面接官が「グループディスカッションのコツ」について議論するとこうなる。

argument

お題
グループディスカッションのコツについて議論しなさい。

なんだよ。これ?
俺達を就活のお手本にしようってか?

まぁ、定石通りに問題提起から始めて、意見を絞って、最後に発表という手筈で行きましょう?

時間設定されていないが、納得いく結論が出るまでやっていいって事か?

そういう事ではないでしょうか?学生からしたら、我々面接官がどういう風に学生を判断しているのか。ネタがある分だけ喜ぶでしょうし。

じゃあ、問題提起の部分ですけど、グループディスカッションで受かる学生と受からない学生、この2つについて議論しませんか?グループディスカッションのコツと課題に書かれているわけですから、印象を良くする事だけで無く、学生がよくやってしまう印象を悪くするグループディスカッションについても議論しましょうよ。

それでしたら、私達が印象に残っている学生について話し合いませんか?良い学生、悪い学生と2つ挙げる以上、思いついたら直ぐ言える状態にした方が、アイデアは出るでしょうし。

そうだな。良い学生の話を終えた後、また良い学生について思い出したら、言えなくなるもんな。採用。

では皆さんが印象に残った学生について話し合いましょう。

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GDで好印象を与える学生とは?

◆事前に情報を引き出している人

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俺が印象的だったのは、グループディスカッションが始める前に勝負してた奴だな。グループディスカッションが始まる前に一緒に議論する仲間の情報を集めて、どの様に議論するかを予め準備しているヤツ。正に勝負は戦う前から始まっているという戦法に相応しい学生だった。

しかし、そんなの我々が気づきますか?だって、始まる前って…その時は私達はまだいないんですよ。

GDを見ていれば分かる。議論中は皆で自己紹介すらしてなかったのに、「そう言えばAさん、コンビニのアルバイトしていましたよね?」ってな具合にな。グループディスカッションが始まる前にある程度、相手の情報収集を済ませていて、自分に有利な話に持っていこうとするタイプだ。俺はそういうヤツを高く評価する。

◆話の段取りが立てられる人

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グループディスカッションって言うのは必ず同じ流れで議論出来る訳ではない。俺達みたいに問題提起から始めようとする学生もいれば、いきなり結論から言う奴もいる。場合によっては自己紹介だけで大半の時間を使い、あんまり議論出来ない場合もある。

そういう場合、普通の学生は「円滑に進める為にもこのような形で議論しませんか?」というかもしれないが、はっきり言ってそれこそ流れを乱している。

議論の進め方っていうのは1つだけではないんだ。問題提起から始めて、有力な情報に絞っていく方法もあれば、一番最初に結論を言って、ではその結論が本当に正しいのか?と仮説を立てて切り詰めていく方法だってあるんだ。つまり1つのやり方にこだわる学生っていうのは未熟か、自分のやり方しか受け入れないタイプと同じだ。

減点方式で悪い学生から落としていく面接官

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相手の意見にイエスとしか言わない学生

私の場合、そういうやり取りがうまい学生に加点していくタイプでなく、悪い学生を減点方式で採点していて採用する学生を決めていく方法を取っています。

特に最近増えているのは自分の意見を述べず、話すのがうまい人に便乗するタイプがいます。

あるグループディスカッションでは、出された議題に対し、賛成派と反対派に分かれてな。反対派の数が勝っていたから、始めは賛成と言っていた奴も不利になるからって反対派に回ったんだ。

都合の良い連中ですね…

グループディスカッションは多数決で決める物ではなく、自分の意見を如何に述べたかが重要です。この場合、何故その意見に反対なのか、何故賛成なのか、自分の考えを述べない限り、議論しているとは言えません。

確かにそうですね。自分で考えず、ただ人の意見に従っているだけでは単なるイエスマンでしかない。こういう人は入社しても上司の命令がなければ動かない指示待ち人間だったり、緊急事態が起きても真面に動けない人間だったりと正直不安にしか感じない。ちゃんと社会に出て真面目に働こうとするのであれば、自分の考えを持って行動出来る学生でないといけませんなぁ。

相手の意見に批判ばかりしている学生

でも、だからと言って自分の意見を言いまくれば良いという訳でもありません。逆に皆の意見を聞かず、一人だけペラペラと喋っている人のも減点の対象にします。

別のグループディスカッションでは、発展途上国で市場を開拓するにはどうするべきか、という課題で議論されたのですが、グループの一人が偶々タイに暮らしていて、そいつの話題で持ちきりになりました。

だが、一向にそいつは話を辞めず、ただ間際になってやっと皆の意見を聞く様になった。そういうところか?

