの仕事しかしなさそうと思われてしまうのである。偏見だと言いたいが、あながち的を得ているから、結局学業で得た知識などをサークルやアルバイトなどで活かすような話にもっていかないと評価されないのが就活だと知ったのだ。
その為、この事を伝え、就活が始まるまでの数か月間、せめてアルバイトの経験をしようと思ったのだが、勿論反対。その理由は「そんな土壇場になってやったアルバイト経験など評価されるわけがない」という事だ。まぁ、確かにそうだが、しかしそれだと俺はエントリーシートには何も書く事がなく、例え矢継ぎ早でもやっておくべきだと訴えたのだが、ダメの一点張り。仕方がないので、もう1つのアルバイトをする理由。つまり就活資金を稼ぐ目的を切り出した。
先輩の話によると就活にかかる費用は合計でおよそ15万だと言われている。その内訳は就活で着るリクルートスーツや革靴などの服装で約5万円。そして会社の選考を受けて行く為の交通費で約5万とこれだけで合計10万ほどする。更に就活ではプリンター代、エントリーシートの送付代、そして合否連絡をもらう為の通信費を入れれば合計で15万ほどになるとされている。ウチのようなギリギリで生活している家庭からすれば15万なんてよほどの大金で、つまりアルバイトなどで稼ぐしか資金を得る方法が手っ取り早いのである。
これを聞くと親は少しばかり沈黙したが、それでもダメと言ってきた。その理由はブラックバイトの存在である。いくら就活で必要な資金を得る為とは言え、アルバイトをする事で学業だけでなく、精神的に追い込まれてうつ病を発症してしまう人がいる。親が言うには、今の日本は人手不足で簡単には自分の意志でアルバイトを辞める事が出来ず、辞表を出せば法律上1ヶ月後に辞めても良いのだが、その間、陰湿な嫌がらせを受け、精神的に追い込まれてしまう人が沢山いるらしい。実際に調べてみたが、確かにブラックバイトの存在により、辞める事が出来ずに学業を疎かにしてしまう人が大勢おり、更に辞める以前にアルバイトでは自由にシフトを組ませてもらえず、予定通りにスケジュールを組めず、ここでも本業に支障をしかねない場合もあるのだ。
こういう話を聞くと、これに対し対策を取らないといけなし、まぁ、アルバイトについて考えを改めないといけないのだが、問題はここからである。
これによりウチの親は「アルバイトではなく、別の方法で稼ぐべき」だとか、「お前はどんな対策を取っているんだ?」「だからお前はダメなんだ」とか言ってきて、俺に悪いレッテルを張ってこようとするのである。このようにウチの親は事あるごとに、アルバイトの問題点を挙げて、それに対する対策を怠っていないか?を確認してくるのだ。
ウチの家庭でおかしい所は、そんなブラックバイトという厚生労働省が手をこまねいている問題に対し、学生一人で完璧に解決する事を平気で求める点である。それが出来ないと「じゃあ、止めるべきね。」と本来の就活の資金不足による本筋から離れ、「あなたはいつも考えが浅いね」と自分の考えの不備を議題に上げ、そして当初のアルバイトをしない方針へと持ってくるのである。
つまり親に言いくるめられるパターンとしては
① お前の言い分は100%安全ではない
② だから、お前に落ち度がある。
③ 親が正しい。当初の主張に従え
④ 誰のおかげで飯が食えると思っているんだ?