そんな話に夢中になっていたタイプではありません。その学生は他の人が何か言おうものなら、タイの社会事情を言って、相手の意見を否定していくのです。確かにさっきは自分の意見を述べられた方が良いと言いましたが、グループディスカッションは自分の知識を披露する場所ではなく、皆が意見を出し合って、まとめていくのが目的なんです。自分ばかりが話していれば良いというわけではありません。

グループディスカッションが終わった後は、その方は満面の笑みを浮かべて帰りましたが、私は終始笑顔を絶やさず、話を聞いていた学生とその人の意見をまとめて発表した学生2人に次の案内を出しました。出来る事でしたら、その人に伝えたかったですね。自分の意見だけを述べているだけなら、皆で議論する必要なんてありません。本来ならあなたのような素晴らしい話を皆に伝えて、皆が素晴らしい意見を述べられるようにするのがグループディスカッションなんです。

就活生の中にはグループディスカッションを学生の勝ち負けを決める何かだと思っている人がいるかもしれませんが、実際は皆で知識を共有したり、様々な意見をまとめて、質の高い内容にしていくなど、新しい価値を見出す事を目的にやっているのです。

corporate
まぁ、選考という枠の中ではグループディスカッションを勝ち負けで判断するなというのは難しいだろうが、お前が説明した相手の意見を一蹴する人は何時まで経っても自分の枠から外れないし、そもそも一緒に議論する理由もない。

もし私がそのタイの学生なら、タイは親日国なので日本製品が人気である。物流のインフラが整っていない為、冷凍食品や大量の荷物を運搬出来ず、更に届ける時間帯も正確ではないなど、少しだけ事実を述べた後、「ではこの条件に合う、日本製品ってなんだろう」と課題を出し、「お菓子はどうだ?」「いや化粧品が良いのでは?」「いや、冷凍品を運ぶ事が出来ないのであれば、冷凍車なんてどうだ?」とか、そんな風に皆が話せる雰囲気を作るよう心がけますね。

今言ったアイデアも、本当はその学生が言っていたのですよ。でも彼はそれを相手の意見を否定する目的で使ってしまった。食料品という学生がいれば、「タイは冷凍車がないから、食料品は無理」だとか、家電製品という学生がいれば、「タイの平均所得は低いから高額製品は無理」だと言って、結局「お菓子を売ろう」と結論付けて終わらせました。見ていてただ単に彼自身の考えを述べていただけだと思いました。

ああ、いるいるそんなヤツ。会議の時、やたらと自分の成功体験ばかり言って俺を見習えとか言う奴。んで少しでも別の意見を言う人がいたら、「お前に何が分かる!!」「若造の分際で!!」と相手の意見を否定してばかりしてくる。これから新しい何かを見出そうとしているのに、今までと同じ考え方で議論してどうする?と思ったな。そんな事実だけ述べているなら、そんなのはただの知識人としか言いようがない。相手の強みを生かす事が出来なければ、それは単なる独断専行。現場を乱す台風だよ。

グループディスカッションの絞込み作業

focus

さて、色々と言いたい事は言ったが、どんな事行ったかな?