と子供の不備を追求し、親に優位性を持たせて、そしてアルバイトをさせていない事をいい事に「誰のおかげで飯が食えるんだ」と従わざる得ない状態に持ってくるのである。もし親の言い分が正しければそれほど反発しないが、「学業に専念しろ」「アルバイトは危険」など一辺倒に言われておしまい。そしてその結果、失敗しても、「人のせいにするな」「あなたがもっと学業に専念していれば」「ただをこねても仕方がないでしょ。」など自分の非を認めず、また同じような事を繰り返す事になるのだ。
だから一向に解決の目途が立たない。正直なところ、金銭的な束縛が大きく、だから自分が正しいと思った事を中々実現しづらいし、結果も出せない。だから次第に親だけでなく、周囲の人達も俺に悪い評価を下され、次第に孤立化、そして有力な情報が入らず、孤立無援の状態となり、更に悪い状態に追い込まれるのである。
こんな状態に陥り、勿論だが俺は正直面接官が求めるような経歴を作る事が出来ず、何のアピール内容がないまま就活に臨む事になる。それははっきり言って無謀な挑戦だ。誰も実績のない人なんか、取りたくないし、親は勉強をアピールすれば受かると言っているが、高学歴の人は沢山いるし、しかもそんな「俺は高学歴です。」なんてアピールするヤツを採用する人なんて正直少数派だと思うし、成功する方法とは到底言えない。案の定、就活では書類選考は通っても、面接で落とされる形が続いた。そして面接官の中には先の模擬面接で言った人のように「君は学生時代何をやってきたの?」と言われて「アルバイトやサークルなどしてこなかったの?」「何で?」とまで言われて、正直全てのツケが俺に返ってきて辛い思いをした。
そして家に帰ってくると「どうだった?」「どうして面接が進まないの?」「今度はこう言いなさい」と次から次へと的外れな内容を言ってきて、追い打ちをかけてくるのである。そして先の揚げ足取り、金銭的な束縛、反省しないの繰り返し、結局何処に受けても1次面接で落とされ、本来、俺が就活うつになるはずだが、何故か親の方が先に就活うつになり、親が休んでいる間にデタラメな内容であったが、魅力的な内容をアピールし、そして大手ではないが内定を取る事に成功したのである。
アルバイトをする事で得る可能性
結局、その後も就活を続けたが、大手からは内定が取れず、内定を取った中小企業で働く事になった。親は当初は大手と言っていたが、就活うつになったせいか、もう就活にはこりごりしたらしく、あまり強く言ってこなかった。俺はこんな形で就活を終えたが、ただ後味の悪い就活になってしまったと思う。その為、時折、一体どうすればこのような状態を避けられたのか?考えるようになっていた。
あの時を振り返ってみると、もしかしたら俺はまだ親に内緒でアルバイトが出来たかもしれない。就活が終わった後、ネットで調べてみたが、保護者同意書が必要なのは未成年の場合であって、大学生の場合、保護者同意書の提出は必ずしも必要ないのである。つまり店側が高校生もアルバイトとして採用しているから、慣例としてやっていただけなのかもしれない。もし俺が保護者同意書の提出を求められた時、「保護者同意書って必要ですか?」と訊けば、流れは変わったかもしれない。正直もう少し踏み込めば良かったのではと思っている。
まぁ、問題は親に隠れて長く働けられるかどうかだと思う。仮に内緒で働けたとしても、夜遅くまで働けば流石に「何でこんなに帰りが遅いんだ?」と勘繰られ、最悪の場合、親に行く事を止められるケースだってあるだろう。またウチの場合、通帳を管理しているのが親だから、金は入っても使えない場合がある為、正直その辺をどうクリアすれば良いのか迷っていた。内緒で持ち出して銀行から引き出すという手もあるが、金融資産ってちゃんと金庫とか鍵のついている所にしまっているから、俺の場合は手を出す事が出来ないと思う。結局のところ、親を説得させる方法を見つけないと途中でとん挫する可能性がある。
そんなたらればに思いふけっている俺だが、結局のところ、俺の妄想の範囲内でしかないし、仮にアルバイトが出来ても、それを活かせなければ意味がない。だからこの問題に関してはアルバイトをして、そしてその経験を活かして内定を取った成功例がないと意味が無いのである。ただそんな成功例が俺の近くにいた。
彼は俺とは違い、沢山のアルバイトをしていた。例えば高級料理店で働いていた際、どうやって高い値段でもお客さんが来てくれるようにするのか?その辺の経験が学べる。今の時代、いつ不況になるか分からない。その時、企業は値下げか値上げと議論するけど値下げの場合、社員の人件費を削る形になる為、デフレスパイラルが起こる可能性がある。つまり不況から抜け出せなくなるという事だ。この場合、値上げして客単価を引き上げるべきなのだか、どうやって値上げしてもリピート客が来てくれるのか?その辺のノウハウを心得ていないと更に経営が悪化しかねない。それ故、彼の高級料理店でのアルバイトの話は非常に役立った。
また彼は高級レストラン以外にも居酒屋でアルバイトも経験している。居酒屋なんて学生なら誰でもやっていると思うが、彼の場合、外国人観光客への対応や居酒屋経営のノウハウについて店長から教わった為、経営コンサルタント的な知識を持っている長所がある。これにより居酒屋を取引先にしている企業。例えばビールメーカーなどの面接で「私は居酒屋でアルバイトしていたので、その辺のノウハウについて説明出来るかもしれません。それを通じて御社のビールも販売出来る営業マンになってみたいと思います。」とそんな言い方でアピールする事が出来るのだ。
正直、これを親に言えば良かったのではと思う。親も俺が大手に入る事は賛成しているはずだから、アルバイトを通じて大手企業から内定を取った成功話をすればアルバイトの評価も変わったかもしれない。そうすれば長期のアルバイトが実現でき、エントリーシートに書く内容も確保するだけでなく、親の金銭的な束縛からも解放出来たかもしれない。今となっては後の祭りだが、もしまたチャンスがあればこの手でまた親を説得してみようと思う。