私達が出したグループディスカッションで印象的な学生の特徴は①事前に情報を引き出している人、②話の段取りが立てられる人、③イエスしか言わない人、④批判ばかりしている人。この4点ですね。

となると簡単に言えば、グループディスカッションが始まる前にある程度の会話をして、話の流れを崩さず、皆を答えに導くよう話の段取りを立てられ、意見に便乗や批判もせず、皆の意見で新しい結論へと持っていく学生って言うのがグループディスカッションで受かる学生って事だな。

しかし今回の課題はグループディスカッションのコツについてです。優秀な学生の人物像を述べても、コツについて議論しているわけではないので、今まで挙げた内容を元にどんな事をすればグループディスカッションに受かるのか?その辺について述べていきましょう。

そうだよな。グループディスカッションでは偶に出た意見の中で一番印象的だった案だけを言うグループがいる。しかしグループディスカッションというのは皆で出したアイデアを形にする取り組みなんだ。だから一番良かった案ではなく、一番良かった案にみんなの意見を肉付けして、更に良い案に変えていく。そういう取り組みを見せないといけない。

そうですね。だから意見がある程度出し合った後は、一番良い案を深堀していくか、様々な意見を1つの表現で言い表せないかなど絞り込み作業を行っていくんですよね。

今回出た案は①と②の面接官に好印象を与える学生と③と④の受からない学生についてだ。だから、折角良い例と悪い例が出たのだから、グループディスカッションが受かる、受からない分岐点に述べられれば良いだろう。

んで、俺が思った受かる、受からないの分岐点だが、勝ち負けに拘らず、真剣に課題に向き合っている姿勢をしているか、していないかで合否が決定されると思うんだ。グループディスカッションを数多くの見てきたが、どいつもこいつも、自分が勝とうなどと躍起になっていて、課題に真剣に取り組んでいない。ハッキリ言ってそんな連中、俺達からすれば自分の事しか考えてなく、目の前の問題を直視していない人としか思わん。

私も課題に対する姿勢が合否の鍵を握っていると思います。今まで挙げた学生は課題に真剣に向き合っていた学生は受かって、自分の事を主張しようとしていた学生が落ちています。

確かに。もしさっき俺が評価した情報収集に徹している学生が相手の悪い部分ばかり指摘して蹴落とそうとしているのであれば、逆に採用しないしな。

私はそのグループディスカッションを見ていませんが、コンビニのアルバイトの下りにつきましては皆の議論が良くなるようする為のフォローだったのではないですか?

その通りだ。その時は学生と社会人の違いについて課題が出されていたのだが、それを明確にする為に実際に社会で働いている正社員と学生アルバイトと比べて意見を述べようという流れになって、そこでコンビニの店長とアルバイトを比較する為に、さっきの会話が出たんた。

そういう風に仲間の得意分野に持っていくフォローは面接官として印象に残りますし、議論で必要なアイデアを仲間から引き出せると仲間意識が芽生えてくると思うのですよ。さり気ない気遣いが積み上がっていき、議論が活発になったり、会議で良いアイデアを生んだり、更には親睦が深まっていつも以上に深く議論する事に繋がりますからね。

グループディスカッションに参加する学生にはそこを理解して欲しいよな。グループディスカッションはその場限りではなく、今後の会議や交渉の場でも必要とされるスキルだ。だからその時になってどの様な形で自分はグループの中に溶け込んでいくのか?自分の得意な役割を俺達に見せてほしいね。

グループディスカッションのまとめ

100points

さて、そろそろ発表しましょうか。

そうだな。今までの内容をまとめる限り、ある程度、話の内容が絞り込めたしな。

では私が発表します。

グループディスカッションで受かるコツは”課題や相手の為に取り組む姿勢を持っているかどうか”で決まってくると考えられます。確かにグループディスカッションは学生同士が議論し合う場ではありますが、一番大切なのは出された課題に対して真剣に向き合う姿勢です。受かる学生は常にグループディスカッションで良いアイデアが出るよう、相手の得意分野の話題を変えたり、自分だけではなく、相手にも意見が述べられるよう配慮します。一方でただ他人の意見に賛同している学生や自分の意見だけ述べている学生は独断専行だったり、相手の話を途中で折るなど、議論の流れを悪くする印象があります。

その為、グループディスカッションで受かるコツとしては、勝ち負けに拘らず、課題に真剣に向き合う姿勢を持つ事が大切だと我々のグループは結論付けました。以上です。

もし発表者になった場合、先ずは結論を言って、なぜその結論に至ったのかを述べられるようになれれば、我々、面接官からすれば分かりやすいし、皆の意見をちゃんと聞いていると思われるから、このような話し方はオススメだぞ